
香港証券取引所で史上二番目に大きい、テック業界のIPOを実現するのは、写真からニキビを消し、撮影後の写真に修正を施し、より細く明るく完璧な仕上がりにしてくれるフィルターを、スマートフォン・カメラに提供している企業になりそうだ。
中国を代表する自撮りアプリで、ハードウェア・メーカーの一つである Meitu(美図)は、Wall Street Journal 紙に語った情報筋によれば、今年第4四半期に香港での上場を模索しており、5億ドル〜10億ドル(約500億円〜1,000億円)の調達を希望しているという。
香港証取は2004年に上場し、15億香港ドル(当時のレートで約200億円)を調達した Tencent(騰訊)の規模の IPO を経験していない。
オンラインでリークしたイメージには、Meitu 代表者による IPO 申請書の表紙が映し出されており、8月19日付の香港証取の上場取扱部門の受領スタンプが押されている。Meitu はこの噂についてコメントを控えた。

Meitu CEO の Cai Wensheng(蔡文胜)氏は、自ら学習して成長した起業家兼投資家で、中国の独立系ジャーナリストに対し、アメリカではなく香港で上場することで、多くいる Meitu の中華圏のユーザに近い関係でい続けることができるだろう、と語っている。
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今年3月、「戦略産業新興板(訳注:中国国務院が、戦略的新興産業の資金調達を目的として、上海証券取引所に設立を計画していた新市場)」が政府の計画から外される前までは、Meitu はそちらへの上場を好んでいたので、戦略産業新興板が立ち上がっていれば、香港は Meitu 上場の最初に噂が立つ場にはならなかったかもしれない。

Meitu は上場後のバリュエーションは50億ドルを目指しており、これは、Meitu のような野心あふれる会社にとっては、野心あふれる数字だ。同社は創業からの8年で世界に7億人のユーザを獲得、中国語で文字どおり「美しい絵」を意味する Meitu として8つのセルフィーアプリや写真創作アプリを世に送り出しており、風景写真にアーティスティックな趣を加えたり、昔の映画のように見せるレトロ調を加えたりすることができる。
スマートフォンを2台、カメラも1台のほか、遠隔操作できるシャッターやセルフィー用の光源デバイスも発売している。アプリは無料なので、ハードウェアこそが同社にとっての稼ぎ頭だ。同社の製品は10代の自撮りジャンキー、女優やモデル志望者、ネットセレブにとってスタンダードになっている。

アジアに限って言えば、日本のメイクアップ、韓国の美容整形、中国の写真加工など、若い女性達が持つ驚異的な力をからかっても構わないだろう。しかし今現在、これほどまでに史上から資金を集め、ユーザからの求愛を集められる自撮りアプリがあるだろうか。
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