人気ゲーム「シヴィライゼーション」の25年:66バージョンで累計3,300万本の売上、総プレイ時間は10億時間に

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Above: Civilization game designers Bruce Shelley, Sid Meier, Brian Reynolds, and Soren Johnson. Image Credit: Dean Takahashi
上: シヴィライゼーションのゲームデザイナーである Bruce Shelley 氏、Sid Meier 氏、Brian Reynolds 氏、Soren Johnson 氏 (Image Credit: Dean Takahashi)

シヴィライゼーション(以下 Civ)はストラテジーゲームの代表作の一つだ。他の複数の文明と競合しながら世界を創造することができる。1991年のデビューから今年で25年目を迎えた本作は、ゲーム業界に携わる人なら誰もが認め、一度はプレイしたことのある試金石とも言えるゲームである。

Above: The dawn of Civilization. Image Credit: MicroProse
The dawn of Civilization.
Image Credit: MicroProse

一つのゲームシリーズが25周年を迎えるというのは珍しいことだが、プレイヤーや開発者の多くが言うように Civ は成功し続けている。現在までに3300万本を売り上げており、うち800万本は2010年に発表された最新作 Civilization Vとその拡張版が占める。MicroProse、そしてFiraxis で Sid Meier 氏のチームはプラットフォームを網羅した66バージョンを制作し、ダウンロード販売サイト Steam とコミュニティ・プラットフォームでの売上によれば Civ シリーズは推定で10億時間以上プレイされている。

ラスベガスで開催されたゲームイベント「DICEサミット」で2月18日、この25年間にCivのゲーム開発に携わった Bruce Shelley 氏、Sid Meier 氏、Brian Reynolds 氏、Soren Johnson 氏が、これまでの Civ 開発とこのシリーズがもたらしたインパクトについてパネルトークを行った。(Meier 氏へのインタビューはこちら

Civが発表された時、いわゆる「ゴッドゲーム」のジャンルにはすでにSimCityとPopulousが登場していた。それでもCivには、人類の歴史全体をシミュレートしようとするその方法においてユニークさがあった。

上: Civilization 2 Image Credit: MicroProse
Civilization 2
Image Credit: MicroProse

このゲームは楽しいと思えたし、他にこんなゲームはありませんでした。私たちは新天地を開き、そこで成功することができたんです。(Meier 氏)

また、Railroad Tycoon、Covert Action、Pirates! といったヒット作や多様な戦闘シミュレーションゲームを生み出した後の、「MicroProse の黄金期」に本作が初めて発表されたことにも触れた。

戦術ゲームはクールなものになるんじゃないか、と思うきっかけがあり、線路を置いていくというだけではない、シミュレーションの壮大なテーマとは何だろうと考えていました。何か大きなものとして完成させたかったんです。シヴィライゼーションの開発は、SimCity などのゴッドゲームから刺激を受けてのことです。核心は経済、戦闘、発展などシンプルなシステムを数多く取り入れたことです。それ自体の事は予想しやすくても、相互に作用し始めると、プレイヤーの決断にがぜん面白味が出てきました。(Meier氏)

プレイヤーは Civ にどれだけのめり込んでいるかを話題にする。Reynolds 氏によれば「あと1ターンだけ」を繰り返してプレイし続けてしまう、というこのゲームの特徴の一つがプロモーションになったという。Johnson 氏は Civ には素晴らしいゲーム性とテーマがあり、そして没入しやすかったと述べた。ゲームの進み方に対する開発者の存在感が薄く、プレイヤー自身がゲームをコントロールしていると感じることができたのだ。

25年間、このパターンを踏襲しました。(Johnson氏)

どのゲームの開発時にも創造上のプレッシャーがあった。Meier 氏はシリーズをさらに続けるためのアイデアを持った他の開発者たちに、喜んで構想を引き継いだ。ゲームで世界をシミュレーションする性能はコンピュータの性能に伴って上がり、さらにリアルなCiv世界を創り出せるようになった。Civ シリーズの初期のゲームと最新のゲームを見れば、グラフィックスにおけるテクノロジーの進歩がひと目でわかる。

とはいえ、開発者は新しいゲームに、より良いグラフィックだけでなく新しいアイデアを持ち込まなければならない。

シヴィライゼーションの破壊者として歴史に名を残したくはありませんでした。(Reynolds氏)

第一作目の Civ は16色だった。Civ II では Windows の登場でPCゲームがより多くのユーザに魅力的に映った。現在は何百万色という色数を利用している。

Brian(Reynolds氏)は1年間イギリスに行っており不在でしたが、Civ IIで戻ってきました。(Meier氏)

Reynolds 氏によれば、Civ IIは当初3万8,000本の売上を見込んでいたが、実際の売上は何倍にもなったという。

Civ IIIとCiv IVでは、それぞれ新しく扱うべき物事として、たとえば偉人と呼ばれる特殊なキャラクターや宗教などが追加された。

古いアイデアをそのまま引き継ぎつつ、まっさらなところからスタートしたかったんです。(Johnson氏)

Civ IVでは、Johnson氏は「3分の1は古いままの、3分の1は改良した、残りの3分の1は全く新しい」アイデアをもとに開発したため、新しいファンに受け入れられつつ、旧作からのファンも楽しむことができたという。

Above: Civilization V has sold more than 8 million copies. Image Credit: 2K
上: Civilization V は800万本以上売れた。
Image Credit: 2K

大きくなりすぎたり、アイデアが複雑になりすぎたりして、失敗してしまうシリーズもあります。(Meier 氏)

同氏は2008年に、より手軽な導入版のゲームである Civilization Revolution で Civ をモバイル化する試みを行っている。

Meier氏は、シリーズが25年の間人気を維持し、その楽しさを失わずにいるのはコミュニティのサポートのおかげだとも語った。

コミュニティからのアイデアやエネルギーが大量にゲームに注ぎ込まれてきました。Brian(Reynolds氏)がCiv IIに修正案を取り入れてから急にゲームが売れ出したんです。

Civの持つ何かが、ユーザ自身をゲーム開発者にしてしまったようでした。『自分ならこう変えるのに、と思っていたところが変わっていた』という手紙をゲームのファンから貰ったこともありました。(Meier 氏)

Meier氏曰く、最近のFiraxis Conイベントでは複数世代の参加が目立っていたようだ。親世代のプレイヤーが子どもたちを連れてきて、この新しい世代にゲームを教えていたそうだ。

これはプレイヤーが人類史全体の支配者となれるゲームです。実際の歴史に入り込み、人々が知っている史実に影響を与えることができるということです。人が共通して持つ歴史があり、その歴史を思いのままに導いてみたいという心の底の欲求に働きかけるのです。(Reynolds 氏)

Above: Civilization: Beyond Earth is pretty … until those things eat you. Image Credit: Firaxis Games
上から眺める地球は美しい。そう思うのも、あなたがやられてしまうまでだが。
Image Credit: Firaxis Games

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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