VentureCon Japan 2015〜シンガポール、マレーシア、タイのVCが語る東南アジア市場の可能性と難しさ

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(午前に行われたセッションの模様はこちらから)

東南アジアの投資機会は絶大だ。Innosight Ventures の Pete Bonee 氏がモデレートしたパネルには、Golden Gate Ventures の Vinnie Lauria 氏、Ardent Capital の Tee Plern Suraphongchai、500 Startups の Khailee Ng 氏、MaGIC の Cheryl Yeoh 氏が参加し、東南アジアが高いリターンをもたらし続けることができるのかどうかを議論した。

Bonee にとって、東南アジアはバリュエーションが高くなかった頃のシリコンバレーを彷彿させる。彼は、投資家の目から見て、東南アジアの時期はまだ早いものの、スタートアップ・シーンは急速に成長しており、東南アジアに多くの金が流入していると語った。

分散しているアジアのスタートアップ・シーンで生き残る難しさにもかかわらず、東南アジアのスタートアップは、多くの近接市場で同時にサービスをローンチしている。

多くのスタートアップが複数の市場で同時にローンチしているのは面白い。彼らのバリュエーションは、すぐに3倍にも4倍にもなる。東南アジアでは異なる人種、異なる言語に市場は分かれており、東南アジア全体をカバーすることが最大のバリュエーションをにつながる。(Cheryl Yeoh 氏)

西洋と東洋を比較したときに、果たして、東南アジアはシリコンバレーのライバルに、そして、数十億ドルのイグジットを可能にするような資金供給が可能になるのだろうか。

Yeoh は、東南アジアとシリコンバレーを比較することも、対抗することも不可能と考えているようだ。

シリコンバレーをコピーしたり、競争したりすることはできない。彼らは40〜50年かけてここまで来ているのに対し、東南アジアはこの10年ほどのことだ。テック企業の新しい波さえ、サーバが安くなりセットアップしやすくなった、せいぜいこの10年間以下のことだ。東南アジアにはユニークなことが起こっており、多くの機会がある。難しい市場だから、一生懸命やらなければならない。時間もかかるし、(シリコンバレーとは)違った発展が必要になるだろう。(Cheryl Yeoh 氏)

東南アジアで投資家がよいディールを見つけるには、あちらこちらに出かけていく必要があるが、それだけの苦労を尽くせば利益を得られる、と Ng 氏は語る。

もし新しい市場でタフな市場なら、その分仕事を頑張ればよいだけ。投資家はまずは現地へ出向き、ディールを探すべき。TechCrunch を読まず、カンファレンスに出かけない人はたくさんいる。でも、彼らは会社を築く、れっきとした起業家なのだから。

例えば、123RF という会社がある。5,000万ドルを資金調達中で、そこまでブートストラップでやってきた。本線を一本外れれば、光り輝く将来の巨人となる企業を見つけることができる。(Ng 氏)

Ardent Capital CEO の Adrian Vanzyl 氏による基調講演では、彼はさまざまな VC のモデルを解説した。Rocket Internet が採用する「Operator VC model」には多くの利点がある。投資家が会社の所有権や経営権を持つだけでなく、このモデルは明確に IP ではなくビジネスのエグゼキューションにフォーカスしている。このモデルのデメリットとして、Vanzyl 氏は、内部で人を雇うことについて警告を唱えた。

このモデルは社内の人材に依存する限りスケールしない。とにかく Rocket Internet がうまくやってきたのは、MBA 出の若くて優秀な人物を雇い、彼らを飛行に乗せて、新興市場に送り込んできたということ。そうやって、このモデルがスケールしてきた。(Vanzyl 氏)

CVC やファミリー企業による投資のトレンドには、他のモデルも散見される。複数のモデルを組み合わせていることが多く、東南アジアでは一般的だ。そして、巨額のファミリー企業の資産とコングロマリットが支援していることが多い。Vanzyl 氏は、インドネシアでは Lippo Group や Matahari Mall などがこのトレンドを牽引していると語る。

東南アジアの分散する市場でうまくやるのは困難だが、Vanzyl 氏は VC がモデルを選ぶとき各市場の違いを考慮すべきだと語った。

投資家から見て難しいと感じるのは、市場をまたいでの一貫性が無いということ。国によって、人々は違う言葉を話し、違うルールがあり、外国人がビジネスの所有権を握ることを許していない国も多い。(Vanzyl 氏)

この日最後のパネルでは、VC の人たちがコインベストメントで、〝やるべきこと〟と〝やるべきでないこと〟を語った。このセッションはサンブリッジ グローバルベンチャーズの代表取締役社長である平石郁生氏がモデレートし、Fidelity Growth Partners Japan 代表の David Milstein 氏、インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナーの田中章雄氏、August Capital Partners のマネージング・ディレクター Sameer Narula 氏、GREE Ventures のプリンシパル Kuan Hsu 氏が参加した。

August Capital Partners は、シンガポール政府と多数の案件にコインベストしている。これは単に資金面からそのようにしているのではないということだ。

コインベストするときは、共にコインベストするパートナーも見るようにしている。お金を求めているわけではない。SAP と組んだときは、彼らは技術や市場展開の経験に提供してくれた。ファミリー企業と組めば、彼らは我々の会社では参入しづらい市場の門戸を開けてくれる。(Narula 氏)

Narula 氏によれば、政府とのコインベストによって、政府からデューデリの支援を得たり、規制に対する交渉が可能になり、August Capital が投資する企業の中には、政府に対して税率0%を交渉することに前向きなケースもある。

逆にコインベストのデメリットで言えば、Milstein 氏が素晴らしいアドバイスをくれた。

起業家にとって最大のリスクの一つは、自分とは異なる投資時間軸にいる投資家だ。起業家がそのような投資家と付き合うのは難しい。(例えば)資金が欲しいと思ったときに、資金が無いかもしれない。投資人生に身を置く投資家と相談すべきだ。長期にわたるパートナーと組みたいなら、それが一つの方法だ。(Milstein 氏)

東京で VentureCon をサポートしてくれたすべての人々に謝意を表したい。また来年。

【情報開示】THE BRIDGE は VentureCon Japan 2015 のメディアスポンサーとして協力関係にあります。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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