法人向け資金調達プラットフォーム運営のエメラダ、オンラインレンディング「エメラダ・バンク」をローンチ——ISIDや地方金融機関各社が参画

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東京に拠点を置くフィンテックスタートアップのエメラダは23日、法人向けオンラインレンディングサービス「エメラダ・バンク」をローンチした。エメラダに加え、この金融マーケットプレイスには、城北信用金庫、第三銀行、東邦銀行、大和信用金庫、電通国際情報サービス(ISID)などが新たな事業機会を求め参画する。

エメラダは昨年4月にシードラウンド調達を発表した際、中小企業やスタートアップの資金需要に対して、エクイティ(投資型クラウドファンディング)とデット(オンラインレンディング)の2つの方式でアプローチすることを明らかにしていた。同社は昨年9月、第一種少額電子募集取扱業者に登録完了したのを機に投資型クラウドファンディングをスタートさせており、今日からは残る一翼をエメラダ・バンクが担うこととなる。

エメラダ・バンクは、中小企業がオンライン画面を通じて500万円から5,000万円まで借入を行うことが出来るサービスだ。同社はサービスの特徴や既存の類似金融サービスとの差別化要素として、次の4つの点を挙げている。

  1. 決算書からは見えない様々なデータを活用した革新的な与信モデル
  2. 借り手の状況に応じた柔軟な返済計画の提案
  3. 借入申請、コミュニケーション、契約締結などがオンラインでサクサク行える UI/UX
  4. 株式投資型クラウドファンディング「エメラダ・エクイティ」との連携を通じて、借入だけでなく増資など幅広い財務課題を解決できる点

この分野におけるスタートアップの動向を見てみると、金融データを活用した融資モデルを開発しているという点で、エメラダ・バンクは、マネーフォワード(東証:3994)傘下の MF KESSAI、フリークアウト・ホールディングス(東証:6094)傘下の Gardia、弥生が出資するアルトアなどと、それぞれ部分的に競合することになる。

この点について、エメラダの創業者で CEO の澤村帝我氏は、少額・短期の資金需要に対する攻め方の違いであり、エメラダとしては unbanked の市場の新規開拓よりも、banked 市場の拡大に重点を置きたい、と THE BRIDGE の質問に答えてくれた。既存の金融機関と協力関係を築いていることも、そのような姿勢の表れと言えるだろう。

メガバンクとは対照的に、地方金融機関の中には情報システムへの人的・財務的投資が十分ではないことも多く、エメラダではこのような金融機関と協力することで、新たな資金需要のある掘り起こしに寄与したいとしている。エメラダ・バンクに参画する金融機関は、今後も増えることになりそうだ。

エメラダでは、中小企業やスタートアップが、比較的急なタイミングで資金が必要となった場合は、投資型クラウドファンディングを活用してもらうなどのほか、自社開発の独自アルゴリズムによってユーザ企業の財務状況を定点観測し続けることで、将来には企業の CFO 機能の一部を担えるようなしくみを構築したいとしている。

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