参加者は500名を突破、“地元の人が地元の魅力を再発見”する「Holiday」オフライン交流成功の秘訣

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Holidayを運営する友巻さん(右)と谷里穂さん(左)
Holidayを運営する友巻憲史郎さん(右)と谷里穂さん(左)

取材する度に毎度ワクワクさせてくれるのが、素敵な休日プランが見つかる「Holiday」です。ガイドブックには載っていない、地元の人しか知らないような日本全国の場所や魅力が詰まっています。

これまでウェブサイトとして展開して来ましたが、3月頭にはiOSアプリをリリース。7月頭には休日プランをアプリからも投稿できるようになったことで、若い層、その中でも20代前半の女性による投稿が増えています。

地元の魅力を再発掘するためのワークショップ

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サービスの強化・改善はもちろんのこと、この半年間、Holidayが継続して行ってきたのが「Holiday ワークショップ」です。これまでに16都道府県、29ヶ所で開催し、参加者数は500人を突破。このワークショップを企画運営するコミュニティマネージャーが、谷 里穂さんです。サービス統括責任者の友巻さんと共に、Holidayがクックパッドに参画する前の学生時代からサービスを作ってきました。

各地で開催されるワークショップは、グループに分かれて行う街歩きから始まります。普段何気なく通り過ぎている場所、あまり立ち寄らない場所などをゆっくり歩いてみることで、地元を再発掘。その後、参加者は会場に戻り、Holidayでおでかけプランを作成します。最後に、チームごとに発掘したプランを発表して共有し合う流れです。

「もっと地元の街を詳しく知りたいという若い高校生から、会社員、70代のおじいさんまで参加者は幅広いです。また、地元のためになればと既に何かしら活動をされている方、自治体や観光業界の方なども参加してくださっています」(谷)

谷さんが、ワークショップを運営する上で大切にしているのが、「地元の魅力を参加者が自分の目と頭で再発見する」こと。あくまでそのきっかけを作り、サポートすることがHolidayの役割です。例えば、鳥取市でワークショップを開催した時のこと。

「鳥取と言えば、砂丘が有名です。でも、地元を街あるきすることで、喫茶店の多さに改めて気がついた参加者さんがいました。鳥取には昔からコーヒー文化が根付いており、喫茶店ではないお店にもコーヒーが置いてあるくらい。そこに住んでいると当たり前過ぎる魅力に気づくきっかけになったと喜んでいただきました」(谷)

Holidayのユーザーを増やすためのワークショップではない

Holidayのワークショップの様子
Holidayのワークショップの様子

日本全国に住む人々が、自分が知る地元の魅力を「みんなに知ってほしい、足を運んでほしい」という想いで発信する。Holidayが目指すのは、そんな世界です。

「果てしないミッションです。1年、2年で出来上がるものではないし、オンラインだけで完結するものでもない。じゃあ何を積み上げていけばいいのかと話し合って、色々試してみた結果、今のワークショップという形を見つけました。これなら、大きな流れを作れるんじゃないかと考えました」(友巻)

昨今、オンラインで完結するサービスが溢れる中、リアルでのコミュニケーションに原点回帰する流れが見られます。そんな中で、Holidayは内部のコミュニケーションで安易に「コミュニティ」という言葉を使わず、コミュニティがどんな状態で、何を指すのかなどを明確にした上で議論することを心掛けています。

Holidayには投稿者もいれば、閲覧者もいる。属性だってさまざまなユーザーが集まっています。ただ人が集まっていることと、その人たちがコミュニティ化することは全く別のもの。Holidayが目指す世界に近づくために、地域開催のワークショップという手段がベストだろうと考えたまで。

「ワークショップに参加してくださる皆さんは、Holidayを使ってみたくて参加するわけではありません。地域活性や観光という文脈の中で、地元の魅力を発信したいという思いがモチベーションです。そして私たちは、まさに“地元の人たちが地元の魅力を発信する”世界を目指している。ここのベクトルが合致しているため、そこに働きかけています」(谷)

地域活性化のためのツールとして、Holidayが最適だと感じたなら活用してくれればいい。そう感じてもらえるように、同じゴールを共有するユーザーにとって価値のあるサービス作りに取り組んでいます。

フォトレポ機能が持つ威力

一回のワークショップの参加人数は30人ほどですが、自治体職員や町おこしへのモチベーションが強い参加者が集まることで、その後、自分たちだけでHolidayを活用した同様のイベントを開催するケースが見受けられます。「20回、30回と回数を重ねることで、少しずつ仕組み化されてきたという手応えを感じています」(友巻)

Holidayは引き続き、プラン投稿者にとっての価値追求に注力していくとのこと。その一環として、既にウェブでは実装され、iOSアプリにも近日反映される「フォトレポ」機能をリリース。フォトレポは、クックパッドで言うところの「つくれぽ(作りましたフォトレポート)」に当たるもの。プランに対して、閲覧者は「行ってきました!」とレポートすることができます。

「クックパッドにおいても、つくれぽの実装が成長における重要なポイントだったと言われています。コメント機能とどう違うんだろう?と少し半信半疑でしたが、実装したところ、すごい威力を発揮しています。自分が作ったプランにフォトレポがつけば、投稿者は嬉しい。投稿者と閲覧者間で、すごくあたたかい世界観が生まれています」(友巻)

とはいえ、コミュニケーションはHolidayというサービスのコアバリューではありません。そのため、フォトレポに32文字の文字制限を設けたりすることで、投稿者にとって閲覧者との程よい距離感が生まれるように工夫しています。

9月からは、さまざまな企業や団体などとコラボレーションしながら、全国でのワークショップ開催を本格的に展開していく予定。また、9月頃にはAndroidアプリのリリースも。モバイルからの投稿とフォトレポ機能の追加で、年内にはコアなフィードバックループが完成します。一歩一歩丁寧に取り組んで来た「Holidayワークショップ」の仕組みが、どんな大きな波になっていくのか。今後の展開にますます注目です。

 

 

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