Bicrementsがビットコイン取引所「Lemuria」をローンチへ——仮想通貨決済GWやデビットカードも準備中

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東京を拠点とする Bicrements(バイクリメンツ)は31日、ビットコイン取引所「Lemuria」のローンチを発表した。日本円とビットコインの現物売買取引が可能で、ユーザは自身が持つビットコイン・ウォレットへビットコインの送金・保持ができる。日本には既に、bitFlyercoincheckbitbankQuoine など複数のビットコイン取引所がひしめき合っている。取引所は利幅の薄い手数料ビジネスだけに、スケールメリットや信用取引をはじめとするデリバティブ商品の充実が重要視されるが、このタイミングでのビットコイン取引所のローンチは周回遅れの感さえある。

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そんな中、Bicrements が勝ち目を見出そうとしているのは、ビットコインの直接取引にあるようだ。同社はビットコインを現金に変えることなく、ビットコインのまま商品を売買したり、収入や支出に使えたりするプラットフォーマーになることを目指しているようだ。その足掛かりとして、今夏までに、ユーザが自らのウォレットに入ったビットコインを使って、オンラインやオフラインで一般実店舗で買い物ができるデビットカード(VISA 加盟店での利用が対象となる見込み)、POS などを経由したビットコイン決済を受け入れられる決済ゲートウェイを提供する計画だ。今年の6月23日には(別の情報では、2016年7月12日ごろ)、4年に一度となるビットコインの半減期を迎え、ビットコインの取引価額の高騰も予想されることから、ビットコイン全般への関心の高まりも同社にとって追い風になるだろう。

Bicrements は2015年12月、グリーでソーシャルゲーム「聖戦ケルベロス」の開発に従事した後、電通ブルーでスマホカメラをハックできるアプリ「ChainSnap」の開発に携わった柴田倫宏氏、サミーネットワークスやアドウェイズを経て、ニューヨークなどを中心に仮想通貨領域のニュースを伝えるメディア「Cointelegraph」の日本語版編集長を務める山村賢太郎氏らによって立ち上げられた。柴田氏や山村氏ら創業メンバーの自己資本に加え、ノボット・スケールアウト・電通ブルーなどで製品開発責任者を務めた上野武史氏らがエンジェル投資家として出資している。決済ゲートウェイやデビットカードのプラットフォーム開発を加速するため、今後、シードラウンドでの資金調達も模索していくとしている。

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既存の決済ネットワークを活用し、市中やオンライン店舗でビットコイン・ウォレットと連動するデビットカードを使って買い物ができるしくみとしては、Y Combinator の支援を受けた Shift Payments のほか、SpectrocoinXapoCryptopayBit-xe-coin などのスタートアップがサービスを提供している。オンラインバンキングや電子マネーなど、既存の決済手段が一定の成熟を見せた市場においては、支出のみならず収入もビットコインで直接得られるようになることがビットコイン普及の大きなカギになるだろう。Bicrements では今後も新たなサービスの発表を予定しているとのことなので、その日を楽しみに待つことにしたい。

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