
市場の憶測を打ち消すかのように、インド生まれのタクシーアグリゲータ Ola は、中国のインターネット大手 Tencent(騰訊)がリードする新規ラウンドで11億米ドルを調達した。既存投資家のソフトバンクのほか、匿名の米国系金融投資家数社も参加した。
Ola は目下、今回のラウンドの一環として10億米ドルの追加調達に向けて別の投資家と交渉を進めているという。これが完了すると、調達総額は20億米ドル以上になる(会社声明)。
今回の資金調達ラウンドで Ola は自動車の供給、テクノロジー、最新鋭のイノベーションへの戦略的な投資を行い、この国のユニークな輸送ニーズに対応していく。また、人工知能やマシンラーニング機能に対しても相当の投資が行われる予定。
同社共同設立者兼 CEO の Bhavish Aggarwal 氏は次のように述べている。
輸送とモビリティの業界は、世界レベルで大きく変化しています。当社の目標は、進化しつつある国を支援し加速させるような、世界的に競争力のある未来志向の輸送システムをインドで構築することです。当社の新たなパートナーは、インドで共に未来の輸送を作り上げるという情熱を共有していますので、こうした企業の世界的な視点やエコシステムから学び、彼らから支援を受けるのが楽しみです。
インド工科大学ボンベイ校を卒業した Aggarwal 氏と Ankit Bhati 氏により2011年1月に設立された同社は、オンラインでタクシーやオートリキシャー(三輪タクシー)を予約できるプラットフォームだ。Ola アプリを使うユーザは110都市で80万台以上の車両から予約ができる。アプリは現在、Windows、Android、iOS のプラットフォームで利用可能。
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Ola は2年前、シリーズ F ラウンドでイギリス拠点の投資企業 Baillie Gifford のリードにより5億米ドルを調達した。その際、既存投資家の Falcon Edge Capital、Tiger Global、ソフトバンクグループ、DST Global のほか、中国のモバイル輸送大手 Didi Kuaidi(滴滴快的)もこのラウンドに参加した。
2015年12月、大手グローバル企業である Uber に対抗するため、オンデマンドタクシー配車大手の Didi Kuaidi、Ola、Lyft、GrabTaxi がパートナーシップを結んだ。この提携を通じてこれら4社は、世界を旅するユーザがどの国に行っても、同一のアプリを使って現地のオンデマンド配車サービスにアクセスできるようにした。これにより各社は東南アジア、インド、中国、米国の主要地域をカバーすることを目指しており、このサービスを2016年第1四半期から開始している。
Ola は、世界で二番目に市場が急成長しているインドにおいて Uber との厳しい争いに直面している。Uber は2012年にインドに進出して以来、この地で積極的な事業展開を図ってきた。Ola は国籍や価格設定を巡って Uber と幾度となく対立しているが、両社は規制の壁を巡り政府とも争ってきた。7月には、Uber がムンバイを拠点とする Ola を論争に巻き込むことで、Uber の運転手が関与した婦女暴行事件の「おぞましさを矮小化」しようとしている、と Ola が主張した。
両社とも他社に対する優位性を主張しているものの、多くのユーザは、サービスと車両の高い品質を理由に Uber の方を好むようになっている。
Uber はさらに、ドライバーへのインセンティブや顧客へのプロモーションキャンペーンを提供することで、サービス水準を上げている。
Uber は最近、アプリのボタン一押しでバイクの乗車サービスを利用できる uberMOTO を導入した。乗車サービスと同じように、バイクに乗りたい人は運転手と車種の詳細情報を受け取ることができるほか、GPS 追跡、双方向フィードバック、家族や友人と移動情報を共有する機能など、乗車前、乗車中、乗車後に標準的な安全に関する機能を利用できる。さらに最近には、登録ユーザが提携レストランに料理を注文すると家まで料理を宅配してもらえる UberEATS もインドでローンチしている。
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