就活生の価値観にあった就職先をAIが紹介「BaseMe」プレシリーズAで4.6億円を調達

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急成長する アレスグッド のチームは グローバル な構成だ

価値観マッチングを軸とする次世代キャリア支援プラットフォーム「BaseMe」を運営するアレスグッドは8月28日、プレシリーズ A ラウンドでの資金調達を公表した。調達した資金は総額4億6,000万円で株式と融資を組み合わせる。株式の引受先には既存株主のサイバーエージェント・キャピタルに加え、新たに WiL が参加した。

2020年創業の同社が運営する「BaseMe」は、価値観を軸に自分に合った企業と出会える次世代キャリア支援プラットフォームだ。 BaseMe は、機械学習および大規模言語モデル( LLM )を活用し、学生のプロフィール、経験、志向性、行動データを分析して企業の文化と価値観をマッチングする。これにより、従来の業界や職種から企業を探す就活とは異なり、自分の価値観や特性に合う企業との出会いを支援している。

現在、アレスグッドは35人規模のスタートアップとして成長を続けており、日本の東京とサンフランシスコに拠点を構えている。

今年7月には、AI 機能「BaseMe AI」を リリース 。この機能により、ユーザーは自身の価値観や志向性をより深く理解し、それに基づいたキャリア選択が可能になった。同社ではこれまでに150社以上の企業と15,000名を超える登録 ユーザー の求職をサポートしてきた。今回の調達資金で、AI を用いた価値観マッチング機能の強化と事業拡大を目指す。

BaseMe の誕生


BaseMe はアレスグッド代表取締役、98年生まれの勝見仁泰氏自身の体験から生まれた。彼の就職活動で自身の価値観や志向性に合った企業を見つけることの難しさを実感したことが開発のきっかけになっている。

BaseMe の核となるのは、AI を活用した価値観マッチングシステムだ。従来の就活サイトが業界や職種から企業を探す方法を取っていたのに対し、 BaseMe は学生の価値観や経験に基づいてマッチングを行う。勝見氏は従来の方法の問題点を次のように指摘する。

「これまでは(就職先の検索を)業界から入るとか、エンジニアだから IT で調べようという考え方だったと思います。一方、例えば車メーカーもソフトエンジニアを強く募集していますよね。しかし自動車メーカーという調べ方をしてる人にしかこの求人の情報は届かないわけです」。

ジャーナル への投稿を AI が判断して未来の就職先を紹介してくれる

このミスマッチの問題を解決するのが、 BaseMe のアプローチになる。

BaseMe では、学生が日々の経験や印象的な出来事を「ジャーナル」に投稿すると、AI がそれを分析し、その人の強みや適性を見出す。そして、その分析結果に基づいて最適な企業をレコメンドする仕組みになっている。

勝見氏はこのプロセスについて次のように説明する。「ユーザーさんがスカウトをもらうときに、なぜ我々があなたにスカウトを送ったのかという情報を AI がサジェストしてくれます。あなたがやろうとしてるこのソフトウェアの自動運転の領域って弊社でできますよね、という メッセージ がやってくる」。

このアプローチにより、学生は自分が気づいていなかった可能性や適性を発見できる可能性がある。同時に、企業側も従来の枠組みを超えた人材発掘が可能になるのだ。

大手中心に導入が進む BaseMe

企業側にとっても BaseMe の「AI フィルタリング」は大きな メリット をもたらす。特に大きいのは広がりすぎた母集団からの選別だ。例えば数万人規模の選考対象があったとして、そこにかける選考工数は計り知れない。そもそもカルチャーマッチしていない人は ふるい落としてからにしたいのは当然の話だろう。

特に効果を発揮しているのは、すでに高い認知度を持つ大手企業や、業界2番手、3番手の企業だという。勝見氏は「こういうフィロソフィーを大事にしてる」といった価値観を学生に伝えたい企業や、従来の就活サイトでは埋もれがちだった企業にとって、新たな可能性を開いているという話だった。現在、日本たばこ産業( JT )や アサヒグループジャパン など大手含め約150社の企業が導入しており、その数は順調に増加している。

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