豪通信大手Telstraのスタートアップ・アクセラレータ「Muru-D Singapore」、第2期バッチから輩出されたスタートアップ8社を披露

SHARE:
muru-d-sg-2nd-cohort-demo-day
卒業を迎えた Muru-D Singapore 第2期生スタートアップ
Photo credit: Muru-D

オーストラリア生まれのアクセラレータ、Muru-D のシンガポールでの運用は今年で二年目。その第2期生となるスタートアップ8社が、昨日(3月8日)のデモデイイベントで卒業を迎えた。

その8社にはそれぞれ、2万8,000米ドルのシード資金、Muru-D Singapore のオフィススペースが与えられ、さらにメンターや業界専門家、投資家、技術リソースのネットワークへのアクセスも提供された。

Muru-D は Telstra が運営するアクセラレータで、そのグローバルポートフォリオに含まれるスタートアップの数は62社。シドニー、シンガポール、ブリスベン、パースでプログラムの運用を行っている。Muru-D Singapore でトップを務める Jamie Camidge 氏は、プログラム参加スタートアップの国際展開への見通しが最優先であると考えており、Muru-D は、参加している設立者に対してグローバル商品の開発を積極的に呼びかけている。

第3期の申し込みは6月から開始される予定だ。Muru-D Singapore の客員起業家(EIR)である Craig Dixon 氏によると、レーターステージにあるスタートアップに対しても、データアナリティクスや人工知能、医療技術などのディープテックの活用を検討する機会を与えるとのことだ。

Muru-D Singapore はこの次の第3期以降、SAFE に基づいてスタートアップへの資金提供を行う予定だ。SAFE とは、Simple Agreement for Future Equity の略語で、「将来の株式に関するシンプルな契約」を意味する。SAFE では特定の条件またはマイルストーンに従って、投資家はレーターステージで企業の株式を購入する権利を得る。設立者からすると、交渉内容が比較的シンプルなため資金調達をより迅速に行うことができる。この SAFE は Y Combinator パートナーである Carolynn Levy 氏が2013年に編み出したアイデアだ。Jamie 氏はこう述べている。

ファウンダーフレンドリーであるがゆえにインベスターフレンドリーなのです。

ここからは、Muru-D Singapore の第2期を卒業したスタートアップ8社をアルファベット順に紹介しよう。

Amtiss(インドネシア)

Amtiss は、センサーとオンラインプラットフォームを活用することで、採掘企業が重機の管理・維持を行う手助けをしている。これにより、企業は故障への迅速な対応が可能になり、保守・運用にかかるコストを削減できる。

Amtiss によると、現在の有償企業顧客は4社で、これまでに4万米ドル以上の収益をあげているという。

Checkit(ベトナム)

Checkit はノンフィクションを専門に扱う ClifftsNotes のようなものだ。書籍の内容を要約して理解しやすい状態で提供している。外国語で読むのが困難な国向けにはローカライズも行っている。

Checkit によると、プラットフォーム上に300タイトル、6,000人以上のユーザがおり、デイリーアクティブユーザ数は500人以上で有料会員数は400人以上だという。

FreightKart(シンガポール)

FreightKart はその名の通り、貨物輸送を専門としており、オンラインアグリゲータとして中小企業向けに料金比較サービスなどを提供している。これらのサービスにより、海上輸送の計画、予約、発送にかかる時間を短縮できるという。

同社によると、1月に運用を開始したばかりながら現在20社がユーザ登録しており、プラットフォーム上には79か国から50社の業者が集まっているという。

Hafta(マレーシア)

Hafta は性格分析サービスを提供している。ユーザは性格を自己評価したり、ネットワークを通じて形成された評判と比較したり、有名人の性格と比較することができる。

同社はマレーシアで Uber や Grab と提携し、両社のドライバー採用を支援している。さらに、同国で3つの大学とも提携を結んでいる。

PlanForFit(タイ)

PlanForFit はユーザがフィットネスの目標を設定し、その目標を達成する手助けをしている。ユーザに合ったサポートを行うために、動画、アドバイス、商品など幅広いコンテンツを提供している。

SeeChat/Winimy(シンガポール)

SeeChat はビジネスディレクトリへの統合が可能なメッセージングアプリで、ユーザ企業はソーシャルメディア、検索エンジン、Alexa や Google Home などの AI アシスタントを含む様々なオンラインサービスを通じて顧客とコミュニケーションをとることができる。

そして、こうしたコミュニケーションから得られたデータを単一のダッシュボードに集約することで、ディレクトリは参加企業のカスタマーエンゲージメントおよびカスタマーサポートを向上させることができる。SeeChat は現在、シンガポールのディレクトリでリスティング企業数10万社の MediaNusa、リスティング数80万件を誇るトルコの Local Knowledge と取引を行っている。

Teman Usaha(インドネシア)

Teman Usaha は小規模企業向けのマイクロローンマーケットプレイスだ。Teman Usaha を利用すれば、起業家はスマートフォンからローンを検索して申請することができる。また、同社はローンを提供している銀行に見込み客をまわすことができるように、企業の事前審査も行っている。

現在、個人ローン、オートバイ・自動車ローン、ビジネスローンの3つの商品を提供している。インドネシアにおいて、地方銀行とマルチファイナンス企業2社と共同でパイロットプロジェクトを運用しており、2,000件以上の申請があり、平均1,000米ドルのローンが200件以上承認された。

Zelos(インドネシア)

Zelos は、若い就職希望者がそれぞれに合った仕事で市場に参加し、雇用者が適切な就職希望者を得て長期で雇用できるように、企業の新卒採用をサポートしている。

現在、Telkom Indonesia、BCA、Maybank と提携し、過去6か月間で3万米ドルの収益をあげている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する