フィンランドの一大テックイベントの「SLUSH」のアジア版「SLUSH ASIA」が4月24日に開催され、当日は晴れ渡る空の下に多くの参加者が集い、会場は熱気に包まれていた。
3000人がイベントに参加する中、キーノートやデモブースなどがところ狭しと行われ、ドーム型テント”ホワイトロック”では国内外から集まった50組ものスタートアップたちが熱いビッチバトルを繰り広げた。
クラウド / マーケットプレイス、エンタメ、教育、ツール、ハイテック / ハードウェアの5つのカテゴリーでそれぞれ10社ずつ競い合い、50組の中から残ったファイナリストがAlpacaDB、VMFive、Bento Bioworks、FASTMEDIA、FOVEの5社だ。
栄えある、アジア初開催のSLUSH ASIAスタートアップピッチのグランプリを獲得したのは、プレイアブル広告のVMFiveだ。
以下、ファイナルに選出された5組を紹介する。
クラウド / マーケットプレイス:AlpacaDB
AlpacaDBは、画像解析技術を使い、非構造データ(画像)のタグ付けや分類分けを学習させることができるディープラーニングプラットフォームを提供している、カリフォルニア州サンマテオ拠点のスタートアップ。
画像にタグ付けなどを行うeコマース企業やストックフォトなど10社以上を顧客に抱える。ダッシュボードでは、実際に人が画像にラベリングをまず行い、そこから画像整理術のディープラーニングをシステムに教えながらアルゴリズムを生成することができる。
フリーミアムモデルを採用しており、完成したアルゴリズムを使用する場合、ライセンスフィーがかかる仕組みになっている。
エンタメ:VMFive
VMFiveは、アプリをインストールすることなく、ユーザにアプリを体験してもらうことができるプレイアブル広告のAdPlayを提供している台湾のスタートアップ。
すでに、同社はD2Cやアドウェイズと連携を図っており、予約トップ10での体験提供などを開始。新作アプリの予約などを行っている。
対象の会社はゲームパブリッシャーでcost per trialのビジネスモデルをとっている。ファウンダーによるとアシアのモバイルゲームアプリの市場は米国の2.5倍であり、同社のサービスを導入すると、バナーアドやビデオアドより2倍から5倍の効果があるという。現在クライアントの数は3社で、API1コールは数ドル以下だという。
教育:Bento Bioworks
Bento Bioworksは、個人でバイオテクノロジーの実験をすることができるハードウェアを開発しているロンドン拠点のスタートアップ。
同社の小型実験ハードウェアを使うと、例えば実際のハンバーガーの肉をスキャニングして、DNAを通じて何の肉が使われているか、成分などを調べることができる。
数ヶ月前に始まったばかりの生まれたてのスタートアップで、現在バイオロジー(生物学)を専攻している大学生をターゲットとしている。
ツール: FASTMEDIA
ドラッグ・アンド・ドロップベースでスマホアプリを誰でもすぐに開発できるプラットフォームyappliを提供している日本のスタートアップ。
コードは一切書く必要なく、クロスプラットフォーム対応となっている。利用料金は中小企業は月100ドル、エンタープライズで月1000ドルとなっている。同社は売上ベースの四半期成長で70%の成長をしているという。すでに、大手企業やNPO、TEDx などの市民有志によるプロジェクトでも使われれており、アプリ時代の新しい開発ツールを提供したいと語った。
ハイテック / ハードウェア: FOVE
FOVEは、アイトラッキング機能をもった、ヘッドマウントディスプレイを開発しているスタートアップ。
目の動きだけで360°の仮想空間を自由に操作でき、さらにジャイロ・加速計・磁石計を用いた9軸の傾きセンサー、モーショントラッカーによるヘッドトラッキング機能を組み合わせている。
目が見ている三次元上の座標を特定することで、見つめた位置をクリアにし、バーチャルリアリティー空間において自然な操作感によるリアリティーを実現しており、高い没入感がある。さらに、アイトラッキングだけで文字入力も可能にしている。
さらに、医療福祉分野に展開し、身体が不自由な人でも、文字入力やIoTによるリアルな物体の操作などを現在開発している。
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