クラウド会計「マネーフォワード For BUSINESS」が正式版を公開ーー見えてきたクラウド会計の可能性とは

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新しい働き方、小さな経済圏、個人間商取引。経済活動が「大から小」へと新たなシフトをみせるなか、それをサポートする周辺サービスも進化してきている。「クラウド」ツールは遠隔地のメンバーと情報共有し、ソースコードを評価しながら国を超えたユーザー獲得を可能にしてくれた。Evernote、Talknote、GithubやQiita。本当に便利な世の中になったものだ。

一方で、小さい単位での経済活動にとって厄介なのが会計やバックオフィスといったコーポレート関連の処理だ。個人であってもここが疎かになれば、信用は得られない。しかし、どれもある一定の規模がなければ価格的にも使いづらい。ここにようやく明るい光が差し込んできた。こいつは本当に可能性の宝庫だ。

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個人の家計、資産管理ツールを提供するマネーフォワードは1月27日、個人事業および法人向けのクラウド会計「マネーフォワード確定申告」および「マネーフォワード For BUSINESS(法人会計)」の正式版を公開した。

個人向けの確定申告版は基本使用料も無料、仕訳登録数に応じて月額800円の有料課金プランも選択ができる。法人向けのBUSINESS版は45日間の無料期間を設けて、その後継続する場合は月額1,800円で提供される。

共に初期費用は無料で、今後、税理士などとオンラインでコミュニケーションや給与などの機能が追加される予定だ。その他の機能詳細については多岐に渡るので、こちらのページで必要な情報を確認頂きたい。

特徴はなんといっても1,400以上の金融機関から自動的に入出金データを取得し、学習機能による自動仕訳を実現、キャッシュフロー計算書や決算・税務申告関連の各種レポートの作成工数を大幅に削減している点だ。

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入力と仕訳が当然最も使われる箇所になるが、ここがほぼ自動化できるというのだ。実際のデモをみれば一目瞭然だが、まず、銀行からの入出金データは自動的に取り込まれる。仕訳についても摘要に対応する仕訳項目をタグで入れると、次回以降は同様の摘要に対して自動的にタグを挿入してくれる。経理処理をやったことのある人であればこれがいかに便利かよく分かる。

一回でもこの作業をエクセルやGoogleスプレッドシートでやったことのある小規模経営者なら、このありがたみが分かるだろう。マネーフォワード代表取締役の辻庸介氏とも話をしたが、今後はiPadレジのようなデバイスとも繋がっていくだろうし、給与や勤怠、様々な「コーポレート」部門に必要な情報と連動し、手作業はどんどん無くなっていくのだろう。

またBASEやStores.jpのような小規模コマース、C2Cで個人間取引がさらに拡大し、個人での細かい商取引が増えることが予想される。そのトラフィックをクラウド会計組が一手に引き受けて処理してゆく世界観は考えるだけでも楽しい。まさにテクノロジーの勝利だ。

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辻氏によれば、テスト段階で数千人が利用。マネーフォワード全体のユーザーからも約12%の顧客がこのビジネス版を使いたいというリクエストがあったらしい。

ところで今回、私は移転したマネーフォワードの新オフィスを尋ねたが、開発陣は20数名に拡大していた。開発者を確保するというのはスタートアップにとって至上命題でもある。ちょっと気になった私は辻氏に、その採用方法やメンバーに必要な資質について質問してみた。

6人ほどの採用チームを作ってますね。エンジニアは人づての紹介が多く、やはりよいエンジニアの方というのはよいエンジニアの方が知ってる、という状況です。重視しているのはスキルやこのサービスが好きだということもそうですが、チームプレーができる方ですね。

ユーザーのフィードバックを受け取った際、それをいかにして有益な仕様に変換できるか。優先順位ひとつ決めるにしても、この会社が何を目指しているのか、問題意識がチーム内で共有できていなければ決定は難しい。有機的に動くチームづくりには徹底的な会社の文化づくりが必要なのだと辻氏は続けてくれた。

このスタートアップはライフネット生命のような新時代のインフラとなり得るか。単なるプロダクトの良さ、価格だけでなく、今後は社会の公器としての資質も試されていくだろう。

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