多言語オーディオ旅ガイド「ON THE TRIP」、寺社や美術館向けに無料のアプリ開発メニューをローンチ——谷家衛氏、西井敏恭氏がジョイン

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左から:成瀬勇輝氏(ON THE TRIP 創業者兼 CEO)、谷家衛氏、西井敏恭氏志賀章人氏(ON THE TRIP クリエイティブディレクター)
Image credit: On The Trip

連続起業家の成瀬勇輝氏率いる「ON THE TRIP」のチームは、現在もバンで全国を行脚しながら多言語オーディオトラベルガイドの開発に精を出している。最近になって co-living を押し出したスタートアップが増えてきたが、移動体を活動拠点にしたスタートアップは、今でもあまり例を見ない。

そんな ON THE TRIP から新たな挑戦のニュースだ。寺社や美術館などの文化施設を対象に、施設側の負担は実質ゼロでオーディオトラベルガイドを開発・提供するというものだ。このオーディオガイドに関わるポスター、マップ、ウェブ制作、書籍制作、デジタルマーケティングなどにかかる制作コストを ON THE TRIP が負担する。

この新しいメニューでは、文化施設側と ON THE TRIP とが参拝者や来館者からの入場料を完全レベニューシェアすることにより、ON THE TRIP は制作コストを捻出する。文化施設側の収入を下げないようにするには入場料全体の価格を値上げする必要があるが、参拝者や来館者により多く使ってもらえることになり、既存のリーフレットなど以上に「タビナカ体験」を充実させることができるという。

宮崎滞在中の様子
Image credit: On The Trip

ON THE TRIP では、この無料でのアプリ開発メニューに参加を希望する文化施設からの募集を今日から開始した。公的運営、私設経営などは問われないが、文化施設であり依頼者が入場料の決定権を持っていることが条件。観光協会などが施設運営を代行していて、入場料改定に自治体などの承認が必要となるケースなどは、このメニューの募集対象から除外される。ON THE TRIP では先着10社に、このモデルでサービスを提供する。

このインタビューを実施したとき、成瀬氏は小豆島にある妖怪美術館に滞在していた。彼は、ON THE TRIP と協力関係にある「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」への参加を通じて、妖怪美術館の館長らと意気投合。レベニューシェアモデルの第一弾として現在、この妖怪美術館の多言語オーディオトラベルガイドの開発に着手している。

なお、今回の発表と合わせて、投資家の谷家衛氏(D4V ファウンディングパートナー、CAMPFIRE 取締役会長)とマーケターの西井敏恭氏(シンクロ 代表取締役社長、オイシックス・ラ・大地 執行役員 兼 CMT、フロムスクラッチ CIO)が ON THE TRIP に加わることになった。ON THE TRIP は今回、谷家氏や西井氏から出資を受けることになるが、タームシートには必ずしもイグジットを求めない旨が明文化されているとのことで、投資家というより実質的にアドバイザーやメンバーとして立ち位置が近いようだ。

成瀬氏、谷家氏、西井氏らが ON THE TRIP にかける思いについては、同社ウェブサイトに公開されたインタビュー記事に詳しい。

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