2014年8月12日、日本のクラウドファンディングサイト「MotionGallery(モーションギャラリー) 」が、北米のクラウドファンディングサイト「Indiegogo 」と提携したこと が反響を呼んだ。
本誌では今回の提携と、モーションギャラリーの現状について、モーションギャラリー代表取締役の大高健志氏にインタビューを行った。
Q. 今回の提携の内容はどのようなものになるのでしょうか?すべてのプロジェクトがIndigogoに掲載されるわけではないですよね。
大高氏: Indiegogoに掲載されるのは希望したプロジェクトだけですね。希望すればすべて掲載されるわけではなく、モーションギャラリー側でチェックも入れます。
Q. Indiegogoにも掲載されることが決まったプロジェクトはその後どういったことが必要になるのでしょうか?向こうとのコミュニケーションも発生する?
大高氏: やりとりはすべてモーションギャラリーが行うので、プロジェクトを立ち上げた人は英語でコミュニケーションをする必要はありません。
Q. MotionGalleryとIndiegogoの両方にページが立ち上がるわけですが、ユーザにはどのように見えるのでしょうか?
大高氏:Indiegogoのキュレーションページ 内にプロジェクトが表示されます。Indiegogoで集めた金額もその時のレートに換算されてMotionGallery側のページの金額にインクルードされて、合計金額が表示されます。
indiegogo内のキュレーションページ
Q. リターン品はどのように設計されているのでしょう?日米で別々ですか?
大高氏: 輸送コストなどあり、リターン品はまったく同じではありません。最初は機械的に翻訳しようと思っていたのですが、Indiegogoに合わせてフルスクラッチで設計するほうがいい、という判断をしました。
Q. 英語圏に向けて展開するのに相性が良いプロジェクトはどのようなジャンルだと思いますか?
大高氏: ゲーム系、ハードウェア系がヒットしやすいのではと考えています。MotionGalleryは、映像や音楽など、アーティストなどのプロジェクトをよく掲載しているので、アート系のプロジェクトも送り出したい。
Q. クラウドファンディングはプロモーション的に活用する事例が国内外で見られますが、そうした活用方法も視野に?
大高氏: そうですね。日本の良い作品がもっと英語圏でも知られるようにできるのでは、と考えています。英語圏との情報接点的なものも生み出すことで、PR的にもメリットがあるのではないでしょうか。Indiegogoにプロジェクトを掲載することで、英語圏に情報をリーチさせられることのメリットもあると考えています。アート系の作品の中には、海外ファンが作品の魅力を発掘し人気を博した後、日本に逆輸入されるといった現象もありますが、こうした逆輸入な流れも起こしていければと思っています。
Q. 今後もIndiegogoに掲載するプロジェクトへのキュレーションには注力されるのですか?
大高氏: はい。海外で反響を呼ぶプロジェクトにするためのキュレーションをしていきます。より質の高いアドバイスをするためのナレッジもためていく予定です。
Q. 国内の他のクラウドファンディングサイトとの差別化のポイントはどこだとお考えですか?
大高氏: これまでサイトを運営して蓄積してきたナレッジと国内最安値の手数料が差別化のポイントだと考えています。また、MotionGalleryは作り手のためにある、クリエイターのためにあるサイトです。今後も、そこに寄り添って活動するという軸をぶらさずにやっていきたいと思います。
(インタビュー終わり)
日本発のプロジェクトが海外で資金を集めるためにはKickstarterやIndiegogoと直接やりとりせねばならず、プロジェクトをサクセスさせるための準備に多くの時間と労力を割く必要があった。
今回のMotionGalleryとIndigogoとの提携により、日本のプロジェクトが海外に出やすくなった。これは単にプロジェクトをサクセスさせて資金を募るに留まらず、海外に日本のプロジェクトを発信し、日本のクリエイターに海外マーケットを意識させることにつながるはずだ。
今後は、この提携が日本のクラウドファンディング業界に与える影響にも注目したい。