
Photo credit: PayPal.
シンガポールでイニシャルコインオファリング(ICO)が波に乗っているようだ。最近この新しい資金調達形式に関連した発表が2件あった。
ブロックチェーンのスタートアップ TenX は先週(6月第4週)開催されたトークン販売で8,000万米ドルに近い資金を調達した。また、東ヨーロッパに焦点を当てた SPV(特別目的事業体)でアメリカを本拠とする Starta Accelerator の Cross Coin は、来たる ICO で500万米ドルの資金調達を目指している。
要するに、いわゆる ICO とはブロックチェーンと暗号通貨技術を利用したクラウドファンディングの新たな手法である。人によってはイニシャルトークンオファリングと呼ぶ場合もある。
ICO が既存のクラウドファンディング形態と違うのは、株式や特典の代わりに、資金(ビットコインやイーサといった暗号通貨の形態で投資される)に対する見返りとしてデジタルトークンが発行されることだ。わかりやすく言うと、これらのトークン自身がその企業やプロジェクトに固有の暗号通貨を形成し、その企業が成功していれば、所有者は後に二次市場で取引して利益を得ることができる。
TenX
異なるブロックチェーン間での迅速かつ安全な取引を実現するプロトコルを開発した TenX は月曜日(6月26日)、最近終了したトークン販売の詳細を発表した。
同社のブログ記事によると、TenX は金額にして約8,000万米ドルの価値となる24万5,832イーサ(略称は ETH、イーサリアムブロックチェーンに関連した暗号通貨)相当を調達したという。これらは1 ETH = 350 PAY のレートで同社独自の PAY トークンに交換された。
これらの PAY トークンは、同社ユーザ向けロイヤルティースキームとしての機能に加え、TenX の決済サービスから生み出される売り上げの一部へのアクセスを提供する。
約4,000人が個人としてトークン販売(7分も経たずに終了した)に直接参加したが、団体として資金をプールしてトークンを購入した者もいる(団体数は不明)。来月(7月)から PAY トークンはグローバル暗号通貨市場でトレード可能となり、販売量が限定されていた最初の販売でトークンを購入できなかった4万人近くの参加者が、もう一度トークン購入の機会を得ることになる。
編注:
Toby Hoenisch 氏 は以前、日本を拠点に StudyPact を起業していた(関連記事)。その後、シンガポールでビットコイン・スタートアップの OneBit を起業し、TenX にピボットした。
Cross Coin
今週(6月第5週)発表されたシンガポールの他の ICO ニュースとしては、Starta Accelerator 参加のスタートアップ向けファンドの調達を目的に、地元企業の Cross Coin が最大500万トークンを販売すると公表している。Starta は資本調達を唯一の目的として Cross Coin を設立している。
Cross Coin は ICO を通じ、トークン単価1米ドルで150万〜500万米ドルの投資確保を目指している。この最初の150万米ドルは、Starta の2016-2017年アクセラレータプログラムに合格したスタートアップ21社に割り当てられることとなる。これを超える調達資金は先々、同アクセラレータのスタートアップコホートに割り当てられる予定。
Cross Coin トークンを購入して二次市場で売却しない場合、投資家は Starta のスタートアップが将来イグジットした際に、2016-2017年発行株式分から確保される利益の一部を受け取ることになる。
Starta の ICO は7月4日に開催予定。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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