世界的ピッチコンテスト「Get in the Ring」の大阪予選が開催——農産物輸出促進の日本農業、不安緩和AIフレンド開発のHoloashが世界決勝へ

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Image credit: Osaka Innovation Hub

Get in The Ring はオランダで2012年に始まったピッチコンペティションだ。ピッチをボクシングに見立て、スタートアップはバリュエーションによりライト級・ミドル級・ヘビー級に分かれ、リング上でピッチでの対戦に臨む。それぞれの級で選ばれた各都市予選の勝者は、年に一度の世界決勝に出場できる。

これまでの世界優勝者には、 Ant Financial(螞蟻金融)が2016年に1億米ドルで買収した、眼球の血管パターンによるバイオメトリクス認証のスタートアップ EyeVerify(アメリカ)、アバターによる手話通訳スタートアップ  MindRocket(ヨルダン)、人間の尿から土壌改良のためのバイオ煉瓦を作り出す Liquid Gold(南アフリカ)など有望スタートアップが名を連ねる。

大阪では、Osaka Innovation Hub が2016年から予選イベントを開催するようになり、20日の夜、今回で4回目となる予選が開催された。コロナウイルスの影響で無観客イベントとなったが、日本内外からライト級7チーム、ミドル級6チームが会場に集まった。ライト級とミドル級のそれぞれの予選優勝者には、6月2〜4日、カナダのモントリオールで開催される世界決勝への出場権が提供される。

このイベントで審査員を務めたのは、

  • 潮尚之氏(ITPC=International Technology Partnership Center プリンシパル)
  • 小田嶋アレックス太輔氏(EDGEof co-CEO)
  • Tim Miksche 氏(ドイツスタートアップ協会日本代表)

レフェリーは、Nathan Bryan 氏(ガイジンズ 代表取締役) が務めた。

本稿では、ミドル級とライト級それぞれの優勝チームを紹介したい。

<ミドル級優勝> 日本農業

Image credit: Osaka Innovation Hub

日本農業は2016年、マッキンゼー出身の内藤祥平氏と学生時代の友人によって設立された農業スタートアップ。東南アジアに日本のプレミアム果物や野菜を輸出、ライセンス生産などを行う。タイでりんごブランド「Doscoy(ドスコイ)」を発表、また、インドネシア、タイ、フィリピンの3カ国においては、同社のりんごブランド「Essence(エッセンス)」が日本産りんごで市場シェアトップを誇る。2017年にシードラウンドでオイシックス(当時)から4,000万円を調達、昨年11月には、シリーズ A ラウンドでデンソー(東証:6902)やオイシックス・ラ・大地(東証:3182)から約8億円を調達している。

<ライト級決勝> Holoash

Image credit: Osaka Innovation Hub

Holoash は、ADHD (注意欠陥・多動性障害)を持つ人を対象として、キャラクタとの会話を通じて自己肯定感が上がることを狙う「モチベーション・インタビューイング」あるいは「セラピューティックコミュニケーション」というアプローチで、問題解決を試みるスタートアップ。ストレスや不安を和らげてくれる AI フレンドの開発している。これまでに、エンジェルラウンドで、INDEE Japan、曽我健氏(SGcapital)、芝山貴史氏(BLANQ)、小笠原治氏(ABBALab)から資金調達している。 <関連記事


ミドル級とライト級それぞれのセミファイナリストは次の通り。

<ミドル級>

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<ライト級>

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