5月25日にOpen Network Labの主催で「Onlab Growth Hackers Conference 2013」が開催された。DropboxやAirbnbなど、世界規模でのグロースハックを手がけたスペシャリスト達が、それぞれのユーザー獲得の経験・事例を共有した。
プロダクトを利用するユーザ動向データを解析し、プロダクトの改善・改良を迅速に行っていくシリコンバレーで今最も注目の役割である「Growth Hacker(グロースハッカー)」について語られたセッションの模様をレポートしていく。
続いての登壇者はMixrankの創設者、Ilya Lichtenstein氏。Mixrankはウェブサイトにおいて最もコンバージョンの高いトラフィックソースを特定するため、何百万もの広告やキーワード、ランディングページの分析を行うマーケティングツール。
Mixrankは、Y Combinator、 500Startups、Mark Cubanからも出資を受けており、Ilya氏は500Startupsのメンターでもある。メンターとして主にサービスの普及とユーザ獲得を専門の分野としてアドバイスを行っているIlya氏から、ユーザ獲得について共有が行われた。
グロースに必要なマインドセット
Ilya氏は、まずグロースを始める前に必要な心構え、マインドセットについて語った。まず、成長について実践する前に、以下のリストのような項目をチェックしてみよう。
Growth Mindset
- ・Growth = Leverage グロースとはSEO、CVRの最適化だけではない、投資対効果を大きく拡大するもの
- ・Seek multiplicative effect、ビジネス開発、セールスなども含まれる
- ・Remember the 80/20 rule 成長の、ユーザーの、売上の8割は2割が源泉となっている
- ・Minimize opportunity costs 機会損失の極小化を狙う、トラフィックは有償か無償か
- ・Ask does it scale? スケールする可能性はあるか?
- ・Anyone can be a growth hacker 人材はいるか?
成長に最適なタイミングとは?
さきほど紹介したマインドセットを踏まえ、グロースに最適なタイミングをはかる。最適なタイミングはいつなのかを知るには、以下にリストアップした項目をもとに判断する。
When is the right time to grow?
- ・When you have initial Product / Market fit PMFに達していること
- ・When you understand key metrics 基準となる指標を理解しているか
- ・When the numbers make sense 数字が立っている
- ・When organic demand matches your roadmap ロードマップと需要がマッチしたとき
- ・When you see opportunities to scale スケールさせる機会に出会ったとき
- ・You cannot create demand 需要を作り出せていないのであれば、ひくことも大事
- ・Growth hacking accelerates existing processes グロースハックが既存プロセスを加速させる
これらのことが満たせていないのであれば、グロースを行うタイミングではないのかもしれない。自分たちのプロダクトやサービスのフェーズを見極めよう。
グロースプロセスにおいて検討する4つのポイント
グロースのタイミングとなったら、いよいよグロースに向けたプロセスに入っていく。Ilya氏が語るグロースプロセスは、以下の4つに大きく分けられる。
The Growth Process
- ・QUALIFY – your best users
- ・IDENTIFY – where they go online
- ・ACCESS – distribution channels
- ・AUTOMATE – inefficient processes
これら4つのプロセスについて、順に見ていく。
Qualify(合わせる)
- ・more than engagement どういったユーザが収益源になるのかまで考える
- ・Revenue potential 無償でサインアップ、そのユーザが自分たちにとって収入源となりうるポテンシャルを計測
- ・First-party data analytics
- ・Third-party data append
- ・Track cross-channel activity
- ・Cohort analysis 共通点のある人を分類しようとしている
- ・Metrics with predictive power
Identify(ユーザを特定)
- ・Psychographics > demographics ユーザを特定するために、ロールプレイなどもする
- ・The easiest method ; talk to them! サインアップすると個人のメールアドレスで挨拶メールが送られるなど
- ・Find adjacert market 適切なマーケットを見つける
- ・What are they talking about? 何を話している人たちか
- ・Where do they come from? どこから来るのか
- ・When do they come? いつアクセスするのか
Access(流通)
- ・Not just viral
- ・Fail fast
- ・It’s all about traffic quality トラフィックの質も意識する
- ・Optimize for share of voice
- ・Arbitage low > high quality
Automate(自動化)
- ・What will help key metrics the most? 鍵となる指標に最も貢献するのは何か
- ・DO NOT track everything! すべてをトラックしようとしない
- ・Remenber opportunity costs 機会損失を忘れずに
- ・Not all solutions are technology solutions すべての解決策がテクノロジーによるものではない
- ・Involve everyone on the team チームの全員を巻き込む
- ・Foster a growth mindset グロースマインドを育てる
- ・Control Growth rate 成長率をコントロールする
いかがだろうか。グロースにおける各ステップのチェックリストを公開した。このリストを参考にしてもらいながら、自分たちの現状と照らしあわせてどう成長させていけばよいのか、考えてもらいたい。
この記事は、5月25日に開催されたGrowth Hack(グロースハック)をテーマにしたカンファレンスのレポート。他のセッションについては「Onlab Growth Hackers Conference 2013」でまとめている。
今カンファレンスを主催したOpen Network Labはスタートアップを支援するSeed Accelerator Programの第7期を2013年5月31日(正午)まで受付を行なっている。
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