
GMIC Tokyo 2014 の午後のセッションでは、「グローバル化するソーシャルゲームビジネス」と題したパネル・ディスカッションが展開された。パネリストは、
- セガネットワークス代表取締役社長CEO 里見明紀氏
- 株式会社gumi CEO 國光宏尚氏
- King Japan CEO 枝廣憲氏
モデレータは Infinity Ventures Partners の田中章雄氏が務めた。
このセッションで口火を切ったのは、セガネットワークスの里見氏だ。gumi が先頃、セガネットワークスと提携、WiLから50億円を資金調達したことは、読者の記憶にも新しいだろう。
当社の人気タイトル Chain Chronicle を、中国は Shanda(盛大)、それ以外の海外は gumi に託すことにした。ゲームの世界では、会社が有名だからユーザにダウンロードしてもらえるということはない。一番の理由は、社内に(人的)リソースが足りなかったからだ。当初は欧米のパブリッシャと提携する予定だったが、gumi のシンガポールのチーム(gumi Asia)が魅力的だったので、gumi と提携することにした。(里見氏)
これを受けて、今後の展望を語り始めたのが gumi の國光氏だ。
基本的に JRPG(日本のロールプレイング・ゲーム)好きをターゲットにしてビジネスをしている。フランスにも拠点を設けて開発しているが、ヨーロッパの中でも親日派が多い市場だから。Brave Frontier は世界的にもユーザを獲得できているが、中国市場だけはなかなか手強いと感じている。海外と戦っていくには、100億円程度の資金は無いと攻められない。このクラスの資金調達をできたのが、今後のスタートアップにとっては、よい先行事例になればよいと考えている。(國光氏)
ところで、モデレータを務めた田中氏は普段マカオを拠点に活動しているが、普段、日本に居ない田中氏の目には、テレビのスイッチを入れると、モバイルゲームのCMばかりが流れている日本の状態が希有に映ったようだ。
モバイルゲームの浸透にテレビCMは果たして有効か。(田中氏)
田中氏のこの質問には、パネリストの三人が総じて肯定的な反応を示した。なかでも、興味深いタッチのCMで世間を賑わせている、Candy Crush の開発元 King の枝廣氏はテレビCMの有用性を次のように強調した。
日本はテレビ依存文化。世界の中でも、消費者がテレビに接触している時間が突出して長い国。この接触機会を逃す理由は無い。Candy Crush のCMは日本サイドで考えた。もちろん、(スウェーデンの)本社の人間にも事前に見せているが、こういう細かいところは、ローカルの人間にしかできない部分だと考えている。海外のプレーヤーが日本市場に進出する上では、キメの細かいユーザサポートがカギになるだろう。(枝廣氏)
gumi でも現在、シンガポールの gumi Asia を中心に、セガネットワークスの Chain Chronicle を英語化するローカリゼーションを開発を行っているとのことだが、微妙なコンテキストを伝えなければならない RPG のセリフの翻訳などには、かなり苦労しているようだ。世界を席巻するという野望の裏には、涙ぐましい努力が求められるのである。
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