農業に特化した経営分析クラウド「RightARM」を開発・提供するテラスマイル、シードラウンドで7,200万円を調達——ドーガンベータなどから

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九州・山口ベンチャーアワーズで、日本ベンチャーキャピタル協会副会長の中野慎三氏(右)から賞を授与される、テラスマイルの生駒祐一氏(左)
Image credit: Masaru Ikeda

宮崎や静岡に拠点を置くアグリテックスタートアップのテラスマイルは21日、シードラウンドで7,200万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ドーガンベータ、山口キャピタル、三井住友海上キャピタル、ちくぎん地域活性化投資事業有限責任組合(GP:昭光、LP:筑邦銀行)と、個人投資家として石井歓氏、松岡恭子氏、矢野修作氏、志賀口裕輔氏。今回の調達と合わせ、執行役員の金田千広氏、マイファームの木本一花氏は、取締役に就任する。

テラスマイルは、農業に特化した経営分析クラウド「RightARM」を開発。農業生産者がさらに稼ぐことができるデータ基盤の構築を目指し、農業経営の見える化やAI を使った出荷予測サービスを提供している。もともとは農家に対するコンサルティングサービスを提供するためのツールとして開発されたが、最近では、地域の農業生産者のコミュニティなどを通じてサービスの浸透を図っており、農家に直接使ってもらうケースが増えているという。

RightARM バージョン4 の管理画面
Image credit: Terrace Mile

2017年12月に実証を開始、2018年5月に有償サービスを開始した RightARM は、サービス開始8カ月間で約100の農業経営者・法人が加入しており、1,100ハウス、約20万件の出荷量データと国内外17メーカー計6,500万レコードのセンサーデータを保持している。宮崎県や JA 宮崎経済連とも、2018年からは RightARM を活用した営農情報の連携が進められているという。

また同日、テラスマイルは RightARM のバージョン4 をローンチ、エムスクエア・ラボ(静岡県菊川市)、マイファーム(京都市左京区)、クロスエイジ(福岡県福岡市)、こゆ財団(宮崎県児湯郡新富町)、ホットファーム株式会社(静岡県浜松市)といった各地域商社を通じて農業生産者にサービス提供されることが明らかになった。提携する地域商社は今後追加される見込みだ。

農業のデジタル化がもたらす新たな農作物流通のイメージ
Image credit: Terrace Mile

今回の調達を受けて、テラスマイルでは RightARM の組織体制の強化と、サービスメニューの拡充を行う。具体的には、パートナーセールスやエンジニアの採用と、AI による出荷予測や経営分析・シミュレーションを軸とした RightARM メニューの拡充を行う。また、今年春から想定される各地でのスマート農業加速化実証における投資評価・経営分析にも対応し、国のデータ基盤である WAGRI との連携についても進めるとしている。

テラスマイルは、2015年に RightARM の前身となる「TeraScope」や「TeraReport」で IBM BlueHub 第1期に採択。昨年には「第4回九州・山口ベンチャーアワーズ」でスタートアップ部門優秀賞を獲得している。

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