転職支援プラットフォームのgrooves、人材領域における人工知能・ビッグデータ解析の研究所を設立〜HR-XMLの第一人者、平田謙次氏を招聘

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2015.1.28

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(左から)grooves 代表取締役の池見幸浩氏と、同社HRTech研究所のプリンシパルに就任した平田謙次氏

転職支援プラットフォームを運営する grooves(グルーヴス)は今日、人材採用領域における人工知能やビッグデータ解析技術の活用に関する研究を行う「grooves HRTech 研究所」の設立を発表した。研究所のプリンシパルには、コンピテンシーや人材育成に関する国際標準化(ISO)に携わってきた、HR-XML 分野の第一人者である平田謙次氏が就任する。

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grooves では、エンジニアが自ら転職先を探せるプラットフォームとして「Forkwell Jobs」、一般職種の転職希望者と転職エージェントを結ぶプラットフォームとして「Crowd Agent」を提供している。この両方のプラットフォームを運営してきた中で明らかになったことがあると、gooves の共同創業者で代表を務める池見幸浩氏が教えてくれた。

社内にいる転職コンサルタントが支援すると、希望する転職先への内定は約6割まで持っていける。しかし、システムだけに依存すると、どれだけマッチングがしっかりしていても1割止まり。人がサポートする場合としない場合で何が違うのか。

当社の成績優秀なコンサルタントが、転職希望者にどのようなキャリアコンサルティングをしているのかを徹底的に観察した。それを平田氏が分析、データベース化することで、フォーマットが見えてきた。このコンサルタントのフローをシステム化すると、究極的には人工知能になる。

人工知能のインプットの部分は、IBM の Watson のようなしくみを使えばいいし、アウトプットの部分は Pepper などを使えばいいだろう。コアの部分も Google などが使える技術を API で公開してくれている。我々は、人と仕事をマッチングする部分のエンジンを開発すればいい。(池見氏)

キャリア形成には、かねてからプランドハプンスタンス(計画された偶発性)を伴うという考え方がある。必ずしも求める職種、求める人同士を限られた条件のみでマッチングさせるだけではなく、職業や人が持つ偶発的な作用、つまり、「仕事の方が自分を選んでくれた」とか「たまたま、いい話が紹介された」とか、その種のセレンディピティが期待できる分野だということだ。

しかし、プランドハプンスタンスやセレンディピティをシステム化する試みは、これまでのところ、日本の人材業界において行われた形跡は無い。特に大手の転職サービスにおいては、仕事内容とスキルセットの条件マッチングで、どのような仕事が紹介されるかが決まる。

「環境が人を作る」とは筆者の好きな言葉だが、良い環境があれば、人は職務経験の無い分野においても、期待以上のパフォーマンスを出せる可能性がある。ましてや、保守的な投資家が起業家にする質問ではないが、そもそもスタートアップが手がけるビジネスなんて、過去に事例がないケースがほとんどなのだから、その職務を経験した人物を探すこと自体がナンセンスになる。

日本国内の HR 市場(人材採用市場)は、2000年初頭に世界標準だった HR-XML を採用しなかったことから、Job Description(職務記述要項)の項目が企業によってバラバラで、世界的に見てもガラパゴス化している。この分野を研究していた日本を代表する人物である平田氏を招聘したことで、周辺データの標準化、ビッグデータや人工知能技術を応用し、より良質なマッチングや効率的な人材発掘の手法開発を目指したい。(池見氏)

平田氏に加え、grooves では今後も積極的にこの分野の学術権威を招き、HRTech研究所の活動を活性化していきたいとしている。

将棋やチェス、クイズの世界においては、人工知能が人間の能力を凌ぐまでになった。転職相談という人生を賭ける場において、人工知能は血の通ったコンサルタントよりも適切なアドバイスを示してくれる日が来るのだろうか。このニュースを聞いて、ハローワークの相談カウンターで、Pepper が相談者を手招きしている姿が眼に浮かぶのは、筆者だけだではあるまい。

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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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