AIコンテンツ制作者が画像を無断使用されたと告発、江蘇省の学生が数学競技会上位に——中国スタートアップシーン週間振り返り(6月10~16日)

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360 Security の AI 製品発表会でのリペイント写真(左)、クリエイター DynamicWang 氏によるオリジナル画像(右)。
Image credit: 21世紀経済報道

本稿は、Technode(動点科技)が、6月10日~6月16日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

17歳のファッション学生、Alibaba(阿里巴巴)の数学コンテストで名門大出身者や AI チームを破る(6月14日)

17歳のファッション・デザインを学ぶ学生が、Alibaba(阿里巴巴)が支援する世界的な数学コンテストで決勝に進出し、中国で広く注目を集めている。江蘇省にある職業高等学校で学んだという経歴を持つ彼女は、北京大学、清華大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの名門校出身の他のファイナリストを抑えて決勝に進出した。Alibaba によると、801人のファイナリストのうち12位にランクされた Ping Jiang(姜萍)氏は、トップ30に入った唯一の女性でもある。

コンテストの主催者である Alibaba の DAMO Academy(達摩院)が投稿した動画によると、Jiang 氏は偏微分方程式の独学に2年を費やしたという。彼女は、自分ができることを示し、「他の人に見てもらいたかった」と語った。毎年開催されるこの大会では、今年は人工知能を使って数学の問題を解くことができたが、AIを採用したチームの中で決勝まで勝ち進んだチームはなかった。達摩院

AI コンテンツ制作者が360 Security(三六零安全科技)に無断で画像を使用されたと告発、同社は法的措置を計画(6月13日)

中国の AI コンテンツクリエーターが、サイバーセキュリティ企業 360 Security Technology(三六零安全科技)に対し、同社の検索エンジンで「部分的に再描画された機能」を紹介するために AI モデルを使って作成したと主張する古代衣装を着た女性の画像の使用について異議を申し立てた。

クリエイターの DynamicWang 氏と 360 Security との論争は、両者が和解に至らなかったことからエスカレートし、同社の副社長である Zhihui Liang(梁志輝)氏は、法的手段に訴えることも辞さないと述べている。AI という新たな技術がますますコンテンツ作成に利用されるようになる中、著作者の帰属は明確に定義された法的枠組みを欠いている。

DynamicWang 氏が8日に360 Security に著作権侵害の疑いで謝罪を求める前から、同社は世論の嵐にさらされていた。6日に行われた同社の AI 製品発表会で、創業者の Zhou Hongyi(周鴻禕)氏がリペイント機能を紹介した際、彼は「セクシー」をプロンプトとして使い、物議を醸した写真の女性の胸を描き直すよう AI 搭載の検索エンジンに依頼した。

1月、北京インターネット裁判所(北京互联網法院)は、AI が生成した画像の著作権保護を認め、テキストから画像への AI モデル「Stable Diffusion」によって若い女性の画像を生成する前に、原告が複数のプロンプトを入力し、パラメータを調整したため、当該画像には「独創性」の要素があると裁定した。この判決は、このような AI が生成した画像の著作権侵害事件としては中国初と見られている。毎日経済新聞

Tencent(騰訊)が支援するドイツの VTOL スタートアップ Lilium が中国法人を設立(6月12日)

中国のテック大手 Tencent(騰訊)が支援するドイツの航空会社 Lilium は10日、中国南部の深圳市宝安区政府との協力協定の一環として、同市に地域本部を設立したと発表した。Lilium は宝安低高度経済産業公共サービスセンターに現地法人(力翎航空)を設立し、欧州の電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーとしては初めて、同地区に地域事務所を置く。

同社は、同社の飛行体が最終的に現地の安全要件を満たし、中国での eVTOL の商業運用の前提条件である耐空証明を取得することで、「この地域の低高度経済における積極的かつ貢献的な業界プレーヤー」となることを期待している。

このニュースは、TechNode(動点科技)が以前報じたように、中国の数十の地方政府が最近、eVTOL の開発を促進するための作業計画を発表し、中国政府が「低高度経済」と呼ぶものを強化するよう呼びかけていることに対応したものである。中国の企業データベース Qichacha(企査査)によると、Tencent が約22%の株式を保有する筆頭株主である Lilium は4月、登録資本金190万ユーロ(約3.2億円)の全額出資子会社を深圳に設立した。Lilium

East Buy(東方甄選)、スターインフルエンサーの Yuhui Dong(董宇輝)氏の発言で株価下落(6月11日)

中国のライブストリーミング e コマース企業 East Buy(東方甄選)の株価は9%下落し、13.9香港ドル(約280円)で取引を終えた。New Oriental(新東方教育)子会社の香港上場株は過去5日間で15.5%下落し、2社の創業者である Dong 氏が、East Buy のライブストリーム部門は今「雑な仕事」をしていると公言したことが新たな打撃となった。

元英語家庭教師で、バイリンガルで商品を売り込む Dong 氏は、East Buy の視聴者獲得に貢献した。しかし、同社の最新の決算によると、2023年11月までの半年間で純利益は半分以下に減少しており、安定した利益を達成することが East Buy の重要な課題となっている。第一財経

中国、端午節観光の一人当たり消費額が昨年を上回るも、コロナ禍前の旅行には及ばず(6月11日)

中国国内の旅行者は端午節に403.5億人民元(約8,750億円)を消費し、3日間で1.1億回の旅行が行われたことが文化観光部のデータで明らかになった。一人当たりの観光支出は前年同期比で4.2%増加したが、2019年の数字には遅れをとった。中国が新型コロナ規制を解除した後、消費者の信頼感は2回目の端午の節句でもまだ完全には戻っていない。

端午節は中国の伝統的な6月の祝日で、人々はもち米団子を食べたり、ドラゴンボートのレースをしたりして祝う。地元の主要な旅行サービスプロバイダからの報告によると、小規模都市や県(編注:中国における「県」は「市」より下位の単位)レベルの都市からの予約は、中国の大都市で経験した旅行人気を上回る熱狂に達した。新華社

【via TechNode】 @technodechina

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