
ピックアップ:Medium buys Bay Area mag The Bold Italic to add to its paywall
ニュースサマリー:パブリケーションプラットフォームを提供するMediumは12日、サンフランシスコベイエリアに本社を置き、ローカル情報を発信するメディア「The Bold Italic」を買収したと発表した。
Mediumのプラットフォームには「広告」という概念がないため、質の高い記事が集まりやすく、収益を目的としない起業家や著名人などの発信の場としても人気を博している。また、サブスクリプション型の「Medium Membership Program」もあり、ユーザーは月額5ドルまたは年50ドルでライターが指定する限定公開記事を無制限に読むことが可能となる。今回買収されたThe Bold Italicも同社のメンバーシッププログラムに組み込まれることとなるため、同記事を読むためにはMediumのメンバーシップ登録が必要となる。
話題のポイント:Mediumのコンテンツの質は非常に高く、日々新たなコンテンツが投下され続けている一方で、マネタイズ手段については苦戦している時期もありました。2017年に公開された「Medium Japanより大切なお知らせ」と名のついた公式ブログでは、オペレーションの縮小などが発表され、さらにNYTimesの記事で3分の1の従業員のレイオフが報じられています。
しかしその後、Mediumは上記メンバーシッププログラムの導入によって徐々にコンテンツ・利用者の質・量の進化を遂げています。
Mediumの広報担当者によると、2018年7月までに同社が還元した執筆者向け収益は200万ドルに上るそうで、週に5万人の執筆者がMediumプラットフォーム上で記事を書いているそうです。以下は2017年4月から2018年4月までにおけるMedium全ユーザー・デイリーユーザーの推移になります。

ローカルメディアの買収による固定読者層の囲い込みはサブスクリプションを伸ばす上で重要な戦略になります。これが成功するのであれば、Mediumによる既存メディアの買収は今後も続くかもしれません。
その一方で、個人ブロガーの活躍の場を増やしていくことも必須であり、これなしで大量のローカルメディアを集めただけではただのまとめサイトと化してしまいます。そのためにも、アフェリエイト型ではない、Medium Partnership Programの手法でブロガーが利益を生み出せる構造が本当に成立するかどうかが今後の焦点のひとつになりそうです。
日本でもMediumと似たようなビジネスモデルであるnoteやブロックチェーンを用いたプラットフォームALISなどのプロジェクトが増えつつあります。広告依存ではない、サブスクリプションなどのモデルで質の高い情報を提供するインターネット世界を生み出せるのか、各社の成果に注目が集まります。
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