360度コンテンツを制作、配信、解析までできるオーサリングツール「InstaVR」は8月24日、グリーベンチャーズをリードとする第三者割当増資を実施したと発表した。調達した資金は総額約2億円で、同ラウンドにコロプラ子会社のファンド、Colopl VR Fundも参加している。割当株式の比率や払込日などの詳細は非公開。同社はVR・ARのアクセラレーションプログラム「Tokyo VR Startups」の第1期生。
InstaVRはウェブベースの360度コンテンツ制作ツール。例えば建設予定のマンションなどの内覧風景をイメージ動画、全天球(360度)画像素材などを組合せて制作することができる。途中にクリックするとYouTube動画を再生したり、次のシーンや場所に「ワープ」するようなリンク、その他のコール・トゥ・アクションなどを設定することもでき、よりインタラクティブな素材制作を可能にしている。
作成したコンテンツは独自プレーヤーで再生可能なアプリとして出力、iOSやAndroidといったスマートデバイスOS、GearVRに対応している。また下記例のようにウェブに埋め込むこともできる。(クリックすると左右に移動可能)
また、特徴的な機能としてヒートマップ解析に対応しており、ユーザーが「どこを見たか」というVR体験ならではの測定ポイントを解析することで、より的確なクリックリンクの配置や、次期コンテンツ制作における検証を可能としている。
InstaVRは2016年1月のリリース以来、現在までに全世界100カ国、1800社で利用されており、スミソニアン博物館のような観光産業や建築、マーケティング目的のコンテンツ制作会社、広告代理店など幅広い業種で導入が進んでいる。
InstaVRは代表取締役の芳賀洋行氏が2015年12月に創業。3DオーサリングツールのAutodeskやグリーなどの第一線で技術者として活躍してきた同氏が、2014年に開発したフリーツールが元となっている。
「ツールがダウンロードされるに従い、VRコンテンツを受託したけど開発が難しいので手伝ってくれという話が舞い込むようになりました。当時はエクセルを叩いたらVRコンテンツを作れるようなサービスで、そういったノウハウをこのInstaVRに全て盛り込んでいます」(芳賀氏)。
VRやARの業界ランドスケープの一角を占めるのがオーサリングツールだ。
制作のプラットフォームとしては高性能カメラからスティッチング(360度素材のつなぎ合わせ)、配信まで垂直統合的に提供する「Jaunt」や「NextVR」などのハイエンドタイプ、下記の記事で紹介しているMarxentのように3Dオブジェクトを多用するタイプなどがあるが、InstaVRのように軽めのコンテンツをウェブ上で組合せて制作、配信までできるツールで思い当たるものはない。
InstaVRの有償版の利用料金は月額199ドル。同社は調達した資金を元に開発を進め、年内に1万社への導入を目指すとしている。
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