社内規定SaaSから内部統制を含むガバナンステックへ、KiteRaがベンチャーデットなどで10億円を調達

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KiteRa 代表取締役の植松隆史氏
Image credit: Masaru Ikeda

コーポレートガバナンス強化支援 SaaS「KiteRa(キテラ)」を運営する KiteRa は16日、都内で会見を開き、ベンチャーデッドなどで約10億円を調達したと明らかにした。この調達では、日本政策金融公庫、あおぞら企業投資、静岡銀行、みずほキャピタルからベンチャーデットで、三井住友銀行からデットで資金を調達した。これはシリーズ A ラウンドに続くもので、累積調達額は約30億円に達した。

同社では、これまで提供してきた社内規定作成支援サービスの拡大に加え、内部統制やリスク管理など、ガバナンス全般をカバーする新規事業への進出を計画していることがを明らかにした。企業のガバナンス強化に対する社会的関心の高まりを受け、生成 AI を活用した新規ガバナンスプラットフォームの開発と、それに伴う新サービスの立ち上げに充てる計画だ。

Image credit: Masaru Ikeda

会見では KiteRa の狙いについて、代表取締役の植松隆史氏が「企業のガバナンス強化が、積極的投資を実行する背景にある」と強調した。近年、コンプライアンス違反起因の企業倒産が増加する一方、コンプライアンスへの社会の目が厳しくなっており、企業のガバナンス強化を追い風に、KiteRa では社内規定作成支援サービスの利用を拡大してきた。

今回のサービス拡大について、KiteRa では、2024年12月を目処に、内部統制の整備を義務付けた「J-SOX」対応のサービスを開始する。J-SOX では「フローチャート」「業務記述書」「リスクコントロールマトリックス」の3点セットの作成が求められるが、同社は社内規定との連携によって効率的な対応を可能にするという。

Image credit: KiteRa

さらに、内部監査業務の支援機能も提供する方針だ。監査法人の業務をデジタル化することで、監査の質と効率性を高められると期待されている。長期的には、個別のガバナンス業務で発生するデータを一元的に集約し、それを他の業務でも横展開できるようにしていく計画だ。ガバナンスに関わる業務の課題を、ソフトウェアを活用して包括的に解決することを目指す。

ガバナンス分野への新規参入については「社内規定とガバナンス領域は密接な関係にあり、自社の強みを活かせる」と説明した。同社は「日本を代表するコーポレートガバナンステック企業」を目指すとしており、企業価値の向上に貢献する製品・サービスを展開していく考えだ。ガバナンスの重要性が一層高まる中、AI を武器に新領域に踏み込もうとする同社の動きに、業界の注目が集まりそうだ。

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