イノベーションハブは、革新的というより保守的になりつつある

著者の Vikram Jandhyala 氏は、ワシントン大学のイノベーション副学長(Vice Provost of Innovation)である。

via Flickr by “Patrick Nouhailler“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

LinkedIn のコーファウンダー、リード・ホフマン氏は今年5月にシアトルで開催された Tech Alliance の昼食会でスピーチをした。そこで彼が語ったものは、シリコンバレーやあらゆるイノベーションハブについて、違った見方を迫られるものだった。

エンジェル投資家のサラ・インバフ氏に壇上でインタビューされたホフマン氏は、シリコンバレーについて「視野が狭い」といい、シアトルで起きていることに注意を向けるべきだと人々に促した。シアトルは、ホフマン氏がスタートアップの投資家として、またマイクロソフトの役員として現在過ごしている場所だ。

「視野が狭い」というのは実に的を射た表現だ。それはまた、シリコンバレーやその他のイノベーションハブがエッジを失うことが危ぶまれてる理由だ。

ベイエリアのイノベーションエコシステムは、非直線的なニューラルネットワークのように形成されている。自己組織的で効率的であるという見方がされている。アイデア、ネットワーク、パートナー、チーム、資本、そして顧客がいる。その全てがそこにあり、イノベーションは迅速にスケールする。

だが、視野の狭い見方は時に「リーダーの後を追え」というメンタリティにつながりやすい。たとえば、ベンチャーキャピタリストは、彼ら全員が見るトレンドに同じタイミングで投資することによって、集団で群れるメンタリティを有しているかのように見えることがある。

シリコンバレーのような場所では、必要なリソースはすぐに集まる。一方で、危険なことは多数の投資家と起業家が促進する同じアイデアを推進していることだ。

置いていかれる恐怖のもとに全員が加わることが度々ある。これは人間の心理だ。その結果、VC と起業家はリスクをとらず、その代わりに隣のVCや起業家がやってることを追求する。そうした VC の目標は、リターンを得ることを目的に、出資の熱狂に同じタイミングで積極的に参加することだ。起業家も、はやく簡単なエグジットを狙っているのかもしれない。まさにバブルが起こる背景だ。

だが、リターンもエグジットもイノベーションではない。

問題は、意見の一致を求めるマインドセットはイノベーションを生まないという点である。

もちろん、マーケットを完全に変革するような新しいユニークなアイデアも存在する。Netflix やライドシェアリングはまさにそうした例だろう。だが、そうした例は希少だ。

多くの場合に目にするのは、緩やかな変化を起こす事をするために、ネットワークが形成されることが多いということだ。イノベーションは、クールで新しいアプリ以上のものを指す。徐々な変化を求めるマインドセットでは、ブレイクスルーを起こすアイデアは生まれない。一時的にマーケットに浸透するだけだ。

シリコンバレーのエコシステム自体、シアトルも同様だが、守るべき大きなバランスシートをもった、リスク回避志向の大企業のように振る舞うことが時にある。クレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」が、ある企業だけではなくネットワーク全体に生じているような状態なのだ。

イノベーションジレンマとは何か。企業が一度イノベーティブな製品を開発、ローンチすると、その後は新しいイノベーティブで破壊的なアイデアに投資するよりも、既存の製品をより効率的に高利益につくることを目指すようになることだ。現存の事業を食うかもしれない新しい何かに投資するか、それとも新興のライバルに低価格の破壊的なイノベーションをさせるか、というジレンマである。

このダイナミックを打破して、イノベーションを超えてスケールしている企業もある。たとえば、GoogleはAlphabetを通じて成功を加速させている。インターネット検索の利益性は低くなったため、サイエンスやロボティクス、ホームオートメーションといったイノベーティブな新しいエリアにフォーカスしている。

今こそ、イノベーションエコシステムに対する視野の狭いアプローチをやめるべきだ。今変わらなければ、イノベーションジレンマはいくつかの企業だけの問題ではなくなったと語る結果になるだろう。シリコンバレーやシアトルのようなイノベーションエリア、起業家のハブにまで影響が及ぶような問題になってしまうかもしれないのだ。

(この記事は、著者の個人的な意見であって、ワシントン大学の意見を表すものではありません。)

(本記事は抄訳になります。)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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