動画特化のクラウドソーシング「Viibar」がグロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズから3億円を調達

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2014年に入ってもクラウドソーシングの話題はまだまだ尽きなさそうだ。今度は動画だ。

動画制作に特化したクラウドソーシングを展開するViibar(ビーバー)は2月5日、グロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズを引き受け先とする第三者割り当て増資を実施した。調達金額は総額約3億円で持ち分比率や払込日などの詳細は非公開としている。

Viibarの設立は2013年4月。ディレクターやカメラマンなど映像制作に必要なスキルを持った技術者たちをクラウドソーシングの手法で集めることで、オンライン上での共同製作(コ・クリエイション)を実現。品質を担保しつつ低価格での映像素材を提供できるとしている。

代表取締役の上坂優太氏によれば、現在登録されている映像制作に関わるクリエイターの数は数百人レベル。昨年からワークフローのひとつとしてクラウドソーシングを活用し、楽天やミクシィといったクライアントに対して映像制作の仕事を請け負っていた。(下記動画はミクシィに提供された作例)

上坂氏は新卒でCMやテレビ番組の映像制作を請け負う会社に入社。映像制作の現場を経験した後に楽天にてマーケティングなどに関わり、Viibarをスタートアップさせた。アクセラレータープログラムのOpenNetworkLab(以下、ONL)第7期生で、昨年実施されたデモデイではBest Team Awardを獲得している。

なお、設立時にはONLの他にエンジェル投資家としてDeNA共同創業者でエンジェル投資家の川田尚吾氏らが参加しているということだった。

動画制作のクラウド「共創」に挑戦する

国内のクラウドソーシング事業者を眺めるとおおよそふたつのグループに分かれることが分かっている。ひとつはランサーズやクラウドワークスのような完全なプラットフォーム型。もうひとつはMUGENUPやKAIZENなどのようにテーマを特化した上で、積極的に事業者が介入していく特化型だ。

Viibarはやや後者に近い分類に属する。

もう少し詳しくViibarの動画制作の仕組みを紐解いてみよう。以下、回答はすべて上坂氏。

ーー動画制作は工程も複雑で完全にクライアントと制作者に任せるのは無理ですよね?こういう特化型としてはMUGENUPが工程を細分化して成功しています。Viibarはどのような方法で実現しているのですか?

まず、発注したいクライアントは依頼したい映像の仕様を提示して頂くのですが、これに対して映像ディレクターレベルの方にNDAを経た上で(Viibar上で)コンペに参加していただきます。マッチングが成立したらチームアップの機能を使ってクラウド上に制作環境を作る、といった流れになっています。

システム上では絵コンテやそのディレクターのプロフィール、過去の作品例などを参考に応募ディレクターを選定できるようになっていた。(下記イメージはクライアントが閲覧する絵コンテ提示画面)

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ーーとはいいつつ、完全にクライアントと制作者を直接繋ぐのは難しいのでは。

そうですね。なので弊社でもPMを用意して「ハイブリッド」な環境を提供しています。映像制作は期待値の高いものですし、手戻りも多いですから、そういったノウハウを蓄積し、オペレーションやシステムに反映させていっています。

ーー何人ぐらいの体制ですか?

PMはパートタイムで3名ほど、ひとりあたり10社から最大20社ほどのサポートが可能と考えていますね。

なるほど。オペレーションのスタッフ自体も今後、クラウドソーシングに転換していけばここのスケールは可能だ。映像制作のニーズはYouTubeビジネスの拡大もあって本格化している。需給バランスが整えばViibarの可能性は大きい。

ーーどういう用途の動画制作が多いですか?それと価格帯のメインはどのラインでしょうか。

価格帯はアニメ動画は30万円ほど、実写はさすがに60万円あたりがメインになってますね。用途としては地方局のCMなんてのもありますが、やはりオウンドメディアで使うサービス紹介動画やYouTube広告用などが増えてますね。

営業についてはウェブからの発注の他、これまでの実績から構築した代理店ネットワークなどを活用して受注を進めるという話だった。

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映像制作はとにかくコスト高が当たり前(実は私も以前制作の現場で映像に携わったことがあるのだ)の世界だ。しかし世はネットに流れ、マスではないより手軽な映像素材のニーズが高まっている。

特にスマートフォンと動画の組み合わせのインパクトは、個人的な実験で関わっているdropoutでも体感している。9割近くのユーザーがスマートフォンで閲覧しているのだ。この変化は大きい。

価格帯が数十万のレベルでは手軽なコンテンツとしての映像制作はまだ無理だろう。どちらかというと一発モノの紹介動画だ。しかしこれが数万円レベルに落ちてきたらどうだろうか。相当のクオリティを担保した動画メディアの可能性が大きく開ける気がする。

「人とシステムのハイブリッド」ともいえるクラウドソーシングの可能性は本当に広い。

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