音楽スタートアップのBeatroboがローソンHMVエンタテイメント等から110万ドルを調達、PlugAir事業を強化

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

Beatrobo は今日、ローソンHMVエンタテイメント(以下、LHEと略す)と Genuine Startups から110万ドルを調達したと発表した。[1] 今回調達した資金は、PlugAir の開発とビジネス展開を強化するために使われる。

THE BRIDGE をよく読んでいる読者なら、彼らがストリーミング音楽サービスを運営しているのに加え、デジタルコンテンツを共有・配信できる PlugAir を開発したことを知っているだろう。配信コンテンツは音楽に限らず、ビデオ、電子書籍等でも構わない。

エンターテイメントやチケッティング事業を展開する LHE との提携は、Beatrobo の今後に興味深い流れを生み出すだろう。CEO兼創業者の浅枝大志(ひろし)氏は、提携に至った背景を説明してくれた。

彼らには芸能界に太いパイプがあり、流通チャネルとして HMV Japan 50店舗以上、ローソン1万店舗を持っています。PlugAir は形のある製品なので、我々のフォーカスの一つは流通チャネルを探すことでした。当初、コンサートでマーチャンダイズ販売できないかと考え、LHE と協議していたのですが、それが結果的に我々に出資してくれることになりました。

浅枝氏によれば、Beatrobo は PlugAir に関わる特許を LHE にライセンス供与し、LHE は PlugAir を自社で製造できるようになる。Beatrobo が自ら PlugAir を製造したのでは、手持ちの資金はすぐに枯渇する。したがって、今回のライセンス供与によって、デバイスの製造が容易になり、ひいては、PlugAir を使ってクラウドからコンテンツをダウンロードするのに必要なアプリの普及にも貢献するだろう。

PlugAir は〝鍵〟である

上のビデオにあるように、PlugAir の使われ方は USB キーのそれに似ている。しかし、PlugAir ではコンテンツをデバイス内には保持していない。私の理解では、スマートフォンから発せられた音波が音声ジャックを経由して PlugAir に電気信号として伝えられ、PlugAir のマイクロコントローラがシリアル番号を取得する仕掛けではないか、と思う。[2] 再び音声ジャックを通じて、PlugAir からスマートフォンにデータが戻され、クラウド上のコンテンツへのアクセスが可能になるしくみである。

私は浅枝氏に、このような形でスマートフォンのイヤフォンジャックを使うことを、人々に理解してもらうのは課題ではないかと尋ねた。彼は確かにそれが重要な課題であると認めた。

それこそが、今年一年をかけた我々の課題です。テッキーな人々なら、フォンジャックにつながるガジェットを見れば、次はクレジットカード・リーダーになるだろうと考えるでしょう。我々はイヤフォンジャックに対する概念を変え、そこからコンテンツが取得できるんだと人々に理解してもらう必要があります。そこで、エンターテイメントから始めることにしました。カルテや処方箋の保存など、PlugAir を医療に使えないかと尋ねてくる人もいるくらいです。PlugAir は〝鍵〟なのです。

Beatrobo がやってきたことを見てみると、彼らは形あるモノの限界を、極めて美しい方法でデジタルコンテンツに適応できるようにしたと言えるだろう。私が、敢えて「適応させた」ではなく「適応できるようにした」と表現したのは、実際に適応させるかどうかを判断するのは、コンテンツプロバイダだからだ。

PlugAir を使えば、友人のスマートフォンに無制限にコンテンツをコピーすることもできるし、24時間で使えなくなる90秒間の楽曲サンプルをプレゼントすることもできる。コンテンツの共有を奨励するために、楽曲サンプルを3人の友人のシェアしたら、ミュージシャンがボーナス楽曲を一曲プレゼントする、といった展開も可能だ。

浅枝氏は、この一年にわたって PlugAir を使いリンキンパークと協業する中で得られた経験を説明してくれた。

我々がリンキンパークから学んだのは、彼らは別にファンのメールアドレスが欲しいとは思っていない、ということです。むしろ、彼らは、ファンが自分達のコンテンツを購入したり体験したりしてくれる、コンタクトポイントが欲しいのです。

PlugAir をファンコミュニティのためのデバイスとしてとらえれば、ファンクラブの有料会員は PlugAir を通じて将来何度でも新しいコンテンツを受け取れる、というような使い方が出来るだろう。プッシュ通知機能もまもなく使えるようになるそうで、これによりファンは常に最新のコンテンツを受け取ることができるようになる。

このアイデアには、大きな可能性がある。浅枝氏は、彼らの究極の目標は CD に取って代わることだと語った。

音楽を変えたいんです。音楽が好きだから。誰かが音楽業界を変えなければいけない。誰もやらないから、私がやるんです。

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リンキンパークの PlugAir

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Beatrobo はまもなく新オフィスに移転する。浅枝氏は引越作業中にもかかわらず、私を快く迎えてくれた。

  1. PlugAir デバイスの複製を防止するため、セキュリティ・チップが実装されている。 
  2. ローソンHMVエンタテイメントは、ローソン配下の三大事業の一つであり、言うまでもなく、その一つはコンビニエンスストア事業である。