5秒のスマホ動画広告ネットワーク「FIVE」本格始動、グリーベンチャーズとDonutsから資金調達も

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スマートフォン向けの動画広告ソリューションを提供するFIVEは3月30日、同社の動画広告ネットワーク「FIVE VIDEO NETWORK」を公開した。またこれと同時にグリーベンチャーズおよびDonutsを引受先とする第三者割当増資の実施も発表している。調達した金額や払込日などの詳細は非公開。

FIVE VIDEO NETOWRKは5秒という独自の時間尺で動画広告を配信するスマートフォンアプリ向けの広告ネットワークで、2014年11月からクローズドβで配信を展開してきた。

動画広告の開始トリガーも独特で、アプリ内コンテンツを閲覧した際、例えばコンテンツスクロールの最後で「バウンス」するアクションをきっかけに再生開始するなど、スマートフォン時代に合わせたユーザー体験を提供している。

と、文字で表現してもなかなか分かりづらいので、こちらに動画を用意してもらった。つまりはこういうことだ。

また、動画広告の計測についても運用でビュースルーやクリックなどの最適化ができるように、オリジナルの計測ツールを提供している。対象となる広告主はゲームおよびアプリケーションで、ネットワークしているメディア数については非公開だったが、話を聞く限りではこれからといった様子だった。

また、ブランド広告向けということで、今回資本参加したDonutsの提供する動画メディア「MixChannel」内への配信が4月から開始になるそうだ。

FIVEの設立は2014年12月。代表取締役の菅野圭介氏は元Googleで、2008年の新卒一期生として入社し、買収後のモバイルアドネットワークAdMobの日本オペレーション立ち上げやYouTube広告のプロダクトマーケティングに携わった、いわゆる「モバイル広告・動画ネイティブ」な人材だ。現在、4名の体制で開発を進めている。

菅野氏は自身が体験したモバイル広告黎明期をこう語る。

「当時はデバイスのペネトレーション(浸透率)も通信環境も3Gと悪かった。結果的にモバイルに対するリッチメディアキャンペーンは実験的に立ち上がりはするものの、スケールはしなかったんです。けれど、今は違う。(当時課題だと感じたことを)全てクリアできる状況になったんです」(菅野氏)。

また、彼らがこだわる5秒という映像尺についても、ユーザーの体験生以外にも、PDCAを回して広告効果を最大化させる効果があるという。

「クリエイティブを沢山作ってある素材にはキャッチを入れたり、音楽を変えたりするんです。映像制作が低価格化し、多様化した結果できるようになったことです」(菅野)。

まるでバナーを大量につくってA/Bテストを繰り返すように動画クリエイティブを差し替える時代がやってきた、というのだ。

ただ、5秒の尺と聞いて通常の15秒スポットなどを作っている制作マンは「変形尺はやりづらいのでは」と感じるかもしれない。CrevoやViibarといった動画映像制作のクラウドソーシングでも使っているのかとも考えたが、それだとコストが合わないだろう。

けど、実際彼らの映像制作フローを見せてもらったら、意外なことにゼロから作るという手法ではなかった。

つまり、既に完成されている素材を切ったり貼ったりして使っているのだ。通常、アプリやゲームにはプロモーション用に作成したムービーなどがある場合が多い。その一部を使って5秒の尺を作り、そこにテロップなどの効果を加える。もちろんゼロから作る場合も今後出てくるかもしれないが、それはもう少し先の話かもしれない。

最近とにかくテクノロジー界隈ではMeerkatとPeriscopeのスマホ・ストリーミング対決など、動画関連の具体的な話題が多い。YouTube以来、ずっと言われ続けてきた「インターネット動画の時代」が本格化し、スマートデバイスによって一般の人々のものとなる時代になったのかもしれない。

 

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