デジタルホワイトボード「Miro」が目指すコロナ時代の「ニュー・ノーマル」な会議

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ピックアップ:Online collaborative whiteboard startup Miro raises $50M 

ニュースサマリー:オンラインコラボレーションツール「Miro」は24日、シリーズBにて5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はIconiq Capitalが務める。また、AccelやGoogleにてプロダクト・マネジメント部門副社長を務めるBradley Horowitz氏も同ラウンドに参加している。

同社は2011年創業で、オンライン上にホワイトボード型のコラボレーションツールを提供するスタートアップ。同サービスを利用すれば、リモートワークや分散型のグローバルチームが同時にブレインストーミングやアイデアの洗い出しを効率よく行える。同社によれば既にユーザー数は500万人を超えており、主要企業にはネットフリックス、CISCO、ロジテック、Spotifyなどが利用しているという。

話題のポイント:COVID-19の影響でリモートワークが一般的になりつつある中、オンライン会議ツールであるZoomやMicrosoft Teamsらが急成長し、さらにはFacebookが「Messenger Rooms」をリリースするなど環境整備が進んでいます。

ところで上述したようなビデオカンファレンスツールやSlackなどのチームチャットツールは、確かにCOVID-19以降、ユーザー数の面で急成長を遂げていますが、以前からも導入企業は格段に多い状況でした。しかし、社会全体がパンデミック以降「オフィスの必要性」を考え直し、Work From Home時代に突入した結果、浮き彫りになったのが働き方の課題です。

特にFace2Faceで繰り広げられていたクリエイティビティーな議論をどう維持するかについては大きな問題になっていると思います。

コラボレーションツールの有名どころでいえば、プロジェクト・タスク管理をオールインワン型で提供するnotionや、音声を通しリアルなバーチャルオフィスを提供するTandemなどが「クリエイティビティー維持」の面で注目されています。

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Miroも同様に、物理的距離を保ちつつリアリティの高い議論が行えることを特徴としてます。「会議」を行うだけなら、ビデオ通話で足りていると思われるかもしれません。しかしMiroでは、ビジネス的議論というより、プロダクト開発やUXリサーチ&デザイン、ユーザーストーリーマップの作製などクリエイティブな作業における議論を想定しています。ホワイトボードをベースとしたコンセプトもそれが主な目的だからです。

また、即座に利用が開始できるように目的に応じたテンプレートが数百の単位で用意されています。例えば、ブレインストーミングのセクションでは以下のように11のテンプレートが用意され作業効率性を維持・向上させるきっかけを提供しています。

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同社サービスはフリーミアムモデルを採用しています。通常、チームがある一定数を超えるとサブスク型課金が求められるのですが、同社では閲覧だけなら人数無制限でのサービス利用を提供しているのも特徴のひとつです(無料で編集できるユーザーアカウントは3つまで)。

COVID-19により、VCによる投資は特に2020においては減少気味になるとささやかれています。以前報じたように、あれだけトラベル・ホスピタリティー業界のパイオニアであったAirbnbでさえ同社の根本的コンセプトにメスを入れなければならないほど緊迫した状況であるのは間違いありません。

Coral CapitalのJames氏が同社ブログにて発信しているように、COVID-19によって「ニュー・ノーマル」が再定義され、そのパラダイムシフトの中でいかに進歩の機会をつかみ取るかが重要になってきます。

これからの世界では、なかなか以前のようにオフィスの一室に集まってUberEatsをオーダしながら、何時間も顔を並べて会議することはなくなるかもしれません。まさに、Miroが提供するバーチャル世界におけるホワイトボード付き会議室はそんな世界のニュー・ノーマルを感じさせるプロダクトになるのだと思います。

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