編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。
こんにちは。「調べるお」の大柴貴紀です。シリーズ初回の今回は私も今年3月から参加しているEast Venturesから開始させていただきます。メルカリ、BASE、ツイキャスなどへの出資でご存知の方も多いかもしれません。
East Ventures(以下EV)はパートナーである元ミクシィの衛藤バタラさんとエンジェル投資家としても有名な松山太河さんがよく知られていますが、その影でディレクターとして、数人のアソシエイトをまとめたり、最近開設した渋谷オフィスを担当している鳥居佑輝さんの存在を見逃すわけにはいきません。ということで、EVディレクターの鳥居さんをインタビューしてみました。
インドネシアで「師弟関係」が始まった
大柴:3月からEVで働くようになって、毎日お世話になっている鳥居さんにまずはインタビューしようと思いまして。お願いします!
鳥居:インタビュー初めてなので緊張します…。よろしくお願いします。
大柴:EVに入る前から鳥居さんのお名前はソーシャル上なのでずっとお見かけしてたのですが、いつ頃からEVに入られたんですか?
鳥居:2012年3月に大学を卒業し、4月から正式に、という流れです。
大柴:なるほど。ちょうど2年くらいですね。どういった経緯で入られたのですか?
鳥居:2012年の1月にインドネシアでEVのDemo Dayが開催されたのですが、それに太河さんに誘われて見に行ったんです。その頃、大学卒業したら東南アジアで起業しようと考えていました。そんなこともあって、現地のスタートアップイベントを見ることができる貴重な体験ができると現地に飛んだんです。
大柴:へぇー。東南アジアで起業しようと考えていたんですね。それは初耳です。
鳥居:そうなんです。それでそのイベントの時に太河さんに「弟子にする」と言われたんです(笑)。
大柴:弟子!
鳥居:はい。それで僕も「師匠!」という感じでEVで働くことになりました。
大柴:そんなドラマがあったんですね。太河さんとはどのように知り合ったのですか?
鳥居:ITが大好きでWebサービスや歴史などをずっと調べたりしてたんですが、その中で太河さんの存在を知り、Twitterをフォローしたり、過去の記事などを読んだりしました。でもメディアにあまり情報が無くて…。
とにかくTwitterでの太河さんのツイートを見逃さないように追っていました。IT業界の最新情報や興味深い情報、勉強になる発言など多くて。ツイートをファボったりリツイートしたりしていました。その頃は大学のある大分の別府に住んでいました。
大柴:大分は遠いですね。
鳥居:ただ、よく東京には遊びにきていたんです。それで、2011年6月に東京に来た際に食事に連れていってもらいまして。それが初対面でした。凄く緊張したんですが、ITの話しかしなかったので緊張がほぐれた気がします。
食事の後にオフィスも見学させてもらって、東京のスタートアップシーンを肌で感じることができました。その後、大分にまた帰ったのですが、EVのリサーチ案件などをお手伝いするようになりました。
大柴:EVリサーチバイトのさきがけですね!
トップの雑務を減らすことが社会的意義がある
大柴:渋谷オフィスに関しては太河さんも基本的に鳥居さんに任せてます。会話の中でも鳥居さんへの信頼が伺えることが多いんですよね。「部下」として、というか働いていく中で大事に思ってることって何ですか?
鳥居:EVに入った当初はVCの仕事は全くわからなかったのですが、その中でとにかく太河さんの雑務を巻き取ろうと意識しました。太河さんには投資に関する重要なことだけに集中してもらうために、そのサポートができればと。
それは今でも基本変わりません。出資先に対しても同じ。出資先の会社にはとにかくサービスのことだけに集中してもらいたい。そんなことを思って仕事をしています。
大柴:その考えは重要ですよね。
鳥居:あとは、ITのことに誰よりも詳しい状態で常にいたいというのがあります。ITが好きなんですよね(笑)。周囲にはITに詳しい人がたくさんいるので恵まれているし、純粋に楽しいです。
大柴:僕も転職してきて、みんなの情報量の豊富さに驚きました。みんないつもスマホいじってるし(笑)。ところでEV渋谷オフィスはBASEさんと共同で入居しています。BASEには立ち上げ当初から関わっていたんですよね?
鳥居:そうですね。2012年の夏にBASEプロジェクトが立ち上がり、サービスローンチ後に法人化しました。登記作業やバックオフィス業務などを鶴岡社長(鶴岡裕太氏)から巻き取ってやっていました。
大柴:そこは共通しているんですね。トップの雑務を巻き取るという。
鳥居:はい。トップはやることが多いんです。でもそれでは本当にすべきことが疎かになってしまう。そこをサポートするのが使命なのかなって。
大柴:そんなBASEも今では大きく成長しました。他の出資先とは違い、法人化前からサポートしてたわけですが、率直にいかがですか?
鳥居:単純に凄く嬉しいですし、素晴らしい経験をすることができました。BASEの成長を近くで見てきて学んだことも多くあります。その経験を他の出資先企業に還元できるようにしていきたいです。
トレンドは若者が持っている!
大柴:ある友人が「鳥居さんのネットワークに助けてもらった」なんて声も聞きます。僕も鳥居さんのネットワークの広さが凄いなぁと思ってるのですが、何か秘訣ってあるんですか?
鳥居:ちょっとでも「良いな!」って感じた若者には直接会うようにしています。若者がトレンドを持っているし、作っていくと思っています。最先端の情報を実感するには若者と会うのが一番なんです。若者にはいつも学ばせてもらっています。
大柴:そうやっていくうちに若者の知り合いが増えていくんですね。でもどうやったら良いと感じる若者と知り合えるんですか?
鳥居:やっぱり紹介ですね。若者は若者と繋がっているんですよね。なので、良い若者は良い若者と繋がっている。そうやって広がっています。
大柴:なるほど。そのためのアンテナを常に張ってるわけですね。そんな鳥居さんのネットワークによって渋谷のEVシェアオフィスにも入居企業がたくさん入ってきました。
鳥居:はい。席は全て埋まった感じです。エンジニア、デザイナ社長中心に若手のコミュニティが形成されてきています。20代が多いですが、中には10代も出入りしていたりします。
大柴:最後に10年後、「こうなっていたい」というイメージってありますか?
鳥居:EVで粛々とやっていると思います(笑)。最近は出資業務にも少し携わるようになってきました。でもまだまだこれからです。どんどん若い起業家に会って、成長のサポートをしていきたいと思います!あと個人的に最近宇宙ビジネスにも興味があるんです。その辺でも何かできたらなって思います(笑)。
大柴:今日はありがとうございました!
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