セブ市政府がタクシー配車アプリ「MiCab」と提携し、交通データ収集をクラウドソーシング

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タクシー配車アプリMiCabが交通データの収集を行うためセブ市政府と提携した。この新技術は市の交通問題解決への一助となり得るのだろうか?

タクシー配車アプリの役割は、通勤者がスマートフォンを利用して簡単にタクシーに乗車できる利便性を提供することにとどまらない。先だって発表されたフィリピン、セブ市のタクシー配車アプリMiCabは、市の交通状況改善を補助する役割をも担っている。

セブ市交通運行管理局(Citom)の執行役員Rafael Yap氏は、「交通工学の新規構想へ応用するための良質なデータを収集する」目的のもとMiCabを利用することについて、MiCab設立者との合意文書に調印したと、記者会見で発表した。

MiCabの提供するサービス自体が直接的に市の交通状況を改善するわけではないが、市中を移動するタクシーの運行を通して収集されるデータは行政の計画策定戦略に貢献するだろう。

MiCab

USAID、Korean ICT、Wold Bankを含む多国間・2国間ファンドからの補助金を受けた計画のなかで、Citomは500台のスマートフォンにデータ収集機能を搭載させようとしている。データはウェブサイトcebutraffic.orgに集められ、これによって市民は移動経路を計画するために中心市街地周辺の交通状況を確認することができる。

CitomはMiCabのスマートフォン向けパッケージ300台分のスポンサーとなり、これらをタクシー配車オペレータに無料で提供する。現在、MiCabは1日あたり30フィリピンペソ(0.75米ドル)でスマートフォンからタクシーオペレータへの接続を提供している。Citomによれば、この助成金の支出は補助金による収益で賄われるため、市政の損失は一切生じないということだ。

MiCabは記者会見で、すでに2つのショッピングモールおよびセブ主要都市圏のBPO企業と提携していて、MiCabユーザ専用のタクシー乗車エリア「MiCabゾーン」を今後設けることを発表した。MiCabがユーザに対して5フィリピンペソ(およそ0.12米ドル)しか課金していないという事実は別として、同アプリはデータ接続の無い状況下でも動作する。Android版アプリでは、関連情報の送受信をSMSによって行う。

現時点ではKen Taxiの全タクシー車両200台のうち60台でMiCabが運用されているが、同スタートアップはセブ主要都市圏やDavaoといった他の都市へフランチャイズによる速やかな事業拡大を計画していると、Nextix Inc.の設立者の1人でCEOであるBobby Suson氏は述べている。Nextix Inc.は今年初旬、MiCabへシード資金を提供している。

MiCabはAndroid向けに無料でダウンロードできる。iOSおよびWindows Phone版も現在開発中だ。

(Featured image credits: Wikimedia Commons)

【原文】

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