日本のブロックチェーン関連企業は430社——マネックスクリプトバンク、業界レポート「Blockchain Data Book 2020」を発表

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左から:コインチェック専門役員の大塚雄介氏、Blockchain Data Book 2020 を執筆・編集したマネックスクリプトバンクの安廣哲秀氏と福島健太氏
Image credit: Masaru Ikeda

マネックスグループ(東証:8698)傘下のマネックスクリプトバンク(以下、MCB)は30日、日本の仮想通貨やブロックチェーンの業界動向を調査したレポート「Blockchain Data Book 2020」を発表した。このレポートは、本文約120ページ、データシート約600ページで、全編約720ページで構成。本文のみか全編の形態でデジタル形式で販売されるが、MCB の仮想通貨・ブロックチェーン特化企業データベース「LOOKBLOCK」の会員は無料で閲覧できる。

MCB では日本国内で登記されていたり、日本を主たる市場としてサービス提供したりしている仮想通貨やブロックチェーン関連企業をデータ化。大企業の新規事業部門、カーブアウト、ジョイントベンチャー、スタートアップなどを集めると430社に達したことが判明したという。業種別で言うと、この分野に特化したコンサルティングやトークン関連ビジネスが多く、プロダクトやサービスは529カウントされているが、サービスがシャットダウンしていたり怪しいものを除き、実質的に稼働しているのは422プロダクトとした。

タイプ別企業数
Image credit: マネックスクリプトバンク「Blockchain Data Book 2020」

ブロックチェーンについては社会実装が一つの大きなテーマになるが、実証実験数も184と多く、大企業がブロックチェーンの活用方法を模索している現実を如実に数値で見て取れる。うち、3分の1程度は金融業が占めており、フィンテック分野とブロックチェーンの親和性の高さが裏打ちされた形だ。30日開かれた当該レポートの披露会には、コインチェックの創業者で、マネックスによる買収後はコインチェックの専門役員を務める大塚雄介氏も出席し、レポートが業界動向を俯瞰的に取り上げられている点を評価した。

この業界の関連企業は、大きく2世代に分けて考えられる。1世代目はウォレットや仮想通貨取引所。マイニングチップ(マイニング用の半導体)を開発するスタートアップが多かった。2世代目は、取引をトレースするツール、教育するツールなどサービスのラインアップが広がってきたことがわかる。

また、国内にそういった企業が400以上もあるというのは大きい。取引所にとっては AML(アンチマネーロンダリング)の監査など今までに増して求められるようになることから、こういった分野も伸びていくかもしれない。(大塚氏)

プロダクト概況
Image credit: マネックスクリプトバンク「Blockchain Data Book 2020」

レポートの執筆・編集を担当した安廣哲秀氏は、ブロックチェーンを使ったキラーアプリの事例として、中国で WeChat(微信)を使った保険サービスなどがあるものの、近くに保険窓口がないことや国策によるトップダウンなど市場特性に大きく依存しているため、世界的なトレンド変化には至っていないとした。また、同じく執筆・編集を担当した福島健太氏は、先月30億円を調達しブロックチェーンを使った DX 事業を発表した LayerX の動きに期待を込めた。大塚氏は、複数の異なるクリプトチェーンの相互往来を実現するプロジェクト「Polkadot」の動向に注目しているという。

MCB では、仮想通貨やブロックチェーンがもたらす社会変化は、IT 単体の場合に比べ、社会実装されるターゲットの産業が保守的である分、ある日突然ドラスティックに起きることは考えにくく、月日をかけて変わっていくだろうと推測。その観点からも、俯瞰的に長期にわたって業界動向を追うことの重要性を強調した。Blockchain Data Book は、購入者や読者の反応を見て、来年以降も発行を続けたいとした。

MCB では、先にあげた LOCKBLOCK に加え、ブロックチェーンや暗号資産に関する情報メディア「BLOCK INSIGHT(旧マネックス仮想通貨研究所)」、アンケートに答えるだけでビットコインがもらえるアプリ「cheeese」などを運営している。これまでに、暗号資産やブロックチェーンに業界カオスマップ、中国におけるブロックチェーン動向調査レポート、日本国内外のサプライチェーン領域におけるブロックチェーン活用事例と課題に関するレポートなどを公開している。

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