世界の銀行はいかにBitcoinの勢いを止めようとしているか

VentureBeat ゲストライター by VentureBeat ゲストライター on 2016.1.6

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Rupert Hackett氏はBuyaBitcoin.com.au. のコミュニティ・マネージャーである。デジタル通貨およびデジタル決済スペースの専門家で、現在は起業家精神の研究、およびデジタル通貨をテーマにした世界初の修士課程で研究中。複数のBitcoin関連のウェブサイトを運営し、buyabitcoin.com.au.のブログを定期的に書いている。

Image Credit: Reuters / David Gray

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銀行業界にとって、Bitcoinは心配とストレスの原因になっていることに疑問の余地はない。政府もどう規制すべきか分かっていない。非常に破壊的なテクノロジー、政府と銀行の外側で確実また効率的にお金を生み出し管理する、数少ない選択肢の一つ、世紀の発明である。

Bitcoinの実施は、銀行が売る主な資産、つまり信用を分散化して効率的に創り出し、政府の造幣独占に挑戦するものである。

銀行セクターの監督機関も関係者も最初はBitcoinを無視した。遅かれ早かれ消えるだろうというのが大方の予想だった。しかしながら、予想は外れた。時の流れと共にBitcoinは貨幣の現状を脅かす存在であることが明らかになってきている。

監督機関と銀行業界は今やこのテクノロジーを無視できない、ということを理解した。問題に向き合い、何とか処理しなくてはならない。しかし、Bitcoinは分散化しているので、銀行が競合相手に用いてきた従来の方法―好ましからぬ法案成立を後押ししたり、時には脅迫さえ含む―は使えない。新たな攻撃方法を探さなければならかった。防御用の武器として彼らが見つけたのは、 blockchainである。

銀行が注目する先は、blockchainへと変化

2015年の始まりには、主要な銀行企業が暗号通貨についての研究を強化している様子が見られた。そして、何千もの「ノード」を通してすべてのBitcoinで行われた取引を記録することによって分散した信用をネットワーク化できる公開された取引台帳であるblockchainへ投資を行った。

大手の銀行、ヘッジファンド、金融IT企業の役員たちは今や、blockchainがいかに革命的か、そしてblockchainが既存システムのセキュリティと効率を強化することで金融の未来がいかに変化するかを伝えることに躍起になっているように見える。

その過程で、それらの金融機関はBitcoinに汚名を着せた。

「今やblockchainがゲームの主役であり、Bitcoinではない」というスローガンの下、Bitcoinにはまじめに議論する価値もない、とけなしてきた。ほとんどの議論は、デジタル通貨なくしてblockchainを作ることはできないという事実を、表に出そうとしない。「私はblockchainは大好きだが、Bitcoinは嫌いだ。」という主張はつまり、いまだ可能かどうか証明されていない分離、分散化しない革新的テクノロジーを欲している、という意味になる。

もしもblockchainの過剰な宣伝が、Bitcoinの勢力を削るための計算された動きであるならば、企業の主戦力を金融セクターに配置しても、破壊的影響力は見込めないだろう。

「Mastering Bitcoin」の著者、Andreas Antonopoulos氏はGoogle Hangoutで、オランダのBitcoin伝道師Paul Buitink氏と対談した。その中で、銀行産業がblockchainに注目する様子を説明している。「彼らは分散化しない効率、規制できる低コスト、検閲付きのグローバル性を取り入れたいのです。」と述べた。「革新的また刺激的である要素をすべて剥ぎ取りながら、Bitcoinの革命的な性質を保つことはできません。」

報酬なくしてblockchainは使えない

報酬制度はblockchainの本質的な機能であり、報酬なしでは機能しない。報酬は、blockchainの管理と引き換えに、ランダムにエージェント(通常マイナーと呼ばれる)に配布される。このシステムのすばらしい点は、完全に「blockchainのセキュリティ」をコントロールできるマイニンググループは存在しないという点だ。なぜなら、セキュリティをコントロールできるようになってしまうと、そのシステムが機能しなくなってしまうからだ。blockchainの存在が可能になる唯一の方法は、セキュリティエージェントが自己規制による分散型の方法で機能するようにインセンティブを与えることだ。

つまり、Bitcoinのような通貨がなければ、blockchainの設定は、この技術の開発者(匿名・中本哲史氏。2008年11月にBitcoinの論文を発表した。ただし、最近の報道にもかかわらず本当の姿は謎のままである。)が描いたようなものにはなり得ない。

インセンティブシステムのないblockchainが、Bitcoinに基づいたblockchainよりもどれだけ革新的なものになり得るか、示せた人はまだ誰もいない。

これらすべてを考えると、Bitcoinコミュニティにいる私たちの多くは、銀行から聞こえてくるblockchainの過剰な宣伝は分散化した通貨と戦うために協調した努力なのだ、という結論に至る。

「銀行は自分たちの産業も企業をディスラプトしたいのですが、しかし、実際に破壊的なテクノロジーが登場すると、叫びながら逃げるんです。」Antonopoulos氏は述べる。「彼らは、金融の根本原理が変化する混乱を想像できないのです」と彼は続ける。

誰でもサッカーをしたことがあれば、または少なくとも観戦したことがあれば分かることだが、選手は高速で向かってくるボールに対して、その真正面に立ってボールを止めたりしない。むしろボールの動く勢いを生かし、ボールの進む同じ方向へ沿って動こうとするはずだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

VentureBeat ゲストライター

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VentureBeat へのゲスト寄稿の翻訳です。

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