
米Amazonは、AIをベースとしたカスタマーサポートのパイロットプログラムを開始したと同社ブログにて発表した。パイロットプログラムは2つのテーマで実施される。
1つは完全に人を介することなく機械学習を活用し、直接的に顧客の要望に対応することを想定したもの。対して2つ目は、人間の既存エージェントの効率性をあげることに焦点を置いたものとなっている。
同社にて応用科学マネージャーを務めるJared Kramer氏はブログにて、自動カスタマーロボットに機械学習が導入され、顧客ごとに最適な情報をチャットボットのみで完遂させることを目指すとしている。自身のみで実行できないという判断基準も設けられており、その場合は最終的に人間のカスタマーサポートへと繋げるフローも確立している。
これらは今まで同社が提供していたシステマチックなチャットロボットとは大きく一線を画している。既存のチャットボットでは実現できなかった、自動チャットロボットのみでユーザーの希望する誘導処理を可能としている。
同氏は「他社がカスタマーサービスシステムにどのような会話システムを導入しているかは不明ですが、我々が導入しているようなニューラルネットワークをベースとしたモデリング例は知り得ておらず、先進的なモデルとなるだろう」とその先進性について語っている。
カスタマーサポートをエンドツーエンドで対応可能なモデルのチャットボットは、AIを基に数あるテンプレートからユーザーに最適な会話を通し要望に応えてくれる。テンプレート自体は特段変わったものではなく、商品名、日付、配達日や価格などを的確に含めた上で自然な会話を提供してくれる。

同社におけるリサーチャーは、エンドツーエンド対応の実験例として「商品のキャンセル」を挙げている。AIチャットボットはインプットとして、ユーザーがオーダーのキャンセルを求めていることを認識する。そのうえで、ボット自体がユーザーアカウント情報へアクセスし、キャンセルに対応可能かどうかの判断を下すことができる。
同実験では、「Automation Rate(自動化率)」が評価基準とされた。「自動化率」はトランザクション(ユーザーの依頼)が人為的介入なくとも完了すること、また24時間以内の再問合せ率を低くする観点で評価が下される。新しいチャットボットでは、既存エージェントと比較して圧倒的な差を見せたとしている。
調査会社ガートナーによれば、同社は2020末までに自社サービスの85%の顧客対応において、今回導入される自動チャットボットの導入を目指しているとしている。全米の調査で、ユーザーの62%はAIによるチャットボット導入に好意的であり、それにより30%の同ポジションがロボットにとって代わることが予期されている。カスタマーサービスの自動化による企業の予算節約額は、約230億ドルほどともいわれる。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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