2年で16万件発行済、クラウドファクタリングのOLTAが“全部タダ”の請求書「INVOY」を投入するワケ

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INVOYの公式キャラクター、ヤギさく

ニュースサマリ:クラウドファクタリングを提供するOLTAの完全子会社FINUX(フィナックス)は2月18日、クラウド請求書サービス「INVOY(インボイ)」の正式公開を伝えている。INVOYはオンラインで利用できるSaaS型の請求書発行サービス。

商取引に必要な見積や発注書、納品書、請求書などを発行、管理ができる。メール送信のほかに郵送サービスにも対応しており、1通あたり税別147円で利用もできる。取引先の管理も可能で、CSVによる一括のアップロードにも対応している。利用は無料。発行額が10億円を超えるようなケースや、月間の発行枚数が5000枚を超える場合の利用料は要相談となっている。

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FINUXはクラウドファクタリングのOLTAが2018年1月に設立した、資本金100万円の戦略的子会社。代表はOLTAと同じく澤岻優紀氏が務める。主なターゲットユーザーはOLTAと同じく中小やフリーランスといった小規模事業者で、2018年2月のβ版公開以降、2年間で4万ユーザーを獲得。累計の請求書発行枚数は16万枚を超えた。

話題のポイント:サービス公開時に100億円の申し込み実績を引っさげて鮮烈なデビューを果たしたOLTAですが、先日の新生銀行との合弁に続いて今度は戦略的子会社の公開です。しかも今日設立ではなく2年もステルスで運営していました。OLTAの創業が2017年4月なのでほぼ同時期です。色々すごい。

<参考記事>

さて、何がどうなってこうなったのか。

取締役の武田修一さんにお話をお聞きしたところ、ことの発端は2017年11月頃。クラウドファクタリングのOLTAについては早々にPMFを感じる結果となり、数字も伸びていることから次の成長戦略を考えよう、ということになったそうです。

そこで候補に上がったのが請求書サービスを自分たちで提供し、そこを利用する方々の資金課題を解決するというシンプルな戦略。ただ、当時はファクタリング自体の認知も古臭く、なによりOLTA自体もステルスです。そこで社名を分けてサービスを作ったのがこのINVOYだった、というわけです。OLTAとは全く別物として運営していたにも関わらず、4万ユーザーが利用するまでに成長させたのはやはりすごい。

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注目したいのはこのサービスの事業モデルです。競合の請求書発行サービスは通常、SaaSモデルで数百円から数千円の月額課金+オプションが多いと思います。一方、INVOYは無料です。武田さんに念のため確認しましたが、ここで少額の課金をする考えはあまりないそうです(一部機能追加のオプションは検討するかも、というお話でしたが)。

そうです、彼らにはクラウドファクタリングの力強い事業があるからです。ここで少額のモデルを積み上げなくとも、請求書を数多くの方に利用してもらい、そこで発生する資金ニーズに応えた方がビジネスになるのです。

これまで両社はステルスで関係性も明示してこなかったため、そういった連携はありませんが、今後、徐々につながっていくというお話でした。

特に嬉しいのはフリーランスの方々ではないでしょうか。月にそこまで発行枚数が多くないパターンであれば、おそらく利用するのはエクセル等でしょう。しかし2023年に施行予定のインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、発行する請求書の税率などの要件を満たした上で発行、保存が義務付けられます。当然ですがこの手の管理にはクラウドサービスが有利です。その際、無料で利用できるというのは非常に魅力的ではないでしょうか。

 

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