世の中は事業のタネで溢れているーー事業づくりで大切にしたい「3つのこと」【後編/ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2018.6.17

本稿はアフィリエイト広告「A8」などを展開するファンコミュニケーションズ代表取締役、柳澤安慶氏(Twitter @ankeiy )のブログからの転載。事業アイデア発想に関するヒントに溢れていたため、同氏に許可を得て転載させていただいた。長文のため前後編で掲載する。全文はこちらから。

新しい価値観に「世界観」が大切な理由

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Photo credit: Henry_Marion on VisualHunt.com / CC BY-SA

(前編からの続き)そしてさらにいうと、この「新しい価値観の発見」を事業に展開して、誰かに説明したとき、その相手の人が「うーん」と腕組みしちゃって悩んじゃうような計画を立てないといけなと思います。ダメそうで上手くいきそうな、なんとも反対もできないような物語になっている必要があります。

なぜかというと、もろ手をあげて賛成!みたいな話は、発見したと思った価値観にあまり新しさがない可能性が高いからです。よく事業は反対されたものの方がうまくいくという話聞きますよね。反対とはまさにこの新し価値観に対する「人々の拒絶反応」なんですが、反対する人が多ければ多いほど、価値観が新しいという証明になるわけです。

そしてもう一つ、この「新しい価値観の発見」で大切なことは、新しい世界がぱーっと広がる世界観を持っていることです。よく「これは独自の世界観がある」とかいうじゃないですか。この世界観があるっていうのは、言葉で表すのはすごく難しいと思いますが、事業計画を見ただけで、価値が置き換わった後の新しい世界が想像できるといいますか、次々に情景が目に浮かび、物語が広がっていくといいますか、「こんな世界があったらいいなあ」とか「自分だったらもっとこうしてみたい!」とか、とにかくかくそんな感じですかね。

先日もツイッターでつぶやきましたが、私はスタバが事業を展開するときに設定した「第三の場所(Third Place)」というというコンセプトが大好きです。

これは自宅ではなく、オフィス(学校)でもない、私たちの3番目の居場所を創ろうという考え方なんですが、もしスタバの創業者が「高級カフェ」とか「おしゃれなカフェ」を創ろうという話ばかりをしていたとしたら「ふむふむ、あんな感じかな」とイメージはすぐ浮かぶんですが、それ以上でも以下でもないんですよね。

ところが「第三の場所」と言われた瞬間、自分の新しい隠れ家というか、新しいリビングというか、新しいオフィスというかとにかく気持ちよくいられる場所ってどんなんだろうといろいろ想像してイメージがぐーっと広がる。

これって、こらからこういうスタバを作るぞ!ってスタバで働く人たちにすごいメッセージ性があると思うんですよ。だって利用者に第三の場所だと認めてもらうわけですからね。ライバルは他のカフェじゃなくてリビングやオフィスなんですからね。スタバの世界観が伝わってきますよね。

こうした事業の「新しい価値観」から生まれる「世界観」が大切な理由は、創業者が自分の作る事業という物語にワクワクできるているのか?ということにもつながってきます。自分でお面白がっているかですよね。だって、いまは常識と思われる価値観がすでにあって、それで世の中動いているのに、自分の発見した価値観で世の中を少し動かすことができるかもしれないわけです。

そうなった後の世界が想像できたりすると、これはもうワクワクするしかないですよね。逆にいうと、このワクワク感がない事業なんていくつ考えても意味がなくて、自分がワクワクできるまで何度も何度も事業を否定しないといけないと思うんですよね。なぜなら、自分がスタートポイントとなって事業をはじめるということは、協力者(出資者やスタッフ)も消費者も含めて、自分の新しい価値観に共感してもらわなければ、事業が前に進むことはないわけですからね。自分がワクワクしないことで他人をワクワクさせることできますか?それは日本がワールドカップで優勝するより難しいかもしれません(笑。

逆のアプローチ:「新しい価値観の発見じゃあないよなあ」という例

例えば、美容予約サイト(アプリ)事業を立ち上げたい。なぜか?少子高齢化の日本でも美容市場は成長市場でリクルートのホットペッパービューティーが売上も利益も伸びている。でも、先日、美容室で美容師さんに聞いたらホットペッパービューティーを利用しているが集客単価が高く、非常に不満があると言っていた。市場調査をしたらみんな同じようなことを言っている。ホットペッパービューティーより価格を低く抑え、差別化したサービスを事業化したい。事業計画や資金調達はこんな感じです。ってよくありがちな事業計画です。

市場もあるし、競合もいる、美容師さんや自分の友人からニーズを聞いたりしていて独自の視点もある、これで十分事業として成立しそうに思えるんですが、何かが足りないんですよね。そう、もうお分かりですよね(笑。ユーザーから見た「新しい価値観」への転換が何もないんですよ。

別にユーザーは、ホットペッパーだろうが新しいサービスだろうが関係ない。広告を出す美容室にとっても費用対効果で価値はあるかもしれないが、新しい価値観にまではまったくたどり着いていない。一言でいうと「なーんも今ある常識をゆさぶっていない」んですよね。

例えば、インバウンド向け情報サイト(アプリ)事業を立ち上げたい。なぜか、自分は旅行好きで、情報サイトを利用するが、自分が利用したいようなメディアがなかなかない。自分が助かるようなものを作りたい。日本への旅行者は3000万人、これからもっと増える。市場は大きい今のうちにブランドを確立したい。

この話も、市場性があり、自分の興味を起点にしているのでビジョンもある。でもでもですよ。やっぱり「新しい価値観」の発見がないんですよね。今の当たり前に基づいて組み立てているんですよね。旅行者にとって情報ってどんな意味があるのかという本質に踏み込んでいないような気がするわけです。

事業づくりで大切なこと

さて、これも例をあげているときりがないので、このへんにしますが、ここでもう一度、いままでの話をまとめますね。事業づくりで大切だと思うことは

  1. 新しい価値観の発見がある
  2. 新しい価値観からぱっーと広がる世界観(物語)がある
  3. 新しい世界を想像して自分自身がワクワクできること

だと思います。

なんかこう書いてくると、事業を考えるということは、すごく難しいことをやらなきゃいけないような印象を持たれる方もいるかもしれませんが、逆に事業のタネは、私たちの周りに溢れていると思うんですよ。なぜなら、私たちはいつも「その時代の当たり前」に取り囲まれて生きているからです。これは人間社会の中で、あるいはメディア社会の中で生きていくには仕方ないことですよね。

しかし、ちょっと立ち止まって、その常識といわれている価値観の本質的な意味を考えてみると、時代や環境の変化の中で価値観そのものがずれていたり、もっと本質に近づける道具(テクノロジー)が存在している可能性があるわけです。

もう一度違う言葉で繰り返しますね。

人間は生きている限り、快適に過ごすために常に何かの問題解決をしたいと考えている。この「問題解決をしたい」何か。この本質に迫ることができれば新しい価値観に出会うことができるはずなのです。これは何も特別なスキルを持った世界の人たちだけのものではなく、ぼくたちも毎日一人の人間として生活しているわけですから、ぼくたちの周りにもチャンスはゴロゴロしているはずだと思います。ただそれを見つけようとしていないだけなんですよね。

もちろん、事業を儲けるためにはじめて儲かっている人もいるでしょうし、トレンドにのって一儲けする人もいるでしょう。それは、人それぞれだと思いますが、やはり事業の醍醐味は、自分で発見した価値観で、社会が変わるということにあり、それで周りを巻き込んで新しい物語を作り出すことにあると思うんですね。

「いまどんな立場にあるか」「今まで何をやってきたか」人々はそれで人間を評価しようとします。それが現代社会の常識というものですね(笑。

けれども、事業を志す者は「これから何をやるのか」「いま何ができるのか」によって評価されるのです。これは現代社会から見ると、新しい価値観ですよね。どうです?こう考えると自分の住んでる世界が広がりませんか?自分の価値が高まりませんか?

若いとか高齢とか、経験があるとかないとか、金持ちだとか貧乏だとか、偉いとか偉くないとか、まったく関係ない社会で評価されるわけです。それも事業を起こす素晴らしさですね。そして、なんと事業を考えることは無料。誰でもできる最高に楽しいゲームなんですよ。

ということで、私の話は終わります。はあー思ったより長くて疲れました。最後にくれぐれも言っておきますが、サッカー日本代表は勝っても負けても既に私たちの日本代表です。ロシア大会、思いっきり応援しましょう(了)

【原文はこちらから】

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