「Spotifyでアーティストは2倍稼げる」ーーSpotifyアジア太平洋地域新市場部門トップが語る

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Sriram-KrishnanSpotifyアジア太平洋地域新市場部門トップのSriram Krishnan氏が同社サービスのアジアローンチ成功を受け、音楽業界に対する見通しについて語ってくれた。

先月アジアにSpotifyがローンチされた後、e27はSriram Krishnan氏に独占インタビューし、アジア諸国の音楽業界についてうかがった。Spotifyアジア太平洋地域新市場部門トップの同氏が興味深い考えを語ってくれた。

Spotifyは、マレーシア、シンガポール、香港でサービスを開始しましたが今どのような具合でしょうか?よろしければ数値を公表していただけますか?

香港、マレーシア、シンガポールでのサービス開始に対する反響は無料サービス、有料会員制サービス共に予想を超えるものでした。数値についてはお話することはできませんが、これら3つの国でのローンチは、これまでSpotifyがサービスを提供している市場の中でもベストの部類に入ると申し上げておきます。この多くはこれら3か国の音楽ファンに提供している無料サービスによるものです。

それでは、Spotifyの無料サービスはアジアの消費者そしてSpotifyにとってどれほど重要なのでしょうか?

残念なことですが、この地域で消費される音楽の多くは、海賊版や違法のチャンネルを経由して提供されています。世界の音楽を無料で提供することによって、ファンの皆様は音楽を合法的に便利な環境で入手でき、さらに音楽産業にプラスの貢献をすることができます。

無料サービスはアジアにおいてSpotifyが成功し、さらに成長するために役立ってきました。他の音楽サービスとは違い、Spotifyは偽りのない無料サービスを提供しています。何のごまかしもありません、お試し期間や、上限もありません。いつまででも無料です。

Spotifyはどのように地元の音楽産業やそれらの国々に貢献しているのでしょうか?

Spotifyに加入するユーザの多くは音楽を聞くためにほとんどあるいはまったくお金を払っていなかったと述べています。これが世界中の若い音楽ファンの典型的な姿です。彼らは主に、適切に管理されていない、そしてマネタイズがうまく図られていないチャンネル経由で音楽を入手しています。

Spotifyは、音楽産業にとって、新たに付加的な収益源になるものです。そしてそれは従来のダウンロードサービスを支え補完するものです。Spotifyはサービスを提供しているすべての市場でデジタルそして従来のビジネスを成長させ、また多くの場合加速させてきました。

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報酬の還元方法について分かりやすく説明していただけますか?

広告や購読料によってSpotifyが集めたお金の70%以上は、音楽業界に還元されます。レコーディングアーティストや作曲家との契約内容に従い、報酬を支払っているレコード会社、デジタル配信業者、アグリゲータや著作権管理団体と、私たちは直接契約を結んでいます。

これらの契約にはたいてい厳しい守秘義務がありますが、具体的に示された条件が自身に適切かどうか理解するために、アーティストは、配信業者と相談することをお勧めします。しかし、通常Spotifyはサービスでのアーティストの人気に応じてロイヤリティを支払っています。人気のある曲やアルバムは時間が経つほどに大きな利益をアーティストへ生み、多くの場合それは前払いの場合よりも大きくなるからです。

アーティストに直接支払っているのでしょうか?

アーティストとは直接契約を結んでいません。Spotifyはレコード会社と契約し、レコーディング契約に従ってレコード会社がアーティストへ支払いを行うことになります。さらに、作曲者に対して支払いをしている著作権管理団体にも還元しています。

インディーズのアーティストでもSpotifyでコンテンツを公開できますか?

もちろんです。私たちはすでにInGrooves、Phonofile、Kontor、IODAやOrchardなどのデジタルアグリゲータ、そしてグローバルな権利団体Merlin Networkと契約を結んでいます。

リスナーを増やしたいアーティストは、人々へ広く自分の曲をアピールすることで成功をつかもうとしています。Spotifyは今最も成長している音楽プラットフォームなのです。

インディーズアーティストはSpotifyに音楽を載せるために、自分たちにふさわしいと思える配信業者を選ぶことができます。レコード会社に所属していると、アーティストへのロイヤリティの支払い方法、支払い時期などは配信業者に影響されます。どのアグリゲータも自身の方針を明確にウェブサイトで公開しています。

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現代のシングル、アルバムの販売モデルとの経済上の違いはどこでしょうか?

私の見たところ、ストリーミングの経済性はデジタルダウンロードのものとは大きく異なります。適切に比較するためには消費者の価値を長期的に考慮する必要があります。言い換えると、有料ダウンロード購入者と比べてストリーミングの会員がどれだけ多くの収益をもたらしてくれるのかということです。

アメリカを例にとると、Spotifyのプレミアムユーザは、年間最低でも120米ドル支払うので、「単にダウンロードする人たち」よりは有難い消費者です。一方、ダウンロード購入する人が年間で音楽にかける費用は、平均で60米ドル以下です。そのため、もし4000万人いるアメリカのダウンロード購入者がSpotifyを利用するようになれば、アーティストが自分の曲で稼げる額は、今の倍になるというわけです。

私たちは、曲やアルバムの所有権を販売しているのではなく、音楽へのアクセス権を販売しているのです。ロイヤリティは楽曲やアルバムがストリーミングされる度に発生します。これに対し楽曲やアルバムの購入では一度だけです。

Spotifyのユーザは有料会員となり平均的なダウンロードで購入する人よりも2倍の金額を音楽に費やしています。現代の音楽ファンがどのような形で音楽を聞くのを好んでいるのかをこのサービスがよく物語っています。インターネット上で他のサービスを介して毎月150億をはるかに超える楽曲がすでにストリーミングされているのです。

レコード会社は株主になっているのでしょうか?

はい、大手とインディーズがほんのわずかですがSpotifyの株式を所有しています。Spotifyが成功することにより音楽産業(権利の所有者)が利益を直接的に享受することができるよう、そうしています。そしてその利益がアーティストや作曲家の手に渡ることになります。

以前Sriram氏はシンガポールでのSpotifyのローンチの際に同社が過去4年間に5億米ドル、そして今年はさらに5億米ドルを音楽産業に還元するだろうと述べていた。

Sean Parker氏はFounders Fundを通じてSpotifyへ投資しており、また強力な支持者でもある。「IFPI Digital Music Report 2012」を読めばデジタル音楽産業についてより詳しく知ることができる。

【via e27】 @E27sg

【原文】