
Baidu(百度)や Google といったハイテク大手企業が技術力を磨き全自動運転車の実用化を目指す上で一つの大きな壁、「購買力」が開発と大量生産の間に立ちはだかっている。
先週火曜日(8月16日)、Baidu と Ford はシリコンバレーを本拠とし、レーザー技術を活用した LiDAR(Light Imaging, Detection, and Ranging:光検出と測距)センサーを開発している Velodyne LiDAR, Inc. に1億5,000万ドルの共同投資を行うと発表した。LiDAR センサーは地図作成、位置特定、物体認知および衝突防止に利用されている。 Velodyne によれば、最新のラウンドでの資金調達は同技術のコスト削減、同社の技術向上に活用されるという。
Velodyne LiDAR の設立者で CEO の David Hall 氏はプレスリリースでこう語っている。
今回の投資により、Velodyne が業界をリードする LiDAR センサーの製造コスト削減と製造規模拡大が後押しされ、同技術がさらに普及して全自動運転車の大量生産が可能となるでしょう。
LiDAR の技術では、レーザー光を近くの物体に反射させることでセンサーからの距離を測定する。電波を使うレーダーと比較すると高速な技術のため、LiDAR センサーは周辺からより多くのデータを収集でき、よりきめ細かな3D マップを作成することができる。自動運転車に関していえば、LiDAR センサーによって車が道路をきちんと「見て捉える」ことができるのだ。
現在、Velodyne の最新世代センサー Velodyne Puck の値段はおよそ8,000米ドルである。これは前世代までのセンサーの値段が8万米ドル以上であったのと比べればはるかに安い。Velodyne Puck を開発するにあたり、同社は一つのセンサーあたりのレーザー数を64から16にまで減らすことにより著しくコストを削減した。それでも大消費市場への展開を図るにはさらに値段を下げる必要がある。
Baidu のシニア VP で自動運転車部門ゼネラルマネージャーの Jing Wang(王勁)氏はプレスリリースで次のように語っている。
Baidu が自動運転車を開発しているのは中国国内における乗客の安全の向上、渋滞および汚染を減らすのが目的です。
今回の共同投資は私たちが見る限り、現在手に入る最高の LiDAR センサー技術を導入した自動運転車の開発を後押しし、Velodyne のより高度な LiDAR センサー開発を支援するでしょう。
Velodyne への Baidu の投資は自動運転車にかけるハイテク大手企業の野望を実現する上で新たな節目となるであろう。2ヶ月前、Jing Wang 氏は Baidu が5年以内に自動運転車を大量生産し、実際に車道を走らせるとの計画を発表した。同社は今年初め中国安徽省に自動運転車用の区域を設け、7月には烏鎮の観光協会と協定を結び観光客が Baidu の自動運転車を予約できるようになった。
Baidu はまた自動運転車技術の研究開発部門を拡充させていく計画だ。4月に同社はシリコンバレーを拠点にした100人規模の研究開発チームを発足すると発表した。
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