チェーン店舗向けGoogleマイビジネス一元管理クラウド「Canly」運営、富士そば社長らエンジェル11人から6,600万円を調達

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Image credit: Canly

チェーン展開する飲食店や小売店を対象とした、Google マイビジネスや SNS アカウントの一元管理サービス「Canly(カンリー)」を提供する Leretto(リリット)は27日、プレシリーズ A ラウンドで6,600万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、以下のエンジェル投資家11名。

  • 稲垣裕介氏(ユーザベース 代表取締役 COO)
  • 高野秀敏氏(キープレイヤーズ 代表取締役)
  • 成田直人氏(ジャパンブルーコンサルティング 代表取締役)
  • 曾田武史氏(RevComm 代表取締役)
  • 山田元康氏(スパイシーソフト 代表取締役)
  • 丹有樹氏(ダイタンホールディングス 代表取締役)
  • 北岡秀紀氏(ひみつきち J 代表取締役)
  • 井村雄大氏(G-Spec 合同会社 代表)
  • ナシエルホールディングス
  • 他、名前非開示のエンジェル投資家2名

キープレーヤーズの高野氏、ジャパンブルーコンサルティング成田氏は前回エンジェルラウンドに続くフォローオンでの参加。

Leretto は2018年、共に早稲田大学出身で就活で出会った秋山祐太朗氏と辰巳衛氏により設立(現在は共に代表取締役)。大学卒業後、秋山氏は銀行と IT ベンチャー、辰巳氏は大手商社というそれぞれ異なる道を歩んでいたが、二人で事業を立ち上げることを計画。自らの経験を生かし、接待に使えるレストラン、ビール銘柄で選べるレストラン(旧財閥系企業では、宴会のビール銘柄が同系列メーカーのものに限定されることがある)といった、大企業の宴会需要に特化した幹事代行サービス「Leretto」を立ち上げた。

Leretto はオーガニック流入のみでユーザを伸ばし続けたが、その後、Google マイビジネスの表示順位を向上させる MEO(Map Engine Optimization)の分野に進出。「MEO クラウド」の名前で飲食店や小売店などにサービスを提供し始めた(ちなみに少々名前が紛らわしいが、MEO クラウドはクラウドサービスではなく、実際には人が提供するコンサルティングサービスである)。新型コロナ感染拡大により大企業の宴会重要は鳴りを潜めたため、Leretto は事実上 MEO 事業にピボットした形だ。

当初の事業の頃から、飲食業界の経営者やオーナーと親交が深かったからだろう。飲食店が抱える悩みや課題に、Leretto 二人は接する機会が多かった。読者の多くにとっても簡単に想像できると思うが、我々が外出先でアテもなく飲食店や小売店を探す場合、9割以上は Google 検索か Google Maps の結果に頼ることになる。したがって、この結果は、飲食店や小売店の業績へのインパクトが大きい。ここで Google 検索や Google Maps で Google マイビジネスの表示順位を向上させるのが MEO だ。

Image credit: Canly

多数の店舗をチェーン展開する企業にとって、各店舗の Google マイビジネスやソーシャルメディアのアカウントや表示状態を一元的に管理するのは煩雑である。こうした MEO を代行する企業は多数存在するが、依頼する対象店舗が多いと費用も高額になる。そこで生まれたクラウドサービスが Canly だ。Google マイビジネスやソーシャルメディアをチェーン店舗の担当者がクラウド上で一元管理できる。コスト意識が高い飲食・小売業経営者にウケて、立ち上げから2ヶ月で約1,500店舗と契約できたという。

MEO で肝となるのは各店舗の口コミだ。Canly ではさまざまな Web 媒体と連携、大企業とのコネクションを増やしてし知見を蓄積していく。また、SEO と同様に表示順位向上には MEO においても Google のアルゴリズム解析が肝要となるが、これについても今回調達した資金でエンジニアリングを強化し、さらなる機能向上に務める。あわせて、導入店舗数とサービス強化に向け、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの人材も増やす。

MEO のクラウドサービス分野では、アメリカの YEXT(ニューヨーク証取:YEXT)が先行する。YEXT はすでに日本市場に進出しており、今年、東京での営業体制を拡充することも明らかになっているが、Leretto ではサービスのローカリゼーションや使いやすさ、サービス料金の値頃感などから、日本において直接的な競合にはならないと見ている。

<参考文献>

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