商機は「3つのアポ課題」にありーークラウド受付「RECEPTIONIST」運営が資金獲得、セールスフォースが注目するワケ

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2019.2.21

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写真左から:ディライテッド代表取締役の橋本真里子さん、Salesforce Ventures日本代表の浅田慎二さん

ニュースサマリー:クラウド受付システム「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」を開発・提供するディライテッドは2月21日、セールスフォース・ドットコムの投資部門、Salesforce Venturesを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達額や払込日、出資比率などの詳細は非公開。

また、今回の出資に伴い、RECEPTIONISTの来訪者管理機能をセールスフォースの提供する「Sales Cloud」に連携し、受付と営業管理を連動させる機能を計画していることも伝えている。実装の時期などについては未定。

ディライテッド代表取締役の橋本真里子氏に聞いたところ、2017年1月の正式リリース以降の導入企業数は1300社に拡大しており、それらの総受付回数は70万回となったそうだ。

話題のポイント:受付クラウドが順調に事業成長のコマを進めております。今回はSaaSと言えばこの企業、Salesforce Venturesからの出資です。

昨年12月に追加された機能「調整アポ」では、訪問客の日程調整から受付管理までのワンストップで実施できるようになりました。さらにそれを受付側企業で営業管理に連携させることができれば自動化はかなり進みそうな印象です。

一方で、この受付クラウド、仕組みがシンプルなだけに大資本や競合による市場の奪い合いなど成長を頭打ちさせる要因もパッと思いついてしまいます。ということで、今回、橋本さんに加え、SaaS投資のエキスパート、Salesforce Ventures日本代表の浅田慎二さんにもインタビューしてまいりました。(文中太字の質問は全て筆者)

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セールスフォースとしてクラウド受付に注目した理由は

浅田:自社オフィス内のセミナールームに潜在・既存問わず、顧客を招く商談スタイルが盛んになっている、という背景がひとつありますね。

確かにオフィスに綺麗なオープンスペース持っている企業が増えた

浅田:その際に受付タブレットを使って顧客との接点情報を正確、かつ楽に記録運用するニーズが高まってるんです。こういった訪問客の情報を、その後の商談活動に活かせるソリューション開発が今回の資本業務提携の狙いです。ちなみにカナダで同様のソリューションを提供するTraction Guest社には昨年投資を実行しています。

なるほど、グローバルでも同様の動きがあると。一方でクラウド受付はややコモディティ化しやすい分野にも思える。今後の成長で課題はどこにあると考えている

橋本:大手企業への導入です。特に「受付=内線電話」という古い習慣をお持ちの場合はそのハードルをどうやってクリアするか、課題に感じています。

どうする

橋本:昨年公開した「調整アポ」の機能には期待してます。「ご都合のいい日時をいくつかください」のやり取りって日本だけでなく世界中にあって、これを課題だと感じている方は大手企業を含めて多いと仮説を立てています。

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ユーザーペインを受付効率化ではなく、アポの効率化に広げる

浅田:受付タブレットという「入り口だけ」の機能は比較的コモディティ化しやすく、確かに国内も競合他社が数社存在する状況です。こうなると価格競争になりますから、受付に至る前後のペインを、いかにエレガントに問題解決するかが成長ポイントになると睨んでます。

ーー浅田氏はこういったビジネス向けクラウドに詳しい。というわけで、アポイント前後のペインについてもう少し詳しく聞いてみた。彼が説明した内容を整理するとおおよそ次の3つのポイントに整理できる。

  • 受付前:人力アポイント調整の非効率。日程と場所を確定させる決定打の不在
  • アポ後:フォローアップがなく、ミーティングの後に何も進まない問題
  • 会議室:ミーティングする場所を見つけるのが大変

アポ後のフォローアップについては、議事録の共有や結論といった情報共有がうまくいかず、タスク化ができないという課題に整理ができる。

ただこれは、QuipやGoogleなどの情報共有ツールがあるので彼曰く「API連携すれば解決できるのでは」という考え方だった。同様に会議室についてもスペイシーやスペースマーケットと連動するのもひとつのアイデアだ。

インタビューに戻ろう。

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浅田さんはRECEPTIONISTの事業的可能性をどうみる

浅田:アポ周りのペインをPlatform(ハブ)的に解決していけば、大きな事業になると確信していますよ。具体的には、ISMS認定ユーザ企業の来客者の個人情報をシームレスに、かつコンプラ報告書に反映させる機能なんかも可能性ありそうです。

同時に「Thought leadership(ソートリーダーシップ・課題解決企業)」的な発信も大事です。セールスフォース・ドットコムが、「カスタマーサクセス」や「The Model」というセールス周りのソリューションを提唱してきたのと同様です。

これをうまくやっているのが米Envoy社(アンドリーセン・ホロウィッツ等が投資)です。そういう活動を見習って成長を加速させたいと考えています。

資本政策について。今回は単独出資で刻んだ印象がある。今後の投資、成長イメージを聞きたい

浅田:現在のディライテッドはPMFがややできた状態と認識してます。今回の調達はそれをさらに確固としたものにするステップとして出資しました。今後は私たちが持っているSaaSのグロースメソッドをふんだんに提供して成長を後押しします。

ありがとうございました。

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