リモートワークでも、何気なく同僚と言葉を交わす体験ができる「roundz(ラウンズ)」

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Image credit: Roundz

リモートワークが増え、言われ始めて久しい課題が、何気ないコミュニケーションの不足だ。テーマを設定したミーティングであれば、Zoom なり Teams なりでテレカンすればいい。しかし、オフィスの中や(最近はあまり無いかもしれないが)タバコ部屋での他愛のない会話もまた、チームの円滑なコミュニケーションに役立つ。

最近、インタビューした起業家の某氏は、「チームの中から気づきやひらめきが生まれ、それを超高速で形にしていくことで、スタートアップは既存企業にまさる強みを出してきた。スタートアップはテレワークへの適応力が高いが、このままでは強みが出せなくなる」とテレワーク依存の危機感を吐露した。スタートアップに限らず、テレワークのみだと伴走できないので新人育成に困るという企業も多い。

テレワークであっても、同じ時間帯に仕事をしている同僚に、仕事の邪魔をせずにふと声をかけたり、言葉を交わしたりという体験をできないものか。そうして生まれたのが「声のバーチャルオフィス」を名乗る roundz(ラウンズ)だ。roundz を運営するラウンズは17日、シードラウンドで XTech Ventures、KVP、日本スタートアップ支援協会から5,000万円を調達したことを明らかにした。

前列左から:石渡裕之氏(ラウンズ CTO)、合田翔吾氏(ラウンズ CEO)、馬崎哲氏(ラウンズ COO)
後列左から:手嶋浩己氏(XTech Ventures 代表パートナー)、岡隆宏氏(日本スタートアップ支援協会 代表理事)、萩谷聡氏(KVP キャピタリスト)
Image credit: Roundz

roundz の機能は、音声と画面共有の機能のみだ。カメラを使わないので、例えば、周囲に子供がいる環境で仕事をしていても、気兼ねなく誰かからの呼びかけに応えることができる。何かしらの作業に集中しているときは、それを他の同僚に明示して声をかけないようにしてもらうこともできるし、常時はミュートされていて、キーを押している間だけ音声がつながる仕組みもプライベート空間の維持に役立つ。

rounds の創業者で代表取締役の合田翔吾氏は、roundz を生み出した理由について次のように語ってくれた。

roundz は、レガシーな企業、中小企業をターゲットに設計している。そのためには、幅広い世代の人々が使える必要がある。中にはテキストチャットが苦手な人もいるだろう。レガシーな企業だけれど、テレワークしなければならない、という人たちの需要にも応えようと考えた。

本来、先に社内のコミュニケーション文化があって、そこからツールをどうするかを決めるべきなのに、ツール先にありきだと、しっちゃかめっちゃかになってしまう。我々は元々オフィスにあった文化を、そのままオンラインに持っていくという考え方だ。

Image credit: Roundz

ニフティサーブのフォーラムの時代から、文字でディスカッションしてきた筆者のような世代にとっては、文字だけでコミュニケーションすることの難しさはよくわかっているつもりだ。時にはユーザ同士のケンカも起きた。Slack だと表面的な連絡事項のやりとりが多いからか、罵り合いや喧嘩が起きた事例はあまり耳にしないが、依然として文字だけで感情を伝えるのは難しい。

ベテランならまだしも、特に新入社員がテレワークによるコミュニケーション不足を理由に数ヶ月で会社を辞めてしまう、というケースは増え始めていて、この事態に危惧する経営者や人事担当者は多い。roundz が全ての問題を解決するわけではないが、そういった危機感からか roundz を採用する企業は増え続け、昨年8月のα版ローンチからの約15ヶ月間で180社に上ったという。

フォーマルにアポイントメントの時間を決めることなく、いつでも気軽にコミュニケーションを取れるサービスとしては、「Tandem」や「Remotehour」といったサービスも注目を集めている。ソフトウェア系特化ファンドの MIRAISE は投資先でもある Remotehour を使って、毎週水曜日にアポ不要でいつでも入室・相談できるオフィスアワーを提供を開始したのは記憶に新しい。

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