クリエイティブ業界ではちょっとした革命が起きている。多くのスタートアップがあらゆる種類のアプリを開発し、高価だった業界向け専用ツールが一般の人々にも手の届くものとなっている。
ユーザがボタンを一押しするだけであらゆる画像フィルタを適用してくれるInstagramは序の口で、データをもとにして文法的に完璧な記事を作り出すNarrative Science、プログラムを書かずにユーザがアプリを作成できるKnack、そしてインフォグラフィックの作成を簡単にしてくれるPiktochartがある。
しかし、ちゃんとしたグラフィックデザインをするツールとしてInstagramのように支持されているものはそう多くは存在していない。Canvaはその候補の1つで、ウェイティングリストで待っているアメリカとオーストラリアのユーザにローンチされた。このウェブアプリを使ってグラフィックデザインを極めてシンプルにすることを目指している。一方で、Photoshopは価格が高く、複雑で習得するのはなかなか難しい。Canvaは無料でシンプル、そして簡単に習得できるようだ。
Canvaは、オーストラリアのスタートアップCanva(アプリと同名)によって開発された。同社は3月に、Matrix Partners、InterWest Partners、500 Startups、Facebookの技術部門ディレクターLars Rasmussen氏やYahoo!のCFOのKen Goldman氏などの著名なオーストラリアやアメリカの投資家から、資金調達ラウンドで300万米ドル獲得したことを発表している。
1年の開発期間を経て、アプリはついにアーリーアダプター向けにお目見えした。
ログインするとホーム画面に進み、そこにはFacebookのプロフィールカバー、A4の資料やプレゼン用資料の寸法サイズに合う所定のキャンバスが揃っている。ユーザは寸法サイズを調整することもできる。
設定された寸法を選ぶとデザインページに進み、様々なデザインを選ぶことができる。特定のテンプレートは、キャンバスにドラッグ・アンド・ドロップするだけで利用できるようになっている。
アプリを使うと保存されている画像を簡単に利用することができる。Canvaには、各デザインが1米ドルで利用できる検索可能なプレミアム画像のライブラリーがあり、画像を保存している他の多くのサイトよりも安く利用できる。ユーザは、トータルで100万の画像と何百ものフォントの中から選択することができる。また、自分のコンピュータやFacebookアカウントからも画像を選択できるオプションがある。
利用体験についてもっと紹介したいのだが、どうやら筆者の場合、アプリ機能の多くが上手く動作していないようだ(他のユーザは問題なく利用できている)。エンジニアによって多くの調整がなされているとのことなので、アプリが直ったら記事の内容をアップデートするつもりだ。
いずれにせよ、安価で洗練されたレイアウトを誰でも利用できるようにするための手段をCanvaが提供できる可能性は大いにある。しかし、近い将来このようなツールがプロの仕事に取って代わるとは思えない。事実、クリエイティブのプロは自分たちのレイアウトや写真を他者と共有することができるので、このプラットフォームはデザイナーがより生産的に仕事をするのを助け、マネタイズできる別のチャネルとして機能する可能性がある。
Instagramのようなアプリがプロの写真家に取って代わりつつあると人気を博しているが、クリエイティブ業界は最終的には美しいテイストやビジュアルに対する感覚、創造的なひらめきを必要とするものだ。それは簡単に置き換えられることはないだろう。
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