スタートアップ17社とVC17人が合宿形式でサービスをブラッシュアップ、起業家・投資家双方のチャンスが広がった「IncubateCamp 7th」

by Junya Mori Junya Mori on 2014.10.25

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スタートアップへの投資・育成事業を行うインキュベイトファンドが開催する起業家と投資家が合同合宿「Incubate Camp 7th」が、2014年10月24日(金)、25日(土)に開催された。

今回の「Incubate Camp 7th」から、シードラウンドの資金調達を希望するスタートアップだけでなく、すでにサービスをリリースしておりさらなる資金調達を希望するスタートアップも参加対象となった。

さらに、これまではキャンプで上位入賞となった参加スタートアップにインキュベイトファンドからシードマネーを投資していた。今回からは全参加スタートアップに対して、「Incubate Camp 7th」に参加している全ベンチャーキャピタルからの投資提案が可能となった。

起業家、投資家双方のチャンスが広がった今回の「Incubate Camp 7th」には、スタートアップ17社が参加。投資家サイドは、インキュベイトファンドの代表パートナー4名とスタッフに加え、12名のゲストベンチャーキャピタリストが参加。2日めには、ゲスト審査員5名も合流してプレゼンテーションが行われた。

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人工知能、機械学習領域で博士号を持ち、サンフランシスコのグロース特化型スタートアップスクール「Tradecraft」に選抜され、現在、Tradecraft EIRとして活動しつつ、カリスマ恋愛コンサルタントを名乗っている松村有祐氏がUber本国からの勧誘も蹴って始めようとしているのが、オンラインデイティングサービス「masquerade」だ。

「masquerade」は非モテ顔同士をマッチングするためのサービス。Tinderなど既存サービスはモテ顔の人たち向け、と松村氏は語る。

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同サービス内では、自分の顔を一部隠すことでコミュニケーションを誘発する仕組みを提供することを目指す。Pinterestのような世界観、顔を隠して撮影するのが楽しいという体験を提供しようとしているという。

投資家からの質問にもあったが、”非モテ顔”の人たちが集まるサービスだと認識されてしまうと、サービスを利用したいと考えるユーザはいないだろう。そのためブランディングが重要になりそうだ。

KAUMO(カウモ)

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KAUMO(カウモ)」は、スマホ時代における商品探しのスタンダードを目指すサービス。今年の6月にリリースし、今月で70万ユニークユーザまで伸びている。太田氏は人々はスペックで商品を選ぶのではなく、利用目的によって商品を選ぶようになっていく、と語る。

太田氏はPCサービスでは、カカクコムが普及していることによる弊害が存在しているという。それはユーザサイドでは、価格での比較ばかりになっていること、投稿されている評価がマニアックであること、販売側にとっては熾烈な価格競争さらされていること。

こうした課題を解決するために、「KAUMO(カウモ)」が行うことは、利用シーンをイメージできる動画や画像、ハウツー記事など、コンテンツを作成し、掲載することだという。そして、コンテンツを広めることで認知を拡大していき、評価とは異なる口コミを集めていくことを想定している。

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集めた口コミを既存のキュレーションメディアのようにまとめていくことで、人々の検索ニーズに対応していこうと考えているという。Rettyでキュレーションコンテンツを作成していた経験もあるという太田氏は、その経験を活かしてユーザのニーズに対応していこうとしている。

利用シーンの紹介で商品の詳細を伝えることは難しく、また現段階では投稿されている記事コンテンツは、既存のキュレーションメディアにも投稿されていそうなものが目立つ。検索トラフィックは獲得できそうな印象だが、どう購買の参考となるコンテンツを提供していくのか、今後を見守りたいサービスだ。

SKET

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既存のホワイトカラーの働き方は残業が多く、その残業のほとんどの時間は資料作成に費やされているという。こうした課題を解決するために、スマートキャンプの古橋智史氏が開発したのがクラウド資料作成支援サービス「SKET」だ。

「SKET」は会社や個人の資料作成をクラウドで依頼することができるサービスとなっている。今年の7月にサービスをローンチし、現在約40社が利用している。

いまはミドルエンド、ローエンドを対象としているが、今後はハイエンドなユーザの獲得を狙っている。そのために、企業のIR資料の作成などの案件を獲得していくために営業に注力していくことを考えているそうだ。

今後は、クリエイターネットワークを広げていき、単なる資料のビジュアル面を作成するだけではなく、調査まで対応することを検討している。

投資家からの質問には、コンサルティングのビジネスとどう差別化していくか、売り方が難しいのでどうマーケティングしていくか、といったものが出ていた。こうした課題が解決されれば、利用するニーズはありそうだ。

空飛ぶ処方箋

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標準的な中小薬局の収益構造は、月に700万円を売り上げても利益が10万円ほどしか残らない状況にあり、中小規模の薬局は経営が厳しい状況にあるという。薬剤師であり、MR経験者でもあるファーサス代表の山口洋介氏は、この課題の解決に取り組もうとしている。

中小規模薬局の収益増加ソリューションとして同社が提供するのが「空飛ぶ処方箋」というサービスだ。これはスマホアプリを通じて、患者が処方箋を撮影して、薬局に送ることで、薬局に行けば薬を受け取ることができるようになっている。

患者にとっては待ち時間の短縮になり、好きな薬局を選んで薬を受け取ることができるので、利便性が向上する。店舗側としてはリピーターと在庫融通の時間的余裕を獲得することができる状態を目指す。

現在はアプリを開発しており、最初は都市部の薬局を対象する。薬局側は利用に月額3000円と、一枚処方箋を送られるたび、50円が課金される予定となっている。

Synapse

Synapse

サムライインキュベートからも出資を受けているオンラインサロンプラットフォーム「Synapse(シナプス)」を運営するモバキッズ代表の田村健太郎氏もキャンプに参加、ピッチを行った。

「Synapse(シナプス)」では、ホリエモンこと堀江貴文氏がサロンを開設、起業家の経沢香保子とブロガー・作家のはあちゅう(伊藤春香)氏が共同で会員制コミュニケーションサロンを開設しており、共に会員数は500人を超えている。堀江氏のサロンに関しては、月額の会費が約1万円となっており、月に500万円を売り上げていることになる。

田村氏はメルマガやブログといった個人のメディアと比較して、オンラインサロンのほうが圧倒的にローコストであり、インタラクティブであると語る。会員との距離が近く、実名制であり、オンラインだけではなくオフ会も交流されている。今後、アメブロの著名ブロガーや有名人といった人々の参加を促していく予定で、4年後のIPOを目指すとのこと。

cozre

cozre

トウキョウアイトの松本大希氏が運営する「cozre」は、子育て世代を対象としたライフスタイルメディアだ。メディアの形態としては、キュレーションマガジンとCGMの組み合わせた形式のものだという。

遊ぶ、食べるといったカテゴリーで検索上位に表示されるようにコンテンツを掲載していき、今後順次カテゴリーを増やしていくことで、サイトの回遊性を高めようとしている。将来的には、ECを立ち上げ、そこへの接続も検討しているという。そのECには夫婦の両親へのおねだり機能等も付けることを想定しており、夫婦の財布以外の財布もターゲットとしている。

子育て世帯は約1700万人。今後、アプリ化等もしかけていき、売上50億円のメディアを目指すという。

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以前に「IncubateCamp」に参加していたウインクル代表の武地氏もプログラムに参加。ウィンクルに続く新しいプロダクトとして「maverick」というスマートハウスブランドを発表した。

プレゼンの内容からは、スマートホームなど家のIoT化の文脈ではなく、新たな生活家電ブランドという印象だ。武地氏は、ほとんどのメーカーは家族向けのプロダクトを提供しているのに反し、「maverick」はいわゆる”独身貴族”を対象としている。

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ピッチの中で発表されたのは、Twitterのタイムラインを自動で読み上げてくれるデバイス。「リア充からの悪質な攻撃を完全防御します」と武地氏が語るように任意のツイートを非表示にしたり、好きな音声で読み上げてくれるものになるという。

この他には、初音ミクのようなバーチャルアイドルを投影するプロジェクターなどもプロダクトとして考えているという。

LaFabrics

LaFabrics

以前も「IncubateCamp」に参加経験のあるテーラースタートアップのライフスタイルデザイン代表の森雄一郎氏もプログラムに参加していた。ライフスタイルデザインはオンラインで自分好みの服をオーダーメイドできるサービス「LaFabrics(ラファブリックス)」を運営している。

同社はビジネスモデルやサービスは形になっているため、今後はサービスのブランドづくりが重要だと考えている。そのため、人気スタイリスト、ファッション誌の編集長などに関わってもらい、ファッションメディアとのタイアップを図っていくという。

マンションマーケット

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リクルートでSUUMOを担当していたマンションマーケット代表の吉田 紘祐氏は、マンションの売買が可能な個人間取引サービス「マンションマーケット」を開発している。個人間でマンションの売買を行うにあたって、現在は間に業者が入りすぎている状態を、同サービスによってシンプルにすることを目指している。

中古の不動産取引は価格の妥当性がわかりにくい状態となっており、これをわかりやすくするため「マンションマーケット」では物件のページで相場の推移を見ることができるようになっている。また簡単に訪問査定を依頼することも可能となっている。

同社は、プレマーケティングも兼ねてマンション売却に特化した仲介手数料定額サービス「スマート売却」を開始しており、来年には個人間取引のアプリを提供予定だという。

スマート予約

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スマート予約」は、スマートフォンから業務中でも飲食店の予約が素早く可能なサービスだ。

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サイトを立ち上げ、希望条件を入れると、空席が確認された状態の予約候補店舗が3つ表示される。ボタンをタップすると、クラウドソーシングで主婦の方が電話で予約をしてくれて、予約が完了する。

現在、エリアを恵比寿に限定しているが、「スマート予約」を通じた一ヶ月の予約数は300件となっているという。

「スマート予約」を運営するBeer and Tech代表の森田氏は、ウェブ広告と飲食が近いと考えており、ウェブ広告におけるメディアレップ的な立ち位置を「スマート予約」でとることができると考えている。

はじめは労働集約型のビジネスだが、対応エリアが増え、予約件数が増えた段階で、テクノロジーを活用することが可能になっていく。

meleap

meleapの福田浩士氏はSF映画に登場するような日常生活でバーチャルを感じるシーンを実現したいと考えている起業家だ。ゲームの主人公のようにリアルとバーチャルを融合していくために、ARを用いたサービスを開発しようとしている。

ARはスマホをかざして利用していたが、これには違和感がある。だが、スマートグラスのようなウェアラブルデバイスはまだ普及には時間がかかる。そこで福田氏が考えているのは、ストックホルムの企業がKickstarterに出していた「Rescape」のようなデバイスだ。

サバイバルゲームが好きな人々との相性が良いと考えており、こうした層とコラボしていければと考えているという。利用する場所の問題や、サバイバルゲームではなく、こうしたゲーム形態を選んでもらうための工夫が必要になるかと考えられるが、日本からこうしたチャレンジが生まれることは個人的には期待したい。

airCloset

airCloset

先日、本誌で紹介したプロのスタイリストが選んだ自分好みの服が専用ボックスで毎月届くサービス「airCloset」を開発しているノイエジークの天沼聡氏もプログラムに参加。

「airCloset」はサブスクリプションコマースとシェアリングエコノミーの要素を持ち合わせたサービスで、投資家陣からの評価も高かった。現状、月額6800円で利用可能となる予定だという。

Okuyuki

okuyuki

Emotinal Brainsの横田洋一氏は3Dプリンタを用いてイラストを3Dフィギュアにするサービス「Okuyuki」を運営していた。今回の「IncubateCamp 7th」に参加し、新たに「工場のデータベース」アイデアを発表した。

大手メーカーだけではなく、より小さい規模でのモノづくりが増える流れが来ると考え、その流れに備えて、技術持っている工場のデータをまとめていければと考えているという。アイデアを聞いた印象では、アメリカの工場をまとめているサイト「Maker’s Row」を彷彿とさせる。

モノづくりに変化が起きていくことは間違いない。その領域にどう切り込んでいくのかが気になるところだ。

ライフイベントナビ

キーエンス、住友信託銀行を経て、個人の金融に対してサービスを提供しようとしている前田一人氏が発表したのは、お金のキュレーションメディアとお金の偏差値チェックを組み合わせたサービスだ。

日本の国民の金融リテラシーが低いという課題を解決するため、リテラシーの低い人たちの知識を上げられるように取り組んでいきたいと考えている。

お金に関するキュレーションメディアという切り口はおもしろい。伝搬するコンテンツと、人の役に立つコンテンツの両立が困難だと思うが、頑張ってもらいたい。

gamba!

今年の7月に資金調達を発表していた社内日報共有ツール「gamba(ガンバ)」代表の森田昌宏氏もキャンプに参戦。サービスの新たな発表というよりは、どういったサービスだと今後「gamba」を位置づけていくのか、という展望についてピッチを行った。

今後は、日報の共有を行うためのサービスではなく、ソーシャルグラフを用いて社員のやる気を出すサービスとして位置付け、経営に貢献するサービスとしての色を強くしていく。

なお、参加したスタートアップのうち、2社はサービスを非公開だった。2日間の評価をもとに発表された上位3社のうち、3位はスマート予約、2位と1位は非公開のスタートアップとなっていた。

非公開となっているスタートアップの詳細については、今後情報がオープンになるタイミングで取材できればと思う。

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