Viibarがヤフーと資本業務提携し約7億円を調達、共同で動画広告事業を加速へ

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Viibar代表取締役の上坂優太氏

動画の時代を業界トップと創業3年目のスタートアップが牽引することになるかもしれない。

動画制作をクラウドで効率化するViibarは5月18日にヤフーとの資本業務提携及び第三者割当増資の実施を発表した。引受先はヤフー以外にグロービス・キャピタル・パートナーズ及びグリーベンチャーズの既存株主を含む3社で、調達した金額は総額で約7億円。引受先各社の株主比率や払込日などの詳細は非公開。

また、これに伴いヤフー執行役でマーケティングソリューションカンパニー長を務める荒波修氏がViibarの社外取締役に就任する。今回の提携で、Viibarはヤフーに対して動画制作リソースを提供し、これを活用した新サービス展開および動画広告事業領域を中心とした双方の収益拡大を目指すとしている。

2015年時点でViibarを活用している動画制作リソースとなる登録クリエイターは2000人を突破している。

Viibar代表取締役の上坂優太氏によると、今回の調達は主に人材面の強化を目的としており、現在業務委託などを含めて40名ほどの陣容を100名体制に拡大させる。

求める人材も、これまで実施してきたクラウドソーシングにおける動画制作に強い人材の他、データアナリストやアドテク系の技術者など、ヤフーと提携して拡大する事業に関わる技術者を厳選して集めたいとしていた。

元ミクシィの松岡剛志氏が4月8日付で同社のCTO(最高技術責任者)に就任している。
元ミクシィの松岡剛志氏は4月8日付で同社のCTO(最高技術責任者)に就任している。

さて、今回の出資は非常に興味深い。出資比率や評価額などについては非公開だが、別の関係者の情報によると、ヤフーの出資する比率はそこまで高くないようだ。通常、こういったマイノリティ出資はヤフー傘下のYJキャピタルが担当しており、ヤフー本体としてこの動画事業に強い興味があったことが伺える。

ただ、両者が一体何をするのか、ということについては実は上坂氏もまだ詳細は言えないそうで、改めて2社による事業提携の発表会のようなものが予定されているということだった。詳細はそこまでお預けするとして、本稿では上坂氏へのこれまでの取材や今回の会話を通じてどういったことがViibarに起こるのか、少し予測してみたいと思う。

ヒントになるのは「データドリブン」な動画制作、という上坂氏の言葉にある。

「(収支は既に回っているので)今回の調達資金は比較的短期間、例えば2年ぐらいで使ってしまって、しっかりIPOまで走っていける体制を取りたいというのが狙いです。また、事業提携の発表はまた別に予定してますが、ヤフーから共有してもらうデータもそうですが、それ以外にも連携を各社と実施して、例えばダッシュボードでクリエイティブとひも付けてプロモーションのパフォーマンスを上げるようなことを考えています」(上坂氏)。

データと動画。

この組み合わせを聞いて分散型コンテンツの話題にピンときた人は結構なメディア好きかもしれない。ここで詳細をお伝えするには大変複雑な話題なので、藤村厚夫氏(元アイティメディア会長、現スマートニュース執行役員)の言葉をお借りさせて頂くとして、リンクされてる記事も含めてご一読頂くと朧げながら輪郭が見えてくるはずだ。

参考記事:Webメディア 終わりが見えてきた/Facebook「Instant Articles」、Twitter、Snapchat 白熱の攻防
参考記事:分散メディア革命/NowThis News が示す Webサイト消滅への道

ここで論じられているウェブメディアは自社サイトの意識が薄い。コンテンツをそのままトラフィックの多いFacebookやTwitterといったソーシャルに直接投稿し、そのコンテンツのエンゲージメントの総量等を以って影響力とする。

分散型コンテンツで特に威力を発揮すると思われるのがコンテンツの物理的な枠サイズが固定されている動画や画像だ。そしてこの思考の最先端と言われる動画ニュースサイトNowThisは既にサイトを捨ててしまった。

NowThis
NowThisはサイトそのものを持たない。コンテンツはアプリとソーシャルに直接投稿される

結果、このような分散型コンテンツに取り組んでいるメディアは、ウェブページではなく「コンテンツそのもの」の効果的な投稿方法を模索することになった。投稿タイミングやタイトルの付け替え、複数ソーシャルメディアに合わせたコンテンツの「作り替え」などがある。

こういった複雑な条件下で最もユーザーに最適なコンテンツを提供するテクノロジーといえばそう、アドテクが最も近いかもしれない。同時にA/Bテストに必要なバナーのごとく、コンテンツには大量な生産フローが必要になってくる。

ーーもしViibarがクラウドソーシングで動画制作するフローだけでなく、動画コンテンツがいつ、どこで、誰に、どのソーシャルを使って、どのコンテンツを見せればいいか分かるマーケティング・オートメーションの仕組みを持っていたらどうだろうか。もちろんこれは動画広告を顧客に提案する際、一発勝負ではない効果的な提案が可能になる。

今回、ヤフーが示した強烈な興味と高い評価にも納得がいく。上坂氏はこの辺りについて今回の取材で明言は避けたが、前回の取材時にこのようなコメントをくれている。

「これまで企業の動画CM制作というのは一か八かという賭けでした。けど、Viibarを使えばクリエイター側からのボトムアップ的な映像制作の世界が広がります。(大量に制作が可能になったことで)企業側は動画キャンペーンに対してPDCAを高速で回すことができるようになるのです」(上坂氏)。

参考記事:動画制作のViibar、加藤寛之氏が技術顧問にーー2000人のクリエイターが使う動画生産の「秘密兵器」とは

詳細については次のヤフーとの提携発表会などで明らかになるのではないだろうか。

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