
Image Credit: Blue Vision Labs
創業間もない拡張現実(AR)スタートアップが本日(原文掲載日:3月15日)、ベンチャーキャピタル界の有名企業から1,700万米ドルの投資を受け、ステルスモードから正式にローンチした。
ロンドンを拠点とする Blue Vision Labs は、本日新たに1,450万米ドルのシリーズ A ラウンドを発表した。このラウンドは Alphabet の VC 部門である GV(元Google Ventures)がリードし、ほかにも Accel、Horizons Ventures、以前に2016年のシードラウンドで250万米ドルを投資した SV Angel といった既存の投資家も参加した。
Blue Vision Labs からは大きな取引のニュースはこれまでなかった。なぜなら、同社はステルスモードにあったからだ。だが本日、同社がロンドンの街で一体何を作り上げてきたのかを垣間見る機会を与えてくれた。
ソーシャルAR
つまるところ、Blue Vision Labs はユーザ個人が AR コンテンツを楽しむという現状の型に反し、複数人で使う AR アプリケーションの開発の手助けをしようとしているのだ。いわば AR のソーシャル化、複数のユーザが同時に同じARを体験できるようにするというわけだ。
そのため、Blue Vision Labs はマルチユーザ向け AR アプリケーションのためのクラウドベースのコンピュータビジョンプラットフォームを開発した。同社によればプラットフォームには自動更新式の立体都市マップが備わっており、参加者の携帯のある位置をカメラから得られた視覚情報のみを用いて「センチ単位で」特定できるという。現在ロンドン、サンフランシスコ、ニューヨーク市に対応しているが、今年のうちにさらにほかの都市にも対応するという。

Blue Vision Labs の共同設立者で CEO の Peter Ondruska 氏はこう語る。
共有でき、永続的なARアプリケーションを作る技術というのは、2021年までに830億米ドルの市場になると言われている AR 業界において欠落していました。
Blue Vision のコンセプトは7年かけて出来上がったものですが、今回のローンチは拡張現実の未来にとって極めて重要な瞬間となるでしょう。まだこの技術が、ゲームから自動運転車まで数限りない業界や分野にもたらす影響のほんの一部をかすった程度ですが、今日の投資によりその可能性の実現も近くなります。
絶好調のAR
ここ数年前に誕生したばかりの AR 技術だが、高性能なスマートフォンの登場により、その真の可能性を見せ始めている。まだ大規模なニュースはないものの、AR は少しずつ業界に浸透しつつある。例えば、DroneBase は最近 AR を航空ドローン画像に利用するため1,200万米ドルの投資を受けている。インテリアデザインの領域も長い間 AR の恩恵を受けている。Ikea は買い物客が特定の家具を自分の家に置いた様子をプレビューできる AR を利用したスマート技術を数年にわたって提供している。昨年、Ikea は新たに画面上の好きな場所にバーチャル家具をドラッグアンドドロップで置いてみることができるアプリ「Ikea Place」をローンチした。
GV が Blue Vision Labs へのリードインベスターとなったのは注目すべき事実で、同 VC はちょうど数ヶ月前に 3D インテリアデザインの Modsy への2,300万米ドルの投資ラウンドに参加したばかり。Modsy はデザインの変更後、部屋がどう見えるかを視覚化する技術を提供している。2014年には、Google 自体も頭部装着型 AR ディスプレイを開発する Magic Leap に対する5億4,200万米ドルに上る巨大ラウンドのリードインベスターを務めた。
ロンドン最高峰の技術チームに投資できるのを非常に楽しみにしています。チームは地域に合わせ、使い続け、スマートフォンのカメラだけでリアルタイムに共有できる製品を開発しています。
GV のパートナーであり、現在は Blue Vision Labs の取締役会にも名を連ねる Tom Hulme 氏はこう付け加えた。
昨年は Apple ARKit、Google ARCore、Facebook の AR Camera Effects といったプラットフォームが一斉に登場し、AR にとって極めて重要な一年となったが、ARはもっと面白い時代に突入しそうだ。
現在 Blue Vision Labs はステルスモードから脱し、開発者が複数ユーザを念頭に置いた AR アプリケーションを開発するための Android および iOS 端末向けソフトウェア開発キット(SDK)をアーリーアクセスプログラムとして公開している。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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