いくら走っても追いつけない大先輩の背中を見て走る:今ならではの物づくりで100年続く会社を目指す大関綾さん【後編】

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2014.3.27

「女性起業家として史上最年少上場を目指すアパレルブランド「Aya Ohzeki」の大関綾さん」の後編をお届けします。【前編】はこちら。

自分にとっての翼は発想力

 aya-Ozeki多くの女性が憧れるココ・シャネルは、綾さんにとっても憧れの存在。「もし翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を持つためにどんなことでもしなさい」(”If you were born without wings, do nothing to prevent them from growing.”)という言葉は、綾さんの心に特に刺さるものがあった。

 「この言葉に出会った時に、自分にとっての翼について考えました。翼は空を飛ぶためのもので、私にとって空を飛ぶことは事業をきちんと成功させることです。お金、人脈など必要なことはたくさんある中でも、自分の発想力こそ大事なんじゃないかと思いました」

競争が激しさを増す今、一つの商品がヒットしても、過去の商品に勝る新しいものを生み出し続けなければ企業は生き残れないと話す綾さん。会社のコンセプトでもある「まだ世にない商品を出していく」を実現するには、自分の発想力で新しい商品を生み出していくことが必要不可欠。中学生の頃から習慣になっている「町を歩いていても人と話をしていても、ひたすら気にかけて考えること」が役に立っている。

ものづくりで発展してきた国で、ものづくりで勝負する

21歳と言えばデジタルネイティブな世代。起業するなら、ITの世界が自然と選択肢に入りそうなものだが、敢えてものづくりの道を選んだ。ITには流れが早く資本がいらないというメリットがある一方で、変化がめまぐるしく、超ヒットしたプロダクトが3年後には消えてなくなっている可能性が十分にあると言う。また、ものづくりの国として発展してきた日本で、それを継承したいという想いもある。

「ものづくりに取り組む人が必要だし、それを長く続けることが大切だと思っています。だから、わたしは100年続く会社を作りたいんです」

Aya Ohzekiブランドの海外展開では、縮小する日本のものづくりを継承し、新しい形で発展させていくことも目論む。すでに、Aya Ohzekiのブランドはアメリカと香港の各店舗で販売されている。

そんな取り組みの一つが、椎野正兵衛(S.SHOBEY)のスカーフ。黒船が来て日本が開国した頃に日本に初めて誕生したと言われるブランドだ。最盛期、日本はスカーフの世界シェアの実に8割を占めていた。椎野正兵衛にファブリックを特別供給してもらう形で、最高級バージョンのネックウェアを開発し、メイド・イン・ヨコハマの製品を世の中に発信していく。

また、京都の西陣織をペーズリー柄を編んだ「ノーブルタイ」も開発中。ノーブルタイはAya Ohzekiの独自商品で、ネクタイに代わる本革製の新しいネックウェアだ。西陣織をモダンなアイテムにして、より若い世代に届けたいと先方から話が舞い込んだ。さらに、革の上に漆を塗って模様付けをしたノーブルタイの試作品も見せてくれた。

「一緒に組みましょうというお話はいろいろいただくのでありがたいです。最終的には、純粋に将来性を感じるかに尽きます。漆を使った商品化も、筑波大学からいただいたお話ですぐにやりましょう!と始めました。収益をすぐに上げることを考えると上手くいかないので、ポテンシャルが決め手になっています」

5年後、遅くても10年後には確実に上場しています

自他ともに認める綾さんの負けず嫌い。幼い頃、親が3つ年下の妹が焼いたパンケーキのほうが上手だとほめただけで悔しくて泣いてしまったエピソードを聞かせてくれた。このくやしい!という気持ちに尽き動かされるのは21歳になった今も変わらない。

「わたしが普段お会いするのは、40-60代の経営者の方が多いんです。若くしてチャレンジしていることを認めてくださる方もいれば、まだ実績がないため相手にされないこともあります。悔しいから、実績を作って見返すしかない」

綾さんは心がけて、世間からビジネスの成功者と尊敬される経営者のそばにいるようにしてきた。人としての素養、また経営者としての姿勢や手腕を直接学ぶ機会に恵まれている。本当は同じようなベンチャーの人たちといたほうが心地が良いのだと言う。

「同じ世代のベンチャーの人たちといたほうが居心地はいいです。でも、同じようなフェーズにいる人たちと話していると、今のスピードでもいいかもってきっと甘えてしまう。ずっと先にいらっしゃる大先輩なら、いくら走っても追いつけないからもっと早く走るしかないから」

ものづくりを軸に、100年続く会社を作る。5年後とは言わずとも、10年後までには確実に上場していると言い切った。高校生でビジコンに登場した時のように、宣言した以上、実現する他はない。

まだ世にない新しい製品を作ることで、新しい文化までを作ることを目指すAya Ohzeki。起業は想像していたよりも圧倒的に大変だと語る綾さんは、まだ20代に突入したばかり。制服を着ていた頃に走り出しているのだから、完全に”A head start”を切った走者だ。止まることを知らず、見えないゴールラインを目指して走り続ける綾さんはこの先私たちに何を見せてくれるのだろうか。

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