CEOはゴールキーパーであれ−−KAIZEN platform須藤氏が語る「事業を成長させるために必要なKAIZENのすすめ」

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事業を急成長させるためには、KPIを明確化しグロースハックを行っていかなければいけない。事業に必要なKPIを定め、自社にある限られたリソースを効率的に活用するための方法を日々模索しなければいけない。

KAIZEN platform CEOの須藤憲司氏は、ウェブサイトのABテストを行うプラットフォーム「planBCD」を運営し、日々グロースハックをもとにサービス改善のサポートに取り組んでいる人物だ。

同氏がMOVIDA SCHOOLで語った「事業を成長させるために必要なKAIZENのすすめ」についてまとめた。

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時間とお金をいかに有効活用し成長を促進させるか

グロースハックとは、リソースである「時間」と「お金」を費やし、「成長率」を高めるための施策だ。ABテストでどう良くするかという発想だけでは決してない。

従業員の時間こそが最も重要なリソースであり、結果としての売上へのインパクトが大きいことに時間を使わなければいけない。成長への転換率を高めるために何ができるかを、日々考えなければいけない。

顧客獲得コスト(CAC)の原理原則を理解する

顧客獲得コスト(CAC)の原理原則として、広告で獲得数を増やそうとすると、規模が大きくなればなるほど獲得数が落ちてしまう反比例の関係になる。獲得効率を上げるためには、LTV(顧客生涯価値)をあげるかCVR(転換率)をあげないと、成長率は上がらない構造になっているということを理解しよう。

正しいKPIを設定しよう

KPIを正しく設定できるかどうかが、グロースハックにおいて重要だ。では適したKPIは何か。KPIは、ユーザ数などの結果指標ではなく、売上などにつながっている先行指標を設定すべきで、すぐにアクションがとれるものでなければいけない。指標は複数ではなく、なるべく一つにすることが大事だ。指標を絞ることで、この数字が悪いからこうしよう、とシンプルに解析できるようになる。

重要な目標を達成するための指標としてKGI(Key Goal Indicator)がある。KGIは目標に対する達成すべき目標そのもの。
KPIは、その目標達成のために重要視しておきたい要因や指標だ。例えば、KGIをDAU(デイリーアクティブユーザ)と設定すると、KPIはFacebookでは登録後10日以内に7名の友達とつながること、Twitterでは登録時に5人以上フォローすること、Dropboxは登録後ファイルを一つ以上保存することで、DAUが向上するという因果関係を導き出しているいう。こうした、グロースハックに適したKPIを設定できるかどうかが重要だ。

グロースハックの必要条件

グロースハックの必要条件として3つがある。
1. 一定規模の数字を持つこと。例えば、ユーザ数も100人より1万人いることで、PDCAを回しながら仮説検証が行える。
2. 失敗を許容する環境。
3. 実行までのスピードを迅速にすること。小さな改善を積み重ね、フィードバックサイクルを早く確実にまわすためのスピードこそが、ビジネスの世界における競争優位性となる。

チームづくりもグロースハックだ

グロースハックを推進するには、結果ではなく行動やメンタリティ、組織の文化や風土といったものが重要になってくる。そうした意味では、チームづくりもグロースハックだ。KAIZEN platform の場合、まず自分の欲しい人材を明確化し、知人などを通じて紹介をしてもらい、採用へとつなげた。さらに、紹介してもらった人から、自社にフィットしそうな人を紹介してもらう。そうすることで、効率的に自社に合った人材と巡りあうことができる。

組織の風土としてこだわっていることは、家族が病気だったら全力で帰宅をさせるなど、周囲が応援してくれる働きやすい環境にすることを心がけた。社員だけでなく、社員の家族を含めた周囲の人たちを大切にしよう。

営業活動もグロースハックだ

営業活動も一つのグロースハックだ。これまで半年の営業で100社をまわり、30社から受注出来た。その過程を分析し、クライアントのタイプを整理し、それに応じて受注までのセールスフローチャートを作成した。フローチャートを作ることで、商談で確認すべきステップが明確化された。型を決めることでセールスマネジメントができ、商談を効率化し、その回数やリードタイムを大幅に減少することができた。

CEOの時間は最重要経営リソース

CEOの時間は、企業における最重要経営リソースだ。起業して最初の数ヶ月は営業と資金調達に時間を費やした。特に、投資家が自分と合うかどうかが重要で、なぜこの投資家と一緒にやるのかを、とことん考えなければいけない。資金調達が落ち着いたら、そこから営業や採用へと移る。採用は、効果が3ヶ月や半年後に出てくるため、将来を見通しながら早めの採用を行わなければいけない。須藤氏は現在、主にPRや採用に時間を割いているが、企業のフェーズにおいて、現在必要なものと将来に必要なものを見定めながら行動することが大切だ。

CEOはゴールキーパーであれ

CEOはゴールキーパーであり、自分が妥協したらゴールされると思わなければいけない。CEOは最終防衛ラインだと自覚することで、CEOがすべきこと、やらなければいけないことが自ずと見えてくる。

改善は手段であり、考えるべきは事業の哲学

改善は手段でしかない。事業が成長することであれば、なんでもやっていいと思う気概でいることだ。KAIZEN platformはいまはABテストが主軸だが、達成したいことはサイトやサービスの改善で困っている企業を手助けすることであり、自社の哲学に沿った事業展開をこれから行っていく。ぜひ、スタートアップも事業の哲学を考え、その事業に必要な改善を行ってほしい。

 

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