AnyMind Group共同創業者・小堤氏に聞いた、Day1からの世界スタートアップ戦略〜01Booster Conference 2023

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本稿は01Boosterが運営するサイト「01Channel」に掲載された記事からの転載。

2023年3月に東証グロース市場に上場を果たし、現在東京に本社を置いているAnyMind Group。同社はアドネットワークのマイクロアドの東南アジア現地法人のマネジメントを共に務めた十河宏輔(そごう・こうすけ)氏と小堤音彦(こづつみ・おとひこ)氏がシンガポールで創業しました。昨年末に開催された「01Booster Conference2023」では、小堤氏をお招きし、AnyMind Group の軌跡や、グローバルスタートアップを生み出すための方法論などについて知見を共有いただきました。モデレータは、01Booster 代表取締役CEOの合田ジョージ氏が務めました。

東南アジアから始めた理由

2016年にシンガポールで創業したAnyMindは、「Make every business borderless」をミッションに、企業のeコマース事業の支援、マーケティング支援、インフルエンサーとのマッチング、メディアのマネタイズ支援など複数のサービスを提供しています。このミッションで言われる「borderless」とは、国境を越えるということにとどまらず、オンラインとオフライン、異業種間の隔たり、プラットフォームと媒体など、あらゆるボーダーを無くすことを目的としています。

創業8年目を迎える同社は、これまでにアジア・中東を中心に15カ国・地域に営業展開しており、グループ全体で従業員を1,500人擁するまでに成長しました。当初、日本ではなく、東南アジアから事業を始めた理由について、そこがデジタルビジネスにおいて最も成長している地域であって、そのモメンタムに乗る形で勢い強くビジネスを展開していきたいという強い意志があったから、と小堤氏は語りました。最近ではサウジアアラビアにも進出するなど、世界制覇に向けた市場拡大の動きを積極化させています。

小堤音彦氏
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AnyMind Groupが展開する国や地域にはそれぞれカントリーマネージャーがいて、彼らは現地の言語を話し、現地の市場に精通した人物です。国を横断してのマネジメント同士の会話は英語で行っています。例えば、タイ、ベトナム、インドネシアなどでは英語が通用します。

しかし、やはり現地言語の方が、現地メンバーとの意思疎通、ビジネス展開は、がぜんスムーズです。そこは、カントリーマネージャーと現地メンバーで密にコミュニケーションしてもらっています。また、アジアでは、それぞれの国や地域に競合がいるため、カントリーマネージャーを中心に、国や地域独自のアプローチを模索しています。(小堤氏)

インド、中東への進出

左から:COO 小堤音彦氏、CEO 十河宏輔氏、COO Rohit Sharma氏、CFO 大川敬三氏。Sharma氏はPOKKTの創業者で、買収後はAnyMind GroupのCOOに就任した。
Image credit: AnyMind Group

AnyMind Groupが東南アジアから西へ、具体的にはインドへと市場を拡大するきっかけになったのは、2020年3月に実施した動画広告プラットフォーム「POKKT」の買収でした。小堤氏によれば、インドはその人口や産業規模から言って国内に市場があるものの、競合が多過ぎることもあり、インドのスタートアップは同時に国外の市場も攻める展開を取るケースが多いそうです。POKKTは、インド国内のほかアラブ首長国連邦(UAE)のドバイなどでも事業を展開していたため、買収時にドバイがAnyMind Groupの拠点に追加されました。

競合が多い中で事業を成功させるには、現地メンバーの頑張りが欠かせません。自社のテクノロジーの優位性をクライアントにアピールするには、現地メンバーのモチベーションを高めることも不可欠です。

国際的なチームを率いる上で、言語・文化・背景が異なるメンバーをまとめるのは、(国内だけに比べ)コミュニケーションコストがかかるのは事実です。各国カントリーマネージャーとの連携やすり合わせ、現地の文化やニーズを理解した上で、現地メンバーとの地道なコミュニケーションと柔軟なアプローチが重要です。(小堤氏)

働き続けてもらうための工夫

AnyMind Group のチームメンバー(一部)

調査を実施した主体によって複数の異なる統計が存在しますが、概して言えば、東南アジアの人々の生涯の転職回数は、平均して日本人の2〜3倍になります。ここまでの小堤氏との話でも何度も繰り返されてきたように、AnyMind Groupの事業を前進させるエンジンは何よりも「人材」。優秀な人材を集め、なるべく長く働き続けてもらえることが事業成長に繋がります。

採用時には、会社の文化とのカルチャーフィットを重視しています。そして、各メンバーが自分の意見を言いやすい環境を築くように努力しています。採用後は、特にマネージャーや事業部門のメンバーは、スピード感やレスポンスの速さなども評価のポイントにしています。スキルや能力も大事ですが、社外とのコミュケーションや対応の迅速さなども考慮しています。(小堤氏)

AnyMind Groupでは女性のマネージャーも増えているそうです。ダイバーシティを重視することで会社全体でのバランスを保ち、人とは違った視点からの意見を取り入れることが、同社の経営判断にとって重要だと考えているからです。言うまでもなく、女性メンバーが産休を取得する際には、マネージャーを中心にバックアップする体制を取っており、メンバーが安心して働ける体制を整えています。

優秀なメンバーや将来的にマネージャーになりたいと思うメンバーには、自分のやりたいことを実現できる機会を提供し、信頼関係を築くようにしています。グローバルで活躍する企業が成功するには、柔軟性、ダイバーシティ、信頼関係の構築が欠かせないと思います。(小堤氏)

M&A による事業加速

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人材獲得、物理的な営業拠点を含めた市場獲得を迅速に進める上で、M&Aは非常に有効な手段です。M&Aに対して保守的な考え方が残る日本とは対照的に、国際的なスタートアップハブでもあるシンガポールからAnyMind Groupが事業を始めたことは、同社が事業成長を加速するためにM&Aを積極的に取り入れることができた一つの理由でしょう。小堤氏は、投資家の視点、将来の成長戦略、現地の文化、取引のスピードなど、M&Aには多岐にわたる要素を考慮する必要があると強調しました。

スタートアップが企業を買収する場合、買収価格の設定が難しいと思います。それに加え、買収先企業の文化や事業の成長戦略を理解できるかどうか。創業者をうまく引き込むことができるかどうかがM&A成功のポイントでしょうね。

また、M&A後におけるメンバーの残留やモチベーションの維持も重要です。買収後も、買収先企業が引き続き成長を続けるためには、金銭的なインセンティブだけでなく、共通のゴールや文化を理解し合うことが必要でしょう。(小堤氏)

2023年は、世界中のスタートアップにとって「資金調達の冬」と呼ばれた年で、小規模なスタートアップが大規模なスタートアップに買われるケースが顕著でした。ただ、単に規模の論理だけではなく、スタートアップ同士のM&Aの場合は、買収される側のスタートアップの個性が残されることが事業の多様化に繋がります。複数のプロダクトを提供する「コンパウンドスタートアップ」への気運が高まる中、日本のスタートアップは以前に増して、海外進出やM&Aを成長加速の選択肢の一つに入れるべきかもしれません。

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