体内で発電でき、ペースメーカーの電池交換を不要にする小型デバイスが開発中

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中国とアメリカの研究チームが画期的なペースメーカー技術を開発し、現在大型哺乳類で実用化のための実験を行っていると米国ナショナルサイエンスアカデミーが発表した。

ペースメーカーは数年ごとにバッテリー交換手術が必要だった。研究が行われているのは、その問題を解決するために人の体内で発電し、ペースメーカーに電力供給を行うという技術だ。

臓器の生理的運動から発電

発電デバイスは、臓器自体の収縮や弛緩といった生理的な運動から発電する。発電の仕組みは「圧電効果(ピエゾ電気)」の仕組みを応用したものだ。圧電とは物質に圧力をかけることによって、電気エネルギーが生じる現象のこと。

今回の体内発電デバイスは巨大な誘電率および圧電性を持つチタン酸ジルコン酸鉛からできているので、臓器の生理的な動きからてペースメーカーを動かすのに十分な電気エネルギーを発電することが可能になる。これを心臓表面や肺表面、横隔膜に装着することによって、ペースメーカーに電力を供給し続けることができる。

この発電デバイスは数センチ程度の大きさで、体内に入れても拒否反応が起こらないように生体適合性のプラスチックで覆われている。現在はこのデバイスが長期間人体の中にあっても安全かどうか証明するために、牛などの大型哺乳類で実験が行われている。

不整脈患者の負担を大幅に軽減する体内発電デバイス

本来、人間の心臓は洞結節とよばれる身体に備わっている自然のペースメーカーによってコントロールされている

この洞結節や神経系の異常によって脈が遅れてしまう疾患(徐脈性不整脈)が存在する。その治療のために人工ペースメーカーは利用され、この洞結節に人工的に刺激を与えることによって、脈を正常に保つことを可能にしている。日本では現在約30万人がペースメーカーを使用しており、毎年3万8千人が植え込み手術を受けている(※1)。

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現在の一般的なペースメーカー(左写真)は20g程度の本体と2本の導線から成り、非常に小型化されているので日常生活に支障はきたさない。

しかし比較的短時間ですむ手術とはいえ、数年ごとの定期的なバッテリー交換にかかる患者への身体的負担は少なくない。

人体で発電できる技術が実用化され、身体にメスを入れる回数が減れば、患者や国の医療財源の負担が軽減されるだろう。

現在アメリカでは不整脈の診断に使用されるホルター心電図(24時間装着して不整脈の発現をモニタリングする検査機器)のモバイル化したデバイスが実用化され、スマートフォンやPCなどで心電図をモニタリングできるモバイルヘルス分野が注目を集めている。

今後心臓疾患の分野でもハイテクノロジー化が進むことが予測される。


※1→国立病院機構仙台医療センターガイドラインより
出典→PNAS by National Academy Of Science
生体発電についての詳細→Research team uses melanin to make biodegradable battery anode

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