事業に失敗したEvenpandaが、プライベートダイニング向け予約プラットフォームの「Clubvivre」として再スタート

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【原文】

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野心を抑えろ。こんなアドバイスを起業家から言われることはほとんどないだろう。というのも過大な野心というのがスタートアップの定義そのものだからだ。しかし思い起こせば昨年シンガポールでオンラインアクティビティマーケットプレイスとしてスタートしたEvenPandaにとって、過大な野心こそが命取りだったのだ。

野心は悪いものではないが、現実主義でバランスをとる必要がある。共同創設者のMaria Kuvshinova氏とその夫Andries De Vos氏が説明するには、EvenPandaは手を広げすぎたために失敗したのだという。会社創設者たちはブログで以下のように述べている。

「私たちは、自分たちの基本的なテーマに関する課題に取り組まなければいけなかった時期に、大規模化に向けたインフラ構築のことを心配するなど、必要以上の取り組み方をしていました。」

いくつかの重要な分野に集中するのではなく、EvenPandaは、トライアスロン初心者ブートキャンプから、創造的プロセスおよびデサインの講習会、ロシアの自家製パンケーキの日曜ブランチに至るまで、ユーザに異なる幅広い選択肢を提供していた。

自己資金スタートアップである同社は、シンガポールの他に、ウィーンとサンクトペテルブルクでも事業を立ち上げた。彼らはさらに、「私たちは会社の活動範囲を自分たちのヨーロッパでのウェディングプランに振り回されてしまうようになるまで広げてしまいました。」と語った。

そこで彼らは一大決心をした。それはEvenPandaを葬り、Clubvivreに方向転換することである。

あちこち飛び回るのではなく、現在Clubvivreは料理長レベルのシェフによるプライベートダイニング体験に的を絞り、一人当たり180シンガポールドル(147米ドル)を超える額で提供する。3都市ではなく、現在のところ1か所、シンガポールだけから始めている。

名前もふさわしい。Vivreとはフランス語で「生きる」という意味で、彼らのブランドにフィットし、偶然かどうかは別にして、彼らの再生の印でもある。

また、レッスンの需要と供給の強化を常に悩むこともなくなった。今の戦略は、長期的なパートナーをより多く確保することで、供給面の心配をあまりしないようにすること。それによって、彼らはすべてのエネルギーを買収チャネルや流通パートナーの発掘、プロダクトのストリーミングに集中させることができる。

プライベートダイニングとは面白いテーマだ。1度の食事に数千ドルかかることもあるが、その料金でゲストが楽しめる食事とは、プライベートシェフJohn Sawarto氏による「バリスタイルのローストポーク」、もしくは南アフリカ僻地出身のシェフでお肉料理の達人Bjorn Seegers氏が料理する刺激的でエキゾチックな野生の動物のお肉などだ。

Clubvivreは、自由に使える収入を持ち、エキゾチックな体験を望む外国人居住者やシンガポール人をターゲットにした確かにニッチなプロダクトだ。料理人たちは、自分のビジネスを立ち上げるのを容易にしてくれるこのウェブサイトを魅力に思うかもしれない。Mariaはこう言う。

「トップシェフに対するプレッシャーの高さとそれに見合わない経済的見返りの低さから、多くの料理人たちが起業しようとしていますが、一人でやっていくのは大変なこともあります。」

もうひとつの重要な違いは、EvenPandaはピアツーピア市場であり、Clubvivreではコラボレーターを厳選する。煌びやかな実績、優れた人格、お金よりも情熱を優先するシェフを見つける努力は、シェフのサイトへのコミットメントによって報われるだろう。

しかし収益モデルと技術は、ほとんど同じだ。同スタートアップが手数料の値上げで売り上げを伸ばし、オンラインプラットフォームはユーザが予約と同時に支払いを済ませることを可能にしている。

立ち上げたばかりで、この先流行るかどうかを判断するのは時期尚早だ。販売パートナーの確保の問題もある。だから今年、チームは銀行、ライフスタイルメンバー組織だけでなく、ロイヤルティプログラムの獲得に努めることになるだろう。大企業や銀行の幹部は、彼らのゲストをもてなすための方法として同じように興味を持つかもしれない。

資金調達もClubvivreの課題のひとつだ。同社はFounder Instituteのイベントで投資家の前でピッチする予定だ。資金調達ラウンドによって、その地域における他の裕福な都市に事業を拡大できるだろう。

現在シンガポール周辺に見られる豊富なアーリーステージ資金のおかげで、Clubvivreは成功へのあらゆる機会が与えられている。

【via SGE.io】 @SGEio

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