Chinaccelerator(中国加速)のディレクターが語る、外国人が中国でスタートアップを成功させるための極意〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

中国のスタートアップ・アクセラレータ Chinaccelerator(中国加速)でプログラムディレクターを務める Todd Embley 氏によると、中国におけるスタートアップの失敗率は95%にも上るという。これは、一般的なスタートアップで予想される失敗率よりもずいぶん高い数値だ。

Embley 氏は ASIABEAT で、次のように語った。ASIABEAT は、アジアの起業家や投資家のために毎年行われるスタートアップのコンペティションだ。

人々はアジアで事業を開始する方法さえわかっていない場合が多いのです。中国を特に恐れています。多くの企業が中国進出に失敗しているからです。もちろん、Google以上の大企業が進出したことはありませんが。

(Chinaccelerator が)スムーズな市場進出と現地エコシステムを理解するための支援をし、スタートアップが良い環境からスタートできても中国に進出するのは勇気が必要です。

中国では企業がどんどん生まれている。これらの企業は、中国でベンチャービジネスを始め、規模を拡大し、事業を進めていきたいと考えている外国人が、スムーズに進出できるようなサービスを提供しようとしている。ハードウェアを専門にしている深圳の HAX は、中国のハードウェアスタートアップが集まる中心地に世界中から起業家を呼び込んでいる。他にも、北京に拠点を置くハードウェアアクセラレータの HaxAsia や、2012年にローンチした Microsoft Ventures Beijing などがある。また、起業家が中国の厳しい市場でも生き残れるよう国からの後押しもある。例えば、フランスのスタートアップエコシステムで投資家、起業家、他のプレイヤーなどの世界的なネットワークを有する La French Tech が、今年初めに上海でローンチした。

しかし、自分の国を離れ中国に来た起業家は、言葉の壁、文化的な相違や中国の一般的な消費者行動を直感する上でEmbley 氏が間違った「本能的直感」と呼ぶものなどにいまだ苦しんでいる。ASIABEAT では、Chinaccelerator や中国における外国人のスタートアップ環境について、Empley 氏にインタビューすることができた。

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1. 中国に来てからの7年間で、中国のスタートアップシーンはどう変化しましたか?

スタートアップによるイノベーションには大きな関心が寄せられています。信じられないほどです。私はいつも、シリコンバレーのスタートアップエコシステムのイメージを、政府がイノベーションに対して重い腰をなかなか上げられずにいる感じに捉えています。しかし、中国ではこれは逆なのです。政府は非常に前向きで、起こる必要のあることをわかっており、起こるべきことが起こるように進んであらゆる手段を講じています。市場に資金とメディアを注ぎ込んでいますし、コワーキングスペースやアクセラレータ、インキュベータ、ITパークなどを推進しています。

(政府は)よく次のように発言をしています。

この国には起業家が必要です。革新的なことを生み出す若い人が必要です。製造現場から、イノベーションやテックのリーダーを輩出するよう目指すべきなのです。

これは見ていて素晴らしいことです。

2. 現在の中国のスタートアップエコシステムは、昔よりも海外のスタートアップに対してオープンですか?

昔よりも情報があるからでしょうね。5年前に進出した時は、情報があまりなかったために非常に苦労しました。人にコンタクトを取りたくてもイエローページさえありませんでした。インターネットで情報を得ることもできませんでした。情報を見つけるのは難しく、あらゆることが本当に難しかったです。

現在は、多くのスタートアップが失敗し、多くの人が中国へ渡り、エコシステムにも十分な関心が寄せられています。こうしたことで、中国で成功する秘訣が明かされてきたのです。中国国内外に資金が流入し、海外の収益も上がっています。現在は、中国進出がずっと容易になりました。

3. 中国政府の支援は、スタートアップのエコシステムにどのような影響を与えていますか? アクセラレータとして、政府方針から影響を受けたことがありますか?

(近い)将来には、良い影響と悪い影響の両方があると思います。私たちの意見としては、起業家は失敗して学ぶ必要があります。今、資金調達ができすぎると、その道のりが長くなってしまいます。スタートアップは背水の陣でいるべきなのにも関わらず、資金があり過ぎるのです。製品を市場に出荷し、継続的にその製品を見直し、修正し、市場に合ったものにしていく必要があります。

資金があり過ぎると、オフィスにこもって商品を作ってばかりになり、資金が潤沢であるために収益を追求する必要がなくなります。投資家は投資にあまりリスクを取りませんから、資金はいくらか自由になります。これでは、市場経済が正しく機能しているとはいえません。

良い点としては、これはすごいことだと思います。中国政府が何を考えているかはわかりませんが、重要な点のひとつとして、中国の親に子供を起業家にするよう勧めている点があります。お金を多く稼げることやニュースやメディアで取り上げられている会社を創業して成功した人物、例えば Jack Ma(馬雲)氏や Lei Jun(雷軍)氏など多くのケースを親世代に示すことができます。「聞いてよ、スタートアップで働こうと思うんだ」と言っても、親がパニックになることはありません。

4. Chinaccelerator を設立し、中国スタートアップの現状に関するデータを利用できるようにした経緯を詳しく教えてください。

(Chinaccelerator の設立者が)、中国に投資したいと考えました。しかし中国は、特にGoogleなどの企業が失敗した経緯などがわかっていれば、外国人にとって非常に危険な場所です。そこで「どうすれば賢く投資できるか。データが無いなら、どうすればあまりわかっていない文化に賢く投資できるか」と考えたわけです。

こうして、アクセラレータという考えが生まれました。初期の段階にあるスタートアップを呼び込んで、3ヶ月間一緒に仕事をするのです。そうして、データができてきます。相手がいったいどんな人たちなのか、どういう働き方をするか、何をしているのか、成功できると思うかどうかなどがわかってきます。

現在、初期段階のスタートアップに関するデータはそれほど多くありません。データは、起こったことの歴史的証拠からできます。新しいスタートアップに関しては、歴史的なデータがそれほどありません。そしてもちろん、私たちは自分が「外国人」である中国のような国にいますし、取引相手に関する本能的直感がありません。私たちは、中国の技術に初期段階で投資する会社になりたいと考えています。これが、私たちにとって最良の方法でした。

5. 中国市場に適応した外国企業の例(Embley氏の話から)

どちらかといえば、私は LinkedIn が気に入っています。LinkedIn は私たちが「SEAL Team 6手法」と呼んでいる手法を取り入れているからです。この SEAL Team 6 では、まず優秀なエリートチームを集める必要があります。そして、彼らに成功するのに必要な訓練をすべて受けさせます。さらに、成功に必要なリソースを全て与えます。その後、それぞれの環境へ送り込み、シリコンバレーから遠隔で指示を与えることなく、必要なことをさせます。この方法がここに来るほとんどのスタートアップを驚かせ、ここへ来る企業を驚かせるのです。

成功したいなら、中国では素早く判断し、身を粉にして働く必要があります。遠隔から指示を飛ばそうとすると、それは時間がかかりすぎます。中国人以外の人で中国にいない人を意思決定者にするというのは、良い考えではありません。ですから、LinkedInは、完全自律式の製品をここ中国で作りました。LinkedIn.cn(領英)は、中国のコードから作られ、中国で管理され、中国人が中国人のために作った完全に新しい製品です。この製品は LinkedIn.com とシームレスに繋がって動き、統合されているようですが、完全に独立した製品なのです。非常に良くできていると思います。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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